椿ノ恋文

著者 :
  • 幻冬舎
4.29
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本棚登録 : 4089
感想 : 238
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344041929

作品紹介・あらすじ

「いつか」ではなく、今、大切な人に伝えたい。                                                              累計70万部のベストセラー、「ツバキ文具店」シリーズ最新作。鎌倉と小高い山のふもとで、代書屋を営む鳩子。家事と育児に奮闘中の鳩子が、いよいよ代書屋を再開します。可愛かったQ Pちゃんに反抗期が訪れたり、亡き先代の秘めた恋が発覚したり、新しく引っ越してきたお隣さんとの関係に悩まされたり……。代書屋としても、母親としても、少し成長した鳩子に会いにぜひご来店ください。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、最近『手紙』を書いたことがあるでしょうか?

    1871年頃から統計が存在する引受郵便物の数は2001年の263.1億件をピークに下がり続けているようです。1990年代半ばから電子メールというものが一般化しはじめ、2000年頃からは携帯メールも登場するなど、人から人へのやりとりが紙から電子へ置き換わっていった歴史をこの数字は示していると思います。

    かくいう私も『手紙』を書いたのはいつか思い出せない今を生きています。『便箋』を買って、『ペン』を取り出して、書いて、封をして、『切手』を貼って、投函するという一連の行為はイメージこそできますがそれは遠い昔の話でもあります。

    また、公私問わず『手紙』を受け取ってもそれは印字されたものばかりです。それは年の始めの年賀状でも同じことでしょう。しかし、そんな中に『手書き』で書かれた一枚を見つけるどこか心が揺れ動くのを感じます。その文字の向こうにそれを書き記した人の存在が、そしてそんな人の思いが浮かび上がる瞬間、『手書き』っていいな、そんな思いは私だけではないと思います。

    さてここに、依頼者になり代わって『手紙』を『代筆する』ことを生業にする主人公を描いた物語があります。江戸時代から続くとされる、由緒正しき『代書屋』を継いだ主人公が『代書』の日々を送る様を描くこの作品。そんな主人公が『代書』に込める思いを感じるこの作品。そしてそれは、『代書屋』に『課せられた使命』を深く感じる主人公が書きあげていく『代書』に魅せられる物語です。

    『お世話になった皆様へ 今年も桜の季節が巡ってきました。皆様、お元気でお過ごしですか?…長らくお休みをいただいておりました代書屋は、この春からの再会に向け、ただいま準備を進めております…皆様にお会いできるのを、心から楽しみにしております。 ツバキ文具店店主 雨宮(守景)鳩子』という文章を『何度も何度も読み返し、うっかりミスや言葉遣いの間違い、文章のねじれがないかなどをチェック』するのは主人公の雨宮鳩子。ミツローと結婚した鳩子は、『QPちゃんひとりなら、まだなんとかツバキ文具店と育児の両立が可能だ』と考えていたものの、小梅、蓮太朗という二人が相次いで生まれたことで一旦育児に専念する日々を送っています。そんなある日、『ポッポちゃーん、いますかぁ?』と『幼馴染の』舞が訪ねてきました。『これ、一緒に食べようと思って、持ってきたよ』という舞は北鎌倉の駅前にできた『かわいいカヌレ屋さん』の『茶色い袋を渡してくれ』ます。そして、『ふたりで仲良くカヌレを咀嚼』する中に、『それでね』、『パンプキンプリンをね、食べたんだよ』と『本題』を語り出した舞は、『義理のお母さんが作ってくれた』『パンプキンプリン』に『髪の毛が入ってたの、しかも、その前にも同じようなことがあってさ。その時は、メンチカツの中に入ってたんだけど』と続けます。『素晴らしくおいしい』、『もう、プロ級の腕前』、だからこそ『間を置かずに二回』も『髪の毛が入っていた』ことを『どうしていいかわからなくて…』と『大きくため息を』つく舞。そんな舞に『ご主人から伝えてもらったら?』と鳩子はアドバイスしますが、『いまだにマザコンっていうか…絶対にそれは期待できないの』と返すと、『ポッポちゃん、うまくそれを伝える手紙を、代わりに書いてくれないかな?』と続ける舞。『そういう流れになることをうすうす予想はしていた』という鳩子は、『かなりハードルの高い内容に』『うーん』と『途方に暮れて腕組みし』ます。『このままだと、本人が気づかないうちに』『料理が喜ばれなくなっちゃうんじゃないかって、気の毒なのよ』と補足する舞。その後もさまざまに訴える舞に、『うまく書けるかどうかわからないけど…最善を尽くしてみます』と鳩子は『覚悟を決め』ました。そして、舞を見送り一人になった鳩子は、『内容としてはかなり難しいのは事実だけれど、私は、ミツローさんの妻でもなく、三人の子供達の母でもない、単なるひとりの人間として再び社会と関われることに、大きな喜びを感じ』ます。『代書業を再会できることが嬉しかった』という鳩子は、翌日、舞に『電話をかけ、義理のお母さんの得意料理をインタビューし』ます。そして、『数日後、いよいよ代書の時がやってきた』という瞬間の到来。『筆サインペン』と『いくつかの候補』から選んだ『ライフのライティングペーパー』を用意した鳩子は、『舞ちゃんの姿形をした着ぐるみ』をイメージし、『少しずつ舞ちゃんの体温に自分の体温を馴染ませ、呼吸を合わせ、指の感覚や目の感覚をつかんでい』きます。そして、『代書』を始めた鳩子。『大好きなゆっこママへ このところ、急に暑くなってきましたね。もうすでに、初夏の空です。もう随分前にゆっこママにレシピを教えてもらったコーヒーゼリーが、今年も大活躍しそうな予感です…ところで、今日は折に入って、ゆっこママにご報告です。このことをゆっこママにお伝えすべきかどうか、ずいぶん長い間悩みました…舞より』と書き上げた鳩子。そんな再始動のきっかけの先に『ツバキ文具店』を再会していく鳩子の日常が描かれていきます。

