ベイジン 下 (幻冬舎文庫 ま 18-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (366ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344414693

感想・レビュー・書評

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  • 原発というものが神の火ではなく悪魔の火であることがよく理解できた。未だに電力会社に飼われている家畜やカネに目がくらみ放射能産業に群がるハイエナどもに読ませてやりたい。震災よりはるか以前にこの本を書かれた著者に敬意を表したい。この本が福島の原発大爆発よりも前に書かれていたということの意味を日本国民には考えてもらいたい。この本のタイトルはベイジンではなくフクシマでもおかしくはない。

  • 中国と日本の人間性違いは、大元ではあまり違いがない。
    日本にも偽装問題があるし、
    利己主義なところがいっぱいある。

    日本人と中国人は個人ベースでは、
    信頼できるパートナーになりうる。

    そんな小説だった。

  • 2015/9/28読了

  • 中国で原子力発電所を舞台に、エンジニア、官僚、映画監督を主人公として展開される。3.11を予期しているかのような克明な描写があり、続きが読みたくなる。中国でのビジネスの難しさを読みながら考えることができる。

  • 2015/3/3読了。Kindle版。


    東方地方太平洋沖地震があった2011年よりずいぶん前、2007年6月から、週刊誌での連載により始まったこの本の内容に、まず驚く。
    福島原発の事故と、ついついリンクして読んでしまう。

    中国の複雑な政治情勢、国民性にからめて、世界最大の原発を中国国内に建設し、運開する、日本人原発技術者の奮闘、そして彼と中国側の責任者との友情などがとてもうまく描かれていて、原発の構造や技術用語など、少し戸惑ってしまうような難しさも気にならず、純粋に楽しめる。
    特に下巻の最後の方は、文字通りドキドキハラハラ、ついページを飛ばしたくなるほどの、緊迫感に満ちている。

    ただ、上下巻通して読み終わった今、楽しく読めはしたが、「思ったより軽かったな」という印象が残る。
    「原発」を扱っているだけに、もう少し、重量感のある、どっしりとした重厚な作品をどこかで期待していたのかも。
    その辺りが、星が一つ減ってしまった理由かもしれない。

    「諦めからは何も生まれない。希望とは、自分たちが努力し、奪い取るものだ」という一節は、とても心に響いたけれど。

  • 中途半端な終わり方がすごく残念、せっかくいいところだったのに…

  • 中国北京五輪開催と同時に、世界最大の原発を立ち上げるも、その直後に事故が起きる。日本人責任者が、原発を止めるべきだと言ったにも関わらず、中国は止めようとしなかった。そのせいで、大事故が起きる。責任者達は必死に原発を止めるべく、手を尽くすも、手抜き工事や杜撰な体制が浮き彫りとなり!あり得ない事づくし。中国の腐り切ってる状況が目に浮かぶ。最後、果たして原発を止めることが出来たのか?ハッキリしない所で物語は終わる。日本人の努力により、止めることが出来たと思いたい。

  • 面白い、読む手が止まらない。中国オリンピックの開幕にあわせて稼働した世界最大の原子力発電所。しかし、そこで事故が起きる。そして、それに立ち向かう人々、面白いんだよ、面白いんだけど、結末が。。。。仕方がないのかもしれないけど。フィクションなんで、それを書かずにどうするの?という思いがある。

  • 下巻最後の方の切迫した空気がたまらない。予測不可能な状況下での仕事にプライドを持つ人間たちの決断がかっこいい。そこには、人種や民族性を超えた結束があるのだと思う。

  • 最後がはっきりしない

  • 北京五輪開催式と同時に稼働させる予定だった世界最大の原発。

    中国の闇と現実を描き、その中で「希望」を見いだし生きていこうと突き進む人たち。
    全く違う場所で、違う環境で、違う目標に向かって生きていた3人の人たちが、交わり、共に突き進んでいく姿がとても自然に、上手に描かれていた。

