明日、自殺しませんか: 男女七人ネット心中 (幻冬舎文庫 し 22-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344409088

作品紹介・あらすじ

二〇〇四年、ネットで集まった見ず知らずの男女七人が車の中で練炭自殺を図った。彼らはなぜ死を選択したのか。初期の頃からネット自殺を追い続けてきた著者は「死んで欲しくない」一心で彼らを止めようとするも…。実行にふみきれず、死を免れた参加者への取材も新たに収録。自殺が跡を絶たない現代に、改めて命の価値を問うノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 前著 『 男女七人ネット心中 』に加筆した文庫版。

    いわゆる「ネット自殺」の周辺への丹念な取材が結実したノンフィクション。
    著者は関係者からの信頼と共感を力に、具体的な事実を集めていく人間的な取材者である。
    しかし著者自身のレビューにも書かれているように、自殺した人の動機や心情を他者がたどることには限界がある。親しい友人や恋人、配偶者や肉親であっても、亡くなった本人の心を精確に捉えることは困難だ。 

    あるいは知人を亡くした準当事者の手記と割り切るなら、筆者自身の心情や推論を織り込んで書くことも出来ただろう。しかし、筆者はそれをしない。渋井氏は本書においても客観的で抑制された筆致に踏みとどまっている。
    けれども、断定を避けるかのような言い回しが目立ち、もどかしさを感じた。

    取材を深める程に「真実」が遠ざかる。
    自殺関連取材のジレンマを思った。

  • 文庫版あとがきが、その後をフォローしてくれてありがたかった。

  • ふと目に入った「七人ネット心中」の文字にピンと来て購入。mariaとは、昔ハマっていたチャットでの知人だった。埼玉で集団自殺をしたという噂を聞いた時の衝撃は大きかった。当時は、解離性障害もDVも子供がいることも全く知らず。「死にたい症候群」のサイトも後になって知った(後にできた?)と記憶してる。一度オフ会で会った際に真っ赤なポルシェで登場した時は、アーティスト特有の不思議感程度に感じていたと思う。
    この本で集団自殺の真相がわかるわけではないし、ましてや心の奥や直前の当事者たちの想いがわかるわけでもない。でも、mariaやその他多くの事例にあった自殺志願者(多くはすでに亡くなった方)の想いはひしと伝わってくる。それは単純に「自殺」という言葉でくくれるようなものではなく、いろんな想いが複雑に絡み合ったもの。
    万が一、当時の僕が自殺について相談されていたらどうしてただろう。浅はかに「止めなよ」といって後々後悔してたかな。今なら言わないだろうな。自殺=悪という考え方はそう簡単に払拭されることはないだろうけど、生きづらさを知った今、自殺はひとつの選択として社会に認められるべきだと思うようになった。
    そんな中でも、mariaは強く生きようとしてたのはメリマリやJTPの歌詞を見てもわかるし、この本からも伝わった。最後の選択が「集団自殺」というのが正解なのかはわからないけど、この本を読んで、今になって生前のmariaの生き方の格好良さを強く感じとれた。「横向きに生きる」。僕が感じていた「生きたくもない死にたくもない」という曖昧な感覚を見事に言い表したいい言葉だ。勝手に、形見としてこの言葉を大事にがんばらない生き方をしたい。

    メリマリのCDを聴きながら。

  • インターネットで知り合った人と自殺を図る。
    ネット社会の闇に迫る一冊。
    関連として南条あやさんの名前も登場し、それがきっかけで南条さんの本も読みました。

  • ネット心中なんて言葉が作り上げられてしまう、そんな出来事が起きてしまう、そんな世の中になってしまったこと、もっと人は真摯に受け止めるべきだ。

    ネット心中事件についてはもちろん、自殺志願者や自殺サイト、精神疾患についても触れている。

    そんなの、人事だよ、なんて笑ってられる世の中じゃない。

    例え自分が自殺という行為から遠くに存在しているとしても、自分の周りの大切な誰かにその願望が無いとは言い切れない。
    大切な誰かにそういう相談をされたときに、わたしはどうするのかな、と思った。

  • 21/04/08

  • 自殺する人は必ずしも絶望するようなことがあって自殺するわけじゃない。それがわかっただけでもためになった。

  • 練炭集団自殺・ネットでの自殺募集の事件を追ったノンフィクション。
    自殺系サイトはどんどん削除されていく中、サイト存在の是非を問われる本。

  • ネットってそういうもんなんだ。
    なんでも見つかる。
    便利と危険の表裏一体ですね。

  • 数年前に起きたネット心中を中心に、「生きづらさ」を抱えたひとたちの話。
    直接取材をして、それを書かれていて、「なんだかその気持ち、分かるなぁ。」と思ってしまう話が多かった。

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著者プロフィール

1969年栃木県生まれ。ジャーナリスト、中央大学文学部講師。東洋大学大学院文学研究科教育学専攻博士前期課程修了。元長野日報記者。おもにネット事件、自殺問題、若者の生き方、サブカルチャーなどを取材。98年からは、ウェブと生きづらさをテーマに取材を進めている。

「2020年 『学校が子どもを殺すとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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