    “2023年11月1日に刊行された小川糸さんの最新作であるこの作品。”発売日に新作を一気読みして長文レビューを書こう!キャンペーン”を勝手に展開している私は、2023年8月に寺地はるなさん「私たちに翼はいらない」、9月に青山美智子さん「リカバリー・カバヒコ」、そして先月にも原田ひ香さん「喫茶おじさん」…と、私に深い感動を与えてくださる作家さんの新作を発売日に一気読みするということを積極的に行ってきました。そんな中に、何気ない日常の一コマを穏やかにほっこりと描いていく小川糸さんの新作が出ることを知り、小説についてはほぼコンプリートしている私は、待っていました!という気持ちの中に発売日早々作品を手にしました。

    そんなこの作品は、”鎌倉と小高い山のふもとで、代書屋を営む鳩子。家事と育児に奮闘中の鳩子が、いよいよ代書屋を再開します…代書屋としても、母親としても、少し成長した鳩子に会いにぜひご来店ください”と内容紹介にうたわれています。そうです。「椿ノ恋文」という書名にピン!と来る方もいらっしゃるかもしれませんが、この作品は小川糸さんの代表作でシリーズ化もされている「ツバキ文具店」の王道の続編です。「ツバキ文具店」は、鎌倉で江戸時代から続くとされる、由緒正しき『代書屋』に十一代目として生まれた鳩子が先代である祖母から家業を引き継いだところからスタートする物語です。他の人に代わって文書を書くこと = 『代書』というその家業は、筆記用具にもこだわりを見せながら、さまざまな依頼に基づいて『代書』をしていく鳩子の日常が描かれていきます。もうこの一冊だけで小川糸さんの大ファンになる他ない傑作中の傑作です。そんな作品に続いて「キラキラ共和国」という続編が登場するのはもう必然というくらいの位置付けでもありました。そして、前二作の正当なまでの続編として登場したこの作品は、本を開いて最初に登場する『ツバキ文具店』再開の案内を読んだ瞬間に一気にその作品世界に引き込まれてしまう、恐ろしいまでの魅力を放っています。

    では、そんなこの作品の魅力を二つの方向から見てみたいと思います。まずは、「ツバキ文具店」と言えばお馴染み、作品の舞台となる『鎌倉』の描写です。『鎌倉』という地は間違いなく一つのブランドであり、通勤距離が伸びようとも移り住む人が後を絶たない街でもあります。数多の文豪の皆様の作品の他、青山美智子さん「鎌倉うずまき案内所」、阿部暁子さん「鎌倉香房メモリーズ」などその魅力を上手く引き出した作品は他にもあります。この小川さんの作品は『鎌倉』と『代書屋』の相性の良さも相まって絶妙な作品世界を提供してくださいます。そもそもこの作品には冒頭に『鎌倉案内図』という手書きの地図まで掲載されているなど『鎌倉』の街どっぷりな読書を堪能できます。『久しぶりに町へ出た』という鳩子。『私にとって町とは、鎌倉の、段葛(だんかずら)周辺をさす。せいぜい、島森書店までだ』と『鎌倉』どっぷりな描写が描いていく物語はまるで『鎌倉』を軽やかに散策するような気軽さを見せてくれます。『代書部門再会を知らせる手紙』を『雪ノ下郵便局から投函した』鳩子。一方で『空腹で死にそう』という鳩子の足取りをこんな風に描写します。

    『八幡様を背にして二の鳥居をくぐり、くるっと向き直って八幡様にお辞儀をしてから、信号を渡って鳥森書店の前を通り過ぎ、更に海の方へ向かって歩く。通称おんめ様のお庭をチラ見し、目指すは、鎌倉市農協連即売所、レンバイである』。

    実に軽やかな『鎌倉』の街歩きの様子が思い浮かびます。そして、目的を達した後に良いことを思いついた鳩子。

    『子供達へのお土産にパラダイスアレイの餡パン、通称ニコニコパンを買って帰ろうというのは表向きの口実で、本音はどうしても太巻き寿司が食べたかったのだ。はなさんの、太巻き』

    『パラダイスアレイのちょうどお向かいに、「はな」という名の小さな和菓子屋さんがオープンしたのはちょっと前。和菓子もおいしいのだが、そこの太巻き寿司が絶品』…というのは、リアル世界の情報そのままです。そうこの作品はリアル世界の『鎌倉』の美味しいお店や観光スポットの情報をまるでガイドブックを読むかのように盛り込みながら、『鎌倉』を自在に闊歩していく主人公・鳩子の日常が描かれていくというのが特徴なのです。三作目となるこの作品は前作までに比べても『鎌倉』のディープさが増しているようにも感じますが、それはこんな比較表現からも伺えます。

    『鎌倉は、はっきり山派と海派に分かれる』、『山族と海族では、人種も明確に異なる。山の方は学者さんをはじめとするインテリっぽい人が多いのに対して、海の方はサーファーなど、サザンオールスターズに代表されるような海文化をこよなく愛する人たちが数多く暮らしている』。

