知的幸福の技術: 自由な人生のための40の物語 (幻冬舎文庫 た 20-4)
- 幻冬舎 (2009年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344413733
作品紹介・あらすじ
億万長者になって王侯貴族のような生活を送ることは誰にでもできるわけではない。だが自分と家族のささやかな幸福を実現することは、難しくはない。必要なのはほんの少しの努力と工夫、人生を設計する基礎的な知識と技術だ。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』の著者が、激変する状況のクールな認識から人生設計を再構築する方法を凝縮。
感想・レビュー・書評
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橘玲が得意な論文引用、その牙を借りながら世の中の本質を切り刻む鋭さが本著には無い。単に社会制度をハックする視点で、しかも、その目線が高くないから、カジノを嫌うのはパチンコの利権だとか、マンション経営で10%の儲けという広告に手を出さない自分は馬鹿だとか、保険に意味があるかとか、テーマがショボい。それでいて知的幸福の技術とは大仰な。ただの小金稼ぎのテクニック論にも見えて、橘玲らしくない。残念。
最後に書評、解説で小幡績に橘玲は投資家かギャンブラーかと論じられ、「投資家のふりをしたギャンブラー」と言われている。どちらにしたって、他人の褌で相撲を取る、論文引用者を皮肉っているように聞こえて切ないではないか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
橘玲が綴る40の物語。
厳しい現実を淡々と、クールに、気持ちいいくらいビシビシ突きつけてくれます。
マイホームご購入、生命保険加入を検討中の方にご一読頂きたい。
どちらも考えてないけど、年金がもらえるのか心配な方も是非。
名言だと思った部分を一部抜粋。
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・生命保険というのは、身も蓋もない言い方をするならば、宝くじの一種である。保険料は宝くじ代金の分割払いであり、自分が死ぬと保険金という名の当せん金が支払われる。
さらに、一般の宝くじと同様に、生命保険の場合もほとんどの人が損をする。おまけに経費率が高いので、ギャンブルとしては救いがたいほど魅力がない。だが、抽選に外れたということは自分がまだ生きているということだから、文句を言う客はいない。
・保険とは損をすることに意味のある宝くじなのだ。
・全財産百万円に加えて四百万円を銀行から借り、五百万円を一つの銘柄に投じる人がいる。資産運用理論からすれば彼のやっていることは狂気の沙汰だ。不思議なことにこの国は彼のような危険な投資家であふれている。
五千万円のマイホームを購入するのに、ほとんどの人は一千万円の自己資金しか用意しない。残りの四千万円は住宅ローンで借りるからだ。誰もが当たり前と思っているが、やっていることは不動産を投資対象とするハイリスクな信用取引と変わらない。
・米国では目の前に理想の病院があっても、ほとんどの人がその恩恵を被れない。最高の治療を受けるためには金が必要なのだ。
・だが、私たちにも、十分な治療を受けるために必要なものがある。それは時間だ。・・・・・・・日本では暇な人ほど質の高い医療を受けられる。金で患者を差別するのは不平等である。では、時間による差別は何と呼ぶのだろう。
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この本はあくまで橘エッセンスを集めたものだと思うので、『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』とかもっと厚めの本で勉強しないとちゃんとは理解できないかな。復習せねば。。。 -
電子版
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これはあんまり端的すぎて要領を得ない
別の著書を読んだほうがいい。これは問題点だけあげつらねて、解決策はない。 -
落ち着いた空気で読める、データと感情から考える幸福。
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『雨の降る日曜は幸福について考えよう』の文庫版。注釈が増えてる程度で内容は一緒。
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うーん、当たり前だが、幸福になるための明確な答えは綴られていないが、表沙汰になっていない、凡人が学ばない数々の世の中の仕組みを別の方向から教えてくれた。
公立学校、医療保険、生命保険、宝くじ等々の提示は納得。
結局、幸福は、一人ひとり異なるということだ。
自分で自分の身を守れるよう、賢くなりたいものだ。先ずは、宝くじを買うのを止めよう! -
日本は世界でもっとも豊かな社会の一つである。たいていの場合、残された家族は、夫婦どちらかの実家や親族の経済的援助で、これまでと同レベルの生活を維持できるだろう。遺族年金や死亡退職金も含めれば、こうしたケースでは生命保険はほとんど必要ない。
黄色のハイライト | 位置: 484 オプション
百万ドル(約一億円)の資産があれば、世界中のどの国でも富豪の仲間入りができる。日本はもうすぐ、ミリオネアでなければ生きていけない国になるらしい。 人々がふたたび年金制度を信頼するまで、この荒唐無稽な 法螺 話が効力を失うことはないだろう。不安ビジネスの黄金時代はまだまだ続くのだ。
黄色のハイライト | 位置: 911 オプション
不動産の購入とは所有権を手に入れることだ。あらゆる権利には義務が伴うが、このことはあまり知られていない。
黄色のハイライト | 位置: 914 オプション
管理費や修繕積立金は物件所有者の債務であり、登記と同時に支払い義務が発生し、第三者に所有権を譲渡するまで続く。勝手に支払いを止めると管理組合に訴えられ、資産を差し押さえられても文句は言えない。
黄色のハイライト | 位置: 1,321 オプション