    やっぱり真山仁はすごい。

    ベント、蒸気爆発など、福島第一原発を予言しているようなこの内容にも本当に驚きます。
    真山さんは、二酸化炭素削減のために全世界が「原発推進」の姿勢を取り、原発建設ラッシュになっていることに不安を抱き、本作を作ったそう。
    その不安が、悲しいことに的中してしまった。
    真山さんは今、一体何を考えているんだろう。

    「原発は、我々に素晴らしい恩恵を与えてくれる。だが、人間の心に隙が生まれた瞬間、神の火は、劫火に変わる。」

  • 先輩!

  • ○真山仁氏の著作。
    ○中国における原子力発電所建設を主テーマに、原発の安全性、共産党の権力闘争、中国人の貧富の格差、中国人の仕事の姿勢など、現在のエネルギー施策や対中政策の課題等を明らかにした作品。
    ○細かい場面展開に、ハラハラするとともにグイグイ引き込まれてしまった。
    ○結末の展開は、意外だった。読み応えのある一冊。

  • 福島原子力発電所の事故とほぼ同じ状況を描いたこの小説には驚きを感じた。ただ、最後の終わり方は賛否両論だろう。

  • 鄧学耕が 朱克明のもとに 組み込まれていく。
    政治的な力学が つねに左右する。
    中立や無関係は存在しない。
    無口で余分なことを言わない鄧学耕。

    『希望とは 自分たちが努力して 奪い取るものだ』
    と 鄧学耕はいう。

    希望とは 世界で最大級の紅陽原子力発電所を
    稼働させることであるが、
    ラジオが 発電所内に持ち込まれて、それが問題を起こす。
    そのラジオは 大連市長が経営している会社のもので、
    原子力発電所のスタッフにプレゼントされたものだった。
    オリンピックの開会式に 発電を間に合わせることに
    成功するが、そのあと ブラックアウトとなる。

    一方で 大連市の市長をターゲットにして 中紀委が拘束しようとするが
    中紀委の書記の寝返りで果たせなかった。

    つぎつぎに 発電所内で 火災が発生し 爆発をおこす。
    鄧学耕と 田嶋はこの危機を どうのりきるのか。

    中国という国を 中紀委 という視点を入れて
    眺めたことが この作品の特徴であり、優れたところである。
    田嶋と言う 優れた日本人が 描かれているが
    鄧学耕は スーパーエリートであるが,柔軟性もあり,
    このような中国人が本当にいるのか と疑わざるをえない。
    あまりにも,日本人的な思考力である。

    それでも,いい作品であることは確かだ。

  • ☆☆☆☆

  • 中国で原子力発電所を設立するまで様々な障害を乗り越えていく中で生まれる日本人技術顧問と中国人責任者。
    しかし汚職はびこる地方行政の影響で、原発の環境は著しく悪くなり、ついに。
    2008年に書かれたこの本。あたかもフクシマの原発事故を見たかのように生々しく事故が書かれていく。

    事故が起こって、どのようになっていくか・・・
    というところで終わってしまい、物足りなさを感じた。

  • 難しい問題だけに、こういうラストにせざるを得なかったのだろうか…真山作品らしくない終わり方。

  • 感想はまとめてこちらに(σ・∀・)σ
    http://booklog.jp/users/fleurenbonton/archives/1/4344414683

  • 3.11と尖閣問題の後となった今、改めて文庫本で読んだ。やはり真山仁はスゴい!! 改めて日本人と中国の難しさと原発の恐ろしさを感じる。これは今こそ必読。

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著者プロフィール

1962年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004年、企業買収の壮絶な舞台裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。映像化された「ハゲタカ」シリーズをはじめ、 『売国』『雨に泣いてる』『コラプティオ』「当確師」シリーズ『標的』『シンドローム』『トリガー』『神域』『ロッキード』『墜落』『タングル』など話題作を発表し続けている。

「2023年 『それでも、陽は昇る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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