    確かに『鎌倉』は海にも面し、山もある両面の魅力が味わえる土地だと思います。それを山族、海族と表現する小川さんは、さらにこんな側面からも比較します。

    『雨の日、鎌倉を歩く地元の人の足元は、長靴派とビーサン派の二派に分かれる』。

    えっ!そうなのー?というこの記述。主人公の鳩子は以前は『長靴派だった』のが『子供を産んでからはビーサン派に鞍替えした』のだそうです。『足元がビーチサンダルだったら、いくら濡れても、たとえ水たまりに入ろうが、気にすることはない』というその割り切り。ちなみに、そのいずれでもないのが『よそから来た観光客』なのだそうです。これはもう住んでいなければわからない視点ですね。そう、この作品は兎にも角にも『鎌倉』大好き!な人にはたまらない一冊だと思います。

    そしてこの作品一番の魅力が『代書』について細かく記されていくところです。”古くは右筆と呼ばれた職業で、やんごとなき身分の方やお殿様に代わって代筆を行う”仕事が起源となる『代書屋』を再会した鳩子のお仕事が描かれていきますが、『代書』をするというお仕事に行き着くまでにさまざまな選択が描かれます。例えば『便箋』です。『清潔感を全面に出した』いという思いの先にはこんな選択が待っています。

    ・『装飾過多になりすぎない、シンプルなもの』
    → 『かといって、罫線だけの便箋では面白みがない』

    ・『いくつかの候補を実際に机の上に並べて、じっくりと吟味』

    ・『ライフのライティングペーパー』を選ぶ
    → 『どんな筆記具との相性もよく、相手に威圧感を与えないデザインがいい。内容的に、くだけすぎてもかしこまりすぎてもいけない気がするけれど、ライフの便箋はそのさじ加減を見事に満たしている』。
    → 『この会社の製品を手にするたび、日本もやるもんだなぁと感心する』

    『手紙』というものはその内容だけではなく、筆記具選びから始まるということがよくわかります。この作品では、他にも『ペン』、『封筒』、そして『切手』と相手が『手紙』を手にした時からストーリーがはじまるかのように、そのそれぞれの選択にこだわる鳩子が描かれます。そして、この三作目ではこんなこだわりも見せます。

    『朝書くべきか夜書くべきか悩んだ末、私は夜書くことにした』。

    筆記具を選んでもまだ『代書』には行きつかないというこの奥深さ。『代書』を行う時間にまでこだわります。『夜書く手紙には魔物がひそんでいるから…』というその逆をいく『夜』の選択。どうしてそのような選択が発生していくのか、気になって仕方がないというあなた、そんなあなたには一分でも早く(笑)、この作品を手にしていただければと思います。

    そんなこの作品は前二作と同様に構成上の凝った作りがなされています。それこそが鳩子が『代書』したそのままの『手紙』が複数ページをまたいで掲載されているところです。上記した『便箋』の選択もこれによって読者にはっきりと伝わるだけでなく、その全てが手書きで記されていることで、読者はそんな『手紙』を実際に受け取った人たちが受ける感覚そのままに『手紙』を読むことができるのです。ここで改めて気づいたことがあります。私はこの作品を書店で単行本として購入しました。(※ ちなみに印刷ではありますが”サイン本”が存在します(印刷ですけど(笑))ので、是非本の帯の記載に注意してください。) なお、これはインターネット上で購入する場合も同様です。どういうことかというとこの作品には”電子書籍”で購入するという選択肢がないのです。作家さんによっては”電子書籍”化を敬遠されている方もいらっしゃいます。江國香織さん、宮部みゆきさん、そして有川ひろさんなど有名作家さんも多々いらっしゃいます。一方で、この作品の作者である小川糸さんはその大半の作品について”電子書籍”でも刊行されていらっしゃいます。しかし、「ツバキ文具店」、「キラキラ共和国」、そして「椿ノ恋文」というシリーズ三部作はいずれも”紙の本”しか存在しません。これは、手書きの『手紙』を活字化してしまうか、ハンドリングしづらい画像という形で妥協するかの二択を迫られるからではないかと思いました。そう、このシリーズは”電子書籍”には馴染まないと判断されたのだと思います。単行本で鳩子の手書きの書の数々を読むにつれ、この作品は”紙の本”以外ありえない、”紙の本”と”電子書籍”というものはそれぞれに得意なものが異なることを改めて感じました。

    さて、そんな物語では、『代書屋』を営む鳩子の元にさまざまな依頼が持ち込まれます。そんな依頼主は性別、年齢、属性はさまざまに異なります。

    『私ね、これまで娘に、手紙を書いたことがないんです。だから、せめて一通くらい、手紙を残してあげたいな、って。でももう、手術の後遺症で肩が痛くて…』

    そんな依頼の先に、

    『かえちゃんへ 初めて手紙を書きますね…』

    という『代書』で『手紙』をしたためていく鳩子。そんな鳩子は『代書』の意味をこんな風に考えています。

    『自分で自分の気持ちをきちんと言葉にして伝えられる人もいれば、そうじゃない人もいる。そうじゃない人たちのために、代書屋が存在するのだ』

    そんな鳩子が『代書』へと向き合う思いは真摯という言葉に尽きます。

    『茜さんから託されたお嬢さんへの思いを、少しも減らすことなく、傷つけることなく、変色させることなく家まで持ち帰って、手紙という形にする。それが、私に課せられた使命だ。私は今、そのために生きている』。