年金問題もその一例で、受給額に関係なく人生を謳歌できる資産があれば「問題」そのものが消滅して
黄色のハイライト | 位置: 1,329 オプション
いずれ、社会の 歪みを一人ひとりが孤独に背負う時代が訪れるだろ
黄色のハイライト | 位置: 1,381 オプション
人生を経済的側面から語るなら、その目的は何ものにも依存せずに自分と家族の生活を守ることのできる経済的独立を達成することに
黄色のハイライト | 位置: 1,405 オプション
匿名性は個人の生活に大きな利益をもたらすから、それを失うにあたっては、リスクを上回る十分なリターンがなければ帳尻が合わない。芸能人やスポーツ選手など、プライバシーの放棄が前提となる職業が高額の報酬に値するのは、成功の代償として失うものがあまりにも大きいからだ。私の場合、それほど有名になれるわけでもなく、経済的利益も微々たるものなので、プライバシーという大きな財産を手放す気にはなれそうも
黄色のハイライト | 位置: 1,423 オプション
制度を批判することはあっても、それを担う個人を批判しないこと。匿名の人間が、実名で社会生活を送る人に言いがかりをつけるのはやはり公平性を欠くだろう。
黄色のハイライト | 位置: 1,446 オプション
人生をあっけなく終えてしまった友人を見送った頃、「経済的独立Financial Independence」という言葉を知った。国家や会社に経済的に依存していては真の自由はない、という主張には心を揺さぶるものがあっ
黄色のハイライト | 位置: 1,532 オプション
現在の日本では、豪邸を構え、ベンツに乗り、銀座のクラブで豪遊するのはサラリーマンではほぼ不可能だ。このような生活を望むのであれば、自営業者や会社オーナーなど、税引き前の収入を受け取る立場を目指すしか
黄色のハイライト | 位置: 1,545 オプション
「個人の資産運用という観点から見れば、地価の変動に対してリスクを負わない賃貸の方に経済合理性がある」というのが私の
黄色のハイライト | 位置: 1,621 オプション
人生の経済的な側面に自覚的であれば、必ずやゴールという最高の報酬が与えられるに違い -
福祉国家とは、発展途上国からの移民を閉ざす差別国家である。
福祉国家を目指せば、必然的に差別を内包する。
福祉とは、国家権力をもって、社会的弱者と認定した者に対して、制度の歪みを作用させる事で金銭を与える事である。 -
エッセイ集
生命保険は、負けても怒られない宝くじ
厚生年金は不利だが、国民年金は圧倒的に有利な明朗会計
教育投資にどれだけの優先順位をつけるべきか
マイホームというオカルト投資
長期分散投資は確実に有利だが、実施する人は少ない
儲かる商売はあるが、他人の承認を得られない人生に人は耐えられない
市場の歪みを利用して設けるのは難しい。市場の歪みはすぐに消えてしまうから。
社内の歪みを利用して設けるのは比較的に容易。社会の歪みは、政治的理由により、なかなか是正されないから。
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思索
お金 -
橘玲さんの著書は面白いものが多くて好きなのだが、それらに比べると見劣りするかも。寄せ集め感があって散漫な印象。ファンだからこその、一感想。
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2015年18冊目
タイトルは40の物語とあるが、実際は著者 橘氏の世の中に対する評論的な要素が強い。
人生設計
生命保険
年金
医療
教育
不動産
資産運用
市場経済
の切り口に分かれている。
橘氏らしい自分の頭で考えた冷静な分析がいいです。
ただ、こうすれば良いという見解はまったく書いてませんので、
こうしたらいいんだ、などの答えを求める方には不向きです。 -
人生設計、生命保険、年金、医療、教育、不動産、資産運用、市場経済というテーマについて、身もふたもない真理を淡々と指し示す40のエッセイから成る本です。
タイトルは、梅棹忠夫の『知的生産の技術』(岩波新書)にもとづいているのでしょうが、アカデミシャンの梅棹の本にある種の熱量がこもっているように感じられるのとは対照的に、本書はきわめてクールな現実の認識が、読者にあててそっと差し出されています。とはいうものの、ほんとうはだれもが薄々感じていながらも正面から目を向けることを怠っていた「幸福」のための技術をはっきりと提示した本書には、「知的生産」のための技術があるという、当時としては破天荒な主張を展開した梅棹の本に匹敵するラディカルさがあるように感じられました。 -
橘氏のエッセンスが凝縮された美しいエッセイです。
これまでお金にまつわる様々な著作を発表されてきた著者ですが、本書はそれらのエッセンスをまとめたものです。
もとは、日経に連載されていたものとのこと。
それに加えて、氏の思想のバックボーンとなっている思想が紹介されているので、とても興味深く、それらも読んでみたくなります。
解説をKBSの小幡先生が書いていることも、目から鱗でした。なるほど。 -
まあ面白かったかな
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経済的自立を達成するには経済合理的に行動すればいい
橘玲の著作の核心部分です。日本人の行動基準は確実に合理的になっています
。以前は「コスパ」なんて言葉は広く使われていませんでしたが、
今はあらゆる場面(人間関係、付き合い等でも)でコスパを基準に行動する人が増えました。
社会は、潔癖主義(社会常識に照らして白黒つけたがる)になっていますが、
利便性と合理性を追求する社会では仕方ないのかもしれません。
全ては自己責任になっています。
内容自体は少し古びていますが、10年以上も前に氏が提起したことを考えても、
その先見性には脱帽します。 -
何度か改訂はされているものの、実質的には十数年前の本。にもかかわらず内容に古さは感じられず、むしろその当時指摘した通りの状況になっている。
その当時は色々異論もあったのかもしれないが、今やそんな人もおらず、現実を淡々と受入れているように見える。 -
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