棘の街 (幻冬舎文庫 と 9-1)

著者 :
  • 幻冬舎
3.11
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本棚登録 : 564
感想 : 51
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  • Amazon.co.jp ・本 (589ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344413740

感想・レビュー・書評

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  • 仕事一筋に生きてきた捜査一課の上条は、誘拐事件の身代金受け渡しで失態をしてしまい、捜査をはずされる。10ケ月後、被害者…高2男子の遺体が発見される。被害者は初めての恋人の息子、舞台は棄てたはずの故郷。誕生以来会っていない息子、亡妻の両親、否応なしに自分の過去と向き合う上条…

    棄てた故郷→汐灘サーガ、父子関係→アナザーフェイス、一匹狼の刑事→鳴沢了? と、数ヶ月堂場作品を読み続けた私には、いろいろな作品のミックスに思えてしまった。
    サスペンスとしての筋書は平凡だし、刑事ものとしても佳作だが、父子の葛藤、棄てた故郷への思い等の人間描写は優れているので、ついつい先を読んでしまい、一気に読破。

  • 読んでなかった堂場さんの初期の作品で、シリーズになってないもの。う~ん、悪くないんだけど主人公が嫌い。小説やドラマでよく仕事で大事な人の死に目に会えなかった人が責められる描写があるが、なんで?そんなこといくらでもあり得るやろと突っ込みたい

  • よかった。最後まで引き込まれた。

  • 初堂場作品、とても面白かったです。
    結構厚みがありましたが、冒頭から引き込まれあっという間に読み終えました。

    テーマは親子なのかな。

    被害者の親子関係、犯人の親子関係、主人公で刑事の上條の父、そして思いがけず再会する息子との関係、全て今でいう毒親と言われる親元で育った人達の苦悩と歪みが描かれている様に思いました。

    主犯の少年は常軌を逸したサイコパスで、宮部みゆきの模倣犯を思い出し気分が悪くなる場面もありましたが、少年が何故そこまで歪んでしまったのかという背景が描かれていなかったのが少し残念に感じます。

    主人公以外のキャラクターもとても魅力的な人ばかりで、カフェ?のマスターの萩原さんが出てくるとホッと和み、同級生お二人との会話もとても面白くクスっと笑えるシーンもありました。

    一番最後のシーンでは、上條がようやく自分の父と自分を赦し、今まで目を背けてきた現実に向き合おうと決意した瞬間だったのかなと感じ涙がこぼれました。

    ハッピーエンドではないし、全体的に重たい話ではありますが、誘拐事件をベースに、刑事上條の心の機微、葛藤が描かれ世界観にどんどん引き込まれるとても魅力的な作品です。

    堂場瞬一さんの作品ハマりそうです。
    他の作品も色々読んでみたいと思います。

  •  

  • 父子関係が丁寧に描かれていて読み応えある。
    一方で、サイコパス的な主犯の背景とかが書かれてないのが物足りない。

  • 薄味ではない、力のこもった作品だと思う。ロバート・B・パーカーの「初秋」を意識しているのは間違いないが。

  • 堂場さんの作品はスポーツ物は何冊か読んだけど、警察小説は初。

    地方都市・北嶺での誘拐事件は、上條のミスにより被害者が殺害され、捜査が行き詰まっていた。誇りを取り戻すため捜査に邁進する彼の前に現れた少年。その出会いが彼が封印してきた過去を解き始めた時、事件は意外な姿を見せる・・・・・・。

    長かった。なかなかの長編で、読み始めた時は物語に入り込めず苦労した。主人公の性格が少々デフォルメされてるように思う。警察という組織の中での立ち位置を強調したのだろうが、現実感という意味では疑問符。
    犯人の少年の描写は上手い。キ○ガイじみた性格もよく描けていて、読んでいて嫌悪感さえ感じさせる。
    勧善懲悪を好む自分としては、犯人の結末も合格点。

    前半は苦労したが、後半はほぼ一気読み。
    プロットもよく練られているけど、主人公の性格描写なんかはもう少し丁寧に描かれていても良いような気がする。
    ☆4個。

  • やっぱ刑事もの、好きかも。

  • 主人公含め出てくるキャラがどいつもこいつも嫌なヤツばっかり(爆)。
    なのにページを繰る手が止まらなかったのはいったい何故だ。

    嫌なヤツ、というのはちょっと語弊があって
    揃いも揃って屈折してるか虚勢張ってるかのどっちからしく
    どうしてそうなったのかもある程度は読んでれば判るようになってた。
    ひとりを除いては。
    主犯のあいつだけはどうしても理解できん。

    取り敢えず一件落着、とはいうものの、
    モヤモヤした何かが残るのはいつもの堂場作品の例に洩れず。
    最後の1ページくらいでようやく光明が差したかな。
    今まで読んだ堂場さんの本の中で
    いちばんきっぱりとした終わり方だったように思う。

著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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