    物語はどこまでも誠実に『代書屋』のお仕事に向き合っていく鳩子の日常が描かれていきます。〈紫陽花〉、〈金木犀〉、〈椿〉、〈明日葉〉、〈蓮〉という植物の名前が冠された五つの章から構成されたこの作品は『代書』の依頼を一つひとつ丁寧にこなしていく鳩子の姿を描き出していくと共に、前作までとは違う、三児の母となったが故の戸惑いも描かれていきます。中でも前作でその出会いがたっぷりと描かれていたQPちゃんとの関係性は特別です。

    『QPちゃんは、私が彼女の生みの親ではないということを、はっきりと理解している』。

    物語では、そんなQPちゃんへの思いがこめられた『手紙』も登場します。さらには、この作品の書名ともなっている『恋文』の存在があります。「椿ノ恋文」と書名にまで記される他人の書いた『恋文』を読むという展開は物語に味わい深さを醸し出していきます。また、『鎌倉』にこだわるからこそ、旅に出る場面の登場が物語に新鮮な感覚を連れてもきます。他にもこんな場合にも『代書』が登場するのか!と読者を決して飽きさせることなく描かれていく物語は、”続編もの”という言葉でひとくくりにされるイメージの先にあるものではなく、「ツバキ文具店」、「キラキラ共和国」と三部作を構成するかのように最後まで充実した内容をもって圧倒的な魅力を見せてくれるものでした。

    『このお知らせが皆様の元に届く頃には、また代書のご依頼を承ることができるようになっているかと存じます』。

    そんな言葉の先に『代書屋』である『ツバキ文具店』を再開させた主人公の鳩子。この作品では、『手紙』の魅力をこれでもか!と文字の力で読者に強く印象づける物語が描かれていました。『鎌倉』の街の魅力がディープに味わえるこの作品。『代書』の世界の奥深さに深く感じ入る他ないこの作品。

    作品世界にどっぷり浸れる新たな傑作の誕生に、小川糸さんの物語世界にすっかり酔わせていただいた素晴らしい作品でした。

  • 「キラキラ共和国」につづき、最新作「椿ノ恋文」も読了。
    まず、守景家の様子が大きく異なることに驚く。前作の発売から既に6年経ったこともあり、タイムリーに読んできた読者にとっては、それほど違和感のない成長経過であろうが、立て続けに読んだ自分としては、あのあまりにかわいかったQPちゃんの変わりように戸惑いつつ、前半を読み進めることになる。とはいえ、ラストに向けての展開にほんわかとし、ツバキ文具店シリーズはやっぱいいよねーなんて思いで、今作も読み終えることができた。

    「子供は、親の知らないところでどんどん勝手に成長して、親の手を離れて巣立っていく」
    少し前に読んだ瀬尾まいこさんの「私たちの世代は」という作品でもたまたま似たような表現があったが、『親が子の成長に気づかず、いつまでも子とみる時期』のことを反抗期なのかも、と気づかされた。親が子を子としか見れないうちはずっと続くよ、と。

  • この本は『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』の続編です。


    ツバキ文具店で代書屋の仕事をしている雨宮(守景)鳩子(ポッポちゃん)はミツローさんと結婚していて、ミツローさんの連れ子の陽菜(QPちゃん)の母親になります。

    そして六年前に、次女の小梅、長男の蓮太郎に恵まれます。
    QPちゃんは中三でなぜか鳩子に反抗期的な態度をみせます。
    鳩子は色々な代書の仕事、癌で余命のない母、知的ヤクザのペットフード店、退職届などやりながら、とても仲良しだったQPちゃんの反抗期に悩んでいます。

    「QPちゃん、私のこと嫌いになっちゃったのかな」。
    そして鳩子のお店の先代(鳩子の祖母)の道ならぬ恋を知ります。

    というようなストーリーが鎌倉や、伊豆大島を舞台に繰り広げられます。
    そして、最後のQPちゃんが反抗的態度をとっていた理由がとても泣かせるんですよ。



    私は、小川糸さんは『食堂かたつむり』が苦手で、この三部作も拝読はしているのですが、どうしても好きになれない点があります。
    登場人物のあだ名のつけ方なんですが、なんでパンティーなんてあだ名つけるのかなと思ってしまいます。
    先代のラブレターも、作中に登場しますが、かし子さん(先代)のラブレターは表現が大胆で読んでいて、とても恥ずかしくなりました。
    もっと他に、どぎつい描写のあるミステリーやこないだ読んだBLの『箱の中』の方が表現としては凄いのですが、こんなにほあんとした、作風の中に登場するあだ名や性的表現は読んでいて私はなんか合わない感じがしてちょっと嫌でした。

    みなさん、絶賛の感想が多く、こんなところにこだわった感想書いてる人いないですね。でも本心なのでごめんなさい。

    • bmakiさん
      た、、、確かに。
      私も変なあだ名に引っかかって読んでいたことを思い出しました。

      この本のテイストからは明らかに違和感がありますね(^...
      た、、、確かに。
      私も変なあだ名に引っかかって読んでいたことを思い出しました。

      この本のテイストからは明らかに違和感がありますね(^_^;)
      2024/03/30
  • また小川糸さんに癒された(๑・̑◡・̑๑)

    鎌倉で「ツバキ文具店」を引き継いでから、バーバラ婦人とのご近所付き合いだけがかろうじて血の通った交流だったポッポちゃんだったのに、いつのまにやら同じ屋根の下で五人で暮らしている 

    時が経つのが早い…

    『キラキラ共和国』から六年経った今、QPちゃんは中三になり受験を控え、下に生まれた妹と弟が今年揃って小学校に入学していた
    同じ学年かあ、それは大変だね

    代書の仕事を再開したと思いきや、次から次へと依頼が舞い込んできて大奮闘
    依頼人の人生のほんの一瞬に携わる仕事だけど、それが人生の岐路だったりする訳でなかなかハード
    その人になりきり、相手に何かを伝えるって難しい事だよね
    でも紹介された手紙の文面は、どれもポッポちゃんの真心がこもっていてとっても温かかった
    これならきっと相手に気持ちが伝わるはず
    人に幸せを与えられる仕事って素敵だなぁ

    作品のメインの一つは、先代が生前に書いた沢山の恋文
    いやいや、これは意外だった…

    もう一つはQPちゃんが久しぶりにポッポちゃんに書いた手紙
    素っ気ないQPちゃんの態度に悩んでいたポッポちゃんだけど、手紙には素直な想いが書いてあって心にじわっと来た
    ああ、そうだったんだ…
    良かれと思ってしたことが、相手を傷つけてしまうことってあるよね
    手紙って良いもんだ

    今回は鎌倉だけではなく、椿の木が300万本ある伊豆大島にもスポットがあたっている
    行った事がないので、一緒に旅している気分になった

    そういえば、レディ•ババはどうなったのかなあ

  • はーい、絶賛ドハマリ中の「ツバキ文具店」シリーズ最新作です♪

    本書も含め、今日は朝から蔦屋書店で7冊^^;
    さすがにちょっと罪悪感も^^;

    充電切れそうなので、感想は家に帰ってからで。

    ♪.:*:'゜☆.:*:'゜♪.:*:'☆.:*:・'♪.:*:・'゜♪.:*:'゜☆.:*:'
    コホン(´ρ`*)

    改めて、本書の感想ですね。
    巻頭から鳩子...いきなり子供が2人も増えてるしー、
    しかも、双子じゃないのに同級生ってなかなか…///

    でも、やっぱりQPちゃんですねー。
    The反抗期(笑)

    鳩子とQPちゃんの母娘愛、2人旅行もそうだけど、QPちゃんからの手紙にはおじさん思わずウルッときちゃいそうだったよ(´•ω•̥`)

    先代の秘めた恋ってなちょっと危ないストーリーもGood!!(・ω・)b

    これで完結って感じはしなかったから、続編期待してもいいのかな。

    <あらすじ>
    本作は、鎌倉で代書屋を営む鳩子が、家事と育児に奮闘しながら代書屋を再開する様子を描いています。かわいかったQPちゃんは反抗期を迎え、亡き先代の秘めた恋の話が明らかになり、新しい隣人との関係に悩むなど、さまざまな人間関係が織り交ぜられています。

    物語は、鳩子が代書屋の仕事を再開する挨拶状から始まります。彼女は、亡き祖母のかし子さんが妻子ある男性と関係を持っていたことを知り、その男性の親族との会合を控えています。一方で、鳩子はがんを患った母親、知的ヤクザ、若年性認知症の女性など、さまざまな依頼人の人生に触れ、代筆を通じて彼らの想いを形にしていきます。

    鳩子の家族も物語に大きく関わっており、QPちゃんが中学生になり反抗期を迎える中、家族は増え、鳩子は母としても成長していきます。特に、QPちゃんから鳩子への愛情が溢れる手紙は、読者に強い印象を与えます。また、鳩子の祖母の過去の恋の謎を追いながら、母子の絆が深まる様子も描かれています。

    この物語は、人と人との関わり合いが生み出すドラマを通じて、人生の美しさや複雑さを温かく、時には切なく描き出しています。読者は、鳩子の代筆する手紙を通じて、登場人物たちの心の動きを感じ取ることができるでしょう。『椿ノ恋文』は、日常の中にある小さな奇跡や、人々の心の機微を丁寧に紡ぎ出す物語です。






    「いつか」ではなく、今、大切な人に伝えたい。                                                              累計70万部のベストセラー、「ツバキ文具店」シリーズ最新作。


    鎌倉と小高い山のふもとで、代書屋を営む鳩子。家事と育児に奮闘中の鳩子が、いよいよ代書屋を再開します。可愛かったQ Pちゃんに反抗期が訪れたり、亡き先代の秘めた恋が発覚したり、新しく引っ越してきたお隣さんとの関係に悩まされたり……。代書屋としても、母親としても、少し成長した鳩子に会いにぜひご来店ください。

    著者について

    作家。デビュー作『食堂かたつむり』が、大ベストセラーとなる。シリーズ第一作となる『ツバキ文具店』は、2017年本屋大賞4位を受賞。ベストセラーとなり、NHKでドラマ化される。

    • ヒボさん
      チーニャさん、こんばん▽^ェ^▽ ワン!

      土日で12冊のレビューあげたので、埋もれちゃいましたかね^^;

      鳩子(ポッポちゃん)もいいんで...
      チーニャさん、こんばん▽^ェ^▽ ワン!

      土日で12冊のレビューあげたので、埋もれちゃいましたかね^^;

      鳩子(ポッポちゃん)もいいんですが、QPちゃんを含めた脇役の存在がいいんですよね~
      それに+して「手紙」ですから。
      続編も期待しましょ~♬*°
      2024/03/11
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      じゅ、じゅ、う…、12、冊…ヒョエ〰️!!∑( ◦д⊙)‼ 凄!!(笑)

      続編早めに出してほしいですね…☆

      じゅ、じゅ、う…、12、冊…ヒョエ〰️!!∑( ◦д⊙)‼ 凄!!(笑)

      続編早めに出してほしいですね…☆

      2024/03/11
    • ヒボさん
      久々に読書三昧の休日でした(笑)

      続編、楽しみに待ちましょうね~♬*°
      久々に読書三昧の休日でした(笑)

      続編、楽しみに待ちましょうね~♬*°
      2024/03/11
  • ツバキ文具店 3作目
    前作、前々作を忘れていたので
    読み返してから読みました(^^)


    そうしたらめっちゃ月日が流れてるじゃないですか!!!


    QPちゃんは中3の反抗期!!
    あの天使にも反抗期が!!!

    下に2人も弟妹!
    5人家族!!

    バーバラ夫人も引っ越してしまっていて
    お隣には別の人が!

    そのお隣さんとも揉めてるようで
    たくさん問題を抱えてのスタート。


    お馴染みのメンバーも出てきて
    みんなの変化を読むのも楽しかったです(^^)


    前作のキラキラ共和国は
    中身もキラキラで
    あーこんな関係素敵だなぁー
    って感じで読んだんですが


    今回はもっと地に足のついた関係になってて
    それはそれでまたよかったです
    自分も三児の母なので
    共感するところがたくさんありました

    ミツローさんの他人事な感じに
    イライラするところとか
    わかるー!!ってなってました笑


    そして学ぶところも沢山。
    鳩子さんの素直な考え方が好きなんですよね
    やってしまったことをきちんと反省できるところ
    私も見習いたいです。



    またQPちゃんの成長ぶりをみて、

    好きなように
    子供を撫でたり
    抱きしめたりできる時間は
    思ってる以上に短いのだ 

    というセリフがささりました。
    最近何度も思うことだけど、
    ホントに今を大事にしないとな。。

    怒ってばっかじゃダメだな


    『怒りで解決できることなんて
    なんにもないのだ
    怒られて、気分がよくなる人が
    どこにいるだろう』ですね。


    出てくる手紙もどれもとても素敵でした
    QPちゃんの手紙は泣けた…
    やっぱり2人の関係は素敵です



    最後は大好きなバーバラ夫人が出てきて
    またいろんなことを教えてもらいました

    お隣さんとのトラブルでの発言は
    なるほどなと感心しました
    さすがバーバラ夫人!!

    その他のことも、なるほどーと
    メモしたくなることばかり。

    うちの隣にも来て、
    娘にいろいろ教えてくれないかな…笑



    今ある幸せに気づかせてもらったり
    いろいろ教えてもらえた作品でした(^^)


    今日は子どもに怒らず、笑って過ごすぞ!笑

    • どんぐりさん
      はるさん

      コメントありがとうございます(^^)

      この本はただ読むだけでも楽しいのに
      いろんなことを教えてくれる本ですよね(*´-`)
      はるさん

      コメントありがとうございます(^^)

      この本はただ読むだけでも楽しいのに
      いろんなことを教えてくれる本ですよね(*´-`)
      2024/03/18
    • ippohiroさん
      せっこい私は文庫になるのをただただ待ち侘びております。文庫になったら真っ先に飛びついてやります。
      せっこい私は文庫になるのをただただ待ち侘びております。文庫になったら真っ先に飛びついてやります。
      2024/04/14
    • どんぐりさん
      コメントありがとうございます

      私はもっぱら図書館で借りてます(^^)
      買うなら文庫まで待つ気持ちわかりますー!
      コメントありがとうございます

      私はもっぱら図書館で借りてます(^^)
      買うなら文庫まで待つ気持ちわかりますー!
      2024/04/16
  • しばらく寝かせておいた「椿ノ恋文」ようやく読むことができました。本当は年末にじっくり読みたいって思っていたのですがコロナになってしまい読みたくても集中して読める状態じゃなかったので控えていたんです。けどようやく気力も充実してきたし、雨で何処にも行け無さそうなので腰を落ち着けて読むことができました。
    もうこのシリーズは安定の感があってすっかりファンになってますし、30になった鳩子さんに会えて嬉しかったです。なんと子供二人も産んで肝の座ったお母さんで、しかも年子で小1とか、QPちゃんも中3で反抗期とかで可愛らしかったし大満足でした。強いていえばミツローのだらしなさが目立ってましたね。まだまだこれから子育てに大変な時期だとゆうのに一人サーフィンとかしてる身分じゃないと思うのですが、鳩子さんにまで代書屋の仕事再開させていい気なものだと思ってしまいました。
    男爵がヒモダンって呼んでるところももっともだって思えますね。でも、ファンとして鳩子さんには代書屋して欲しいわけで今回も素晴らしい手紙の数々に心奪われてしまいました。QPちゃんからの手紙にも、どっと愛情感じてしまいました。でも、お隣さんへの子供になりかわっての詫び状はNGな気がしてます。あれは、一家の主人としてミツローが和解に向けて積極的に行動おこすべきだと思うのですが、(あるいは夫婦揃って)そうゆう大事なとこでもヘタレて何もできない旦那ってダメダメに思うのですが鳩子さんの寛大さを思わずにはいられませんでした。
    まあ結果からして周りに助けられて良かった様子でしたけどバーバラ婦人の度量には敬服します。
    それと江ノ電の鎌倉高校前に行ってみたくて仕方なくなりました。海の見える踏切はスラムダンクでも聖地になってるところですし。鶴岡八幡の参道も歩いて鎌倉アルプスもぐるりっとハイキングしたいって思ってるし、この本が文庫化したら付箋いっぱいつけて行ってみたいです。
    そうそう椿文具店のある二階堂ってそこから山沿いに行けばすぐ鎌倉アルプスなんですよね。

    まだレディババとの軋轢解決してないし、ミツローと別れてないので次回作もあると思うのですが無茶期待してしまいます。

    • つくねさん
      次回はこちらから会いに行こうと思ってます。
      関東の方だから鎌倉寄って、
      ツバキ文具店の世界観に浸りたいかな♪
      チーニャさんの息子さん、...
      次回はこちらから会いに行こうと思ってます。
      関東の方だから鎌倉寄って、
      ツバキ文具店の世界観に浸りたいかな♪
      チーニャさんの息子さん、お正月は会えなかったんですか?
      仕事してるとなかなかですもんねぇ。
      ミツローもサーフィンなんかしてないで年子の子供達とか
      一緒に遊べる時間って長い人生の中でもあと10年ぐらいしかないんだから、もっと遊んであげればって思うんですけどね。

      2024/01/23
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      わぁー、良いですねぇ〜(✪▽✪)♪
      息子さんに会えるし、鎌倉にも寄れるし、素敵計画あるんですね〜\(^o^)/イーナ 、イーナ!

      ツバキ文...
      わぁー、良いですねぇ〜(✪▽✪)♪
      息子さんに会えるし、鎌倉にも寄れるし、素敵計画あるんですね〜\(^o^)/イーナ 、イーナ!

      ツバキ文具店の世界観に浸ると言えば私はね、もうすぐ、息子の誕生日なので今日は、ささやかなプレゼントと共に、なんと手紙を…送りました(*^^*)ハイ!(笑)

      しじみさ〜ん…
      ミツローさんの事ですねぇ、確かに、そうですよねぇ…

      次回作でのミツローさんも、
      どうなっていくのか…
      気になりますね…
      このシリーズこれからも楽しみですね☆
      2024/01/23
    • つくねさん
      わぁぁーなんと、息子さんの誕生日にあわせてプレゼントに手紙ですかぁあ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
      それはLINEより効果あり...
      わぁぁーなんと、息子さんの誕生日にあわせてプレゼントに手紙ですかぁあ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
      それはLINEより効果ありますね。

      次回作ではね、
      ミツローが浮気してお店も潰れてしまい別れてると思いますよ( ̄^ ̄)ゞ


      2024/01/24
  • ぽっぽちゃんが帰って来ました

    『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』を読んでから時間が開いての第三作
    物語の中の時間も進んでQPちやんも中学3年生!うちの末娘と同じじゃないですか!

    そして読んでるうちに前作、前々作の内容がよみがえって来ましたよ!
    でもこれって自分としてはかなり珍しいんですよね

    がんがん読んで、がんがん忘れるっていうのが僕の読書スタイルなわけです
    ちなみにこれってGun&Rushって言って、1978年、79年とスーパーボウルを連覇したときのピッツバーグ・スティーラーズが得意とした戦術で、かの有名なトーマス・オブライエンヘッドコーチが考案したとされてるんですよね(嘘の密度がすごい)

    まぁ、それだけ印象深い作品だったと言うことですよね
    小川糸さんのなんだかふんわり優しさにあふれた文章というのもあるんですが、やはり作中に登場する、とてもひとりの人が書いたと思えない実際の手紙の数々ですよね
    今作では古いハガキが切手も含めてドーンと出てきたりしてそのへんも進化(?)してるのかな
    手書きの手紙なんかしばらく書いてないな〜なんてことを思いましたよ


    よーし、受験だ!
    お父さんに与えられたミッションはよそから風邪やウィルスを持ち込まないこと!
    責任重大だ!w
    手洗いうがい!!

    • 土瓶さん
      高校受験かぁ~(=_=)
      んんん。
      まるで記憶にないのはなぜだろう?
      まあ俺の場合は名前を漢字で書ければ入れるようなサル学校だったから...
      高校受験かぁ~(=_=)
      んんん。
      まるで記憶にないのはなぜだろう?
      まあ俺の場合は名前を漢字で書ければ入れるようなサル学校だったからな。
      ウッキッキー♪(笑)
      2024/01/20
    • ひまわりめろんさん
      ゆーさん

      応援ありがと
      本人が全く気負っておりませんがね
      誰に似たのかw
      ゆーさん

      応援ありがと
      本人が全く気負っておりませんがね
      誰に似たのかw
      2024/01/20
    • ひまわりめろんさん
      土猿さん

      うーん、わいも覚えてないな〜
      なんかそんな一大イベントでもなかった気がする
      土猿さん

      うーん、わいも覚えてないな〜
      なんかそんな一大イベントでもなかった気がする
      2024/01/20
  • 「ツバキ文具店」シリーズ3作目
    この作品も、とっても良かったです!!

    今作は、ポッポちゃんが、代書業を再開するという手書きの挨拶状から始まります。

    6年前に次女、その翌年には長男を出産し、この春
    中3に成長したQPちゃんの三人のお母さんになっていたポッポちゃん。
    下の子どもたちが小学入学を機に代書屋を再開するとのこと…。

    今作では下の子どもたちの育児や家事の忙しさに加え、成長したQPちゃんも思春期になり反抗期真っ只中で…。
    ポッポちゃんはQPちゃんの事が、いちばんの悩みの種になってましたね…

    代書の仕事に真摯に向き合っていく姿や、お馴染みの登場人物達との、あったかくてほのぼのとした交流は勿論のこと、新たな登場人物との関わりやストーリー展開、ワクワクして楽しめました。

    特にタイトルである「椿ノ恋文」は、私としては予想外の恋文だとわかりドキッとしたり…。
    いちばんジワッとなったところはQPちゃんとのエピソードや手紙。
    感情移入してしまい、思わず泣きそうになってしまいました…

    思ったのは、相手を傷つけずに、こちらの思いを上手く伝える代書業って、ホントにとっても難しいーー!って事。
    自分だったらどんな手紙を書けるかな?と
    考えてみても、私だったら頭を抱えそう…!!

    今作でも難しい代書の依頼ばかり次々と舞い込んできてました。
    言いにくいことを伝えたりするために
    苦肉の策でいろいろ検討し
    心を尽くしてなんとか丸くおさめようとする
    ポッポちゃん…。
    あ~ポッポちゃん、凄っ!!

    そして優しく癒やされ包み込んでるような
    この作品の舞台が…、やっぱりイイ!!
    鎌倉…。
    このシリーズ読むたびに、行ってみたくなります…

    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      しじみさ〜ん、こんにちは(*^^*)
      私、しじみさんの本棚に並んでいた事、気がついてましたよ。きっと近々読まれるんだろうなぁと、待ってました...
      しじみさ〜ん、こんにちは(*^^*)
      私、しじみさんの本棚に並んでいた事、気がついてましたよ。きっと近々読まれるんだろうなぁと、待ってましたよ〜( ⌯'֊'⌯) ও⸒⸒
      私も年末年始いろいろドタバタしていて、やっと少し時間が取れるようになってきた感じなんですよね、私も…!
      落ち着いて少しずつでも読書できたりするって事は幸せだなぁ…と改めて思う今日この頃です…☆

      コメントありがとうございます、レビュー楽しみにしていますね〜
      2024/01/16
    • mihiroさん
      チーニャさ〜ん♡こんにちは*\(^o^)/*
      こちらとっても良かったですよね〜!!
      私も、ポッポちゃん凄っ!!って思いました〜笑
      そしてまさ...
      チーニャさ〜ん♡こんにちは*\(^o^)/*
      こちらとっても良かったですよね〜!!
      私も、ポッポちゃん凄っ!!って思いました〜笑
      そしてまさかの恋文でしたね〜(*´>∀<`*)キャハッ
      今回も数々のお手紙にじんわりさせられました( ˘o˘̥ )あ〜鎌倉行きた〜〜い♪♪
      2024/01/17
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      mihiroさ〜ん♡こんにちは(*^^*)♪
      ねぇ、この作品も良かったですよね〜!!
      今回もね、手紙がね〰️(。´>᎔<ก̀。)
      ホント、手...
      mihiroさ〜ん♡こんにちは(*^^*)♪
      ねぇ、この作品も良かったですよね〜!!
      今回もね、手紙がね〰️(。´>᎔<ก̀。)
      ホント、手紙の力って凄いですね

      で、鎌倉行きたくなるのも同じで。もう、mihiroさんに共感の嵐…です…笑
      また、続編あるといいですね…♡
      2024/01/17
  • 大好きな「ツバキ文具店」のシリーズ最新刊!

    店主・鳩子さんもQPちゃんに続き、次女に長男と3人の母親となり、下の子が小学校に入学したのを機に代書屋を再開。

    懐かしい面々の状況も思い浮かべながら、今回も難しい代書に挑む鳩子さんに流石だなと思わされた。

    義理のお母さんの髪の毛が入った料理にどう言うべきか、言わない方がいいのか、悩んだ舞ちゃんに愛情のある手紙を。

    病気の後遺症で右手がうまく使えない女性に左手で書いた嫁ぐ娘への想い。

    老齢の夫へ事故を心配し、免許返納をお願いするために出した手紙は、意思の強さが流れるような美しい文字に現れていた。

    そのほかにもたくさんの依頼があったけれど、ここではやはり先代の恋文を見つけたことが、鳩子の心情を揺さぶり、ちょうど反抗期を迎えていたQPちゃんを誘い伊豆大島へ行ったことが大きなことだったように思う。
    先代の揺るぎのない真っ直ぐな愛情に溢れる文に孫の立場としては、どうなんだろうと思わなくもなかったが…。

    QPちゃんの鳩子への思いも手紙によってわかるのだが、これは涙腺緩む緩む…。
    素直に謝り、大好きな思い出の場所である波治加麻神社で、「失くしたものを追い求めるより、今、手のひらにあるものを大事にしたらいいんだ」とミツローさんが言った言葉に救われたと話しながら QPちゃんをおんぶした鳩子さんは、とても素敵だった。



    手紙は、素直な気持ちを文字に記して紙に残すことで、じんわりと相手の心に伝わるものなんだと感じた。


    鎌倉駅周辺をゆっくり歩いてみたい。
    そして、伊豆大島の椿も見てみたいなと思った。



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著者プロフィール

作家。デビュー作『食堂かたつむり』が、大ベストセラーとなる。その他に、『喋々喃々』『にじいろガーデン』『サーカスの夜に』『ツバキ文具店』『キラキラ共和国』『ミ・ト・ン』『ライオンのおやつ』『とわの庭』など著書多数。

「2023年 『昨日のパスタ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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