- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344416833
作品紹介・あらすじ
戦場のような職場での仕事と恋に疲れた弥生が、転職先に選んだ会社は、田舎の納豆メーカー。東京にない、ゆるい生活が始まった。が、ある日、会社が乗っ取られるとの噂が!凍っていた弥生の心に火をつけたのは、同僚の沢森君の「戦うのが怖いだけ」という言葉だった。実は納豆嫌いの弥生に、何ができる?書き下ろし短編「はるのうららの」も収録。
感想・レビュー・書評
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東京の外資系の証券会社でバリバリ働いていた弥生は、田舎の健康食品の下請けメーカーに転職した。
実は納豆が苦手だったのに、採用はあっさりと決まってしまった。
バラエティー豊かで仲のいいメンバーと、何だかほのぼのとしたゆるやかな毎日が始まってゆく。
人生には休息が必要なのだと思う。本当にそう思う。
世の中にはうまくいかないことの方が多いのだから。
「ネバーラ」という一見おかしなタイトルだけれど、恋愛の要素も少し含まれていて、読んでいくうちに、身も心も癒されます。
併録されている短編「はるのうららの」は、高卒でネバーラの事務員として働いているマユミの、高校時代のことが書かれています。
東京への憧れは、熱病みたいなもの。
でも、東京にはない何かがこの土地にはある。
本編と似通ったテーマがここにも見つけられて、温かい気持ちになれます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
瀧羽麻子さん5冊目。東京の外資系証券会社で7年間、バリバリ働いてきたが疲れて切ってしまった女性・弥生が主人公。北関東の会社に逃げるように転職する。配属の経営企画課のメンバーはみんなほのぼので徐々に弥生も溶け込んで行く。瀧羽さんご自身がそうであるのかもしれないが、瀧羽さんの小説に出てくる女性主人公は聡明で冷静で本書の主人公もそんな感じの人だった。作中、弥生はとある決断を迫られ選択する。個人的にはその選択をした弥生が、今、どんな人生を歩んでいるか、ぜひ続編を出してくれれば良いなぁと思った!東京とは異なる、自然豊かでのんびりした雰囲気に読んでいる私もすっかり癒されてしまった。「どんな人にも人生が手に負えなくなる時はある。そしてその時に休むのは正しい」というフレーズが印象的で、大変なときは休んだって良いのだなと心が軽くなった気がした。
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ゆったりとした気持ちで読めるお話し。
読み終わった後は納得を食べました。 -
初めの弥生のダレた部分でもデキル女感が伝わってきましたが、少しずつやる気スイッチが入った辺りから物語に引き込まれました。
ネバーラの社員が人間味溢れたイイ人達で
行きつけのお店もできていたりデキル人は適応も早くて羨ましくもありました。
最後の決断にはあっと驚くものがありました。
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2019/3/12
好き!
最近心が忙しくてなかなか本を読めなかったんだけど、瀧羽さんなら読めるかなって。いまにピッタリでした。
心も体も疲れ果てて、北関東の田舎町へ転職した弥生。
帰れる場所がないなら自分で作ったら良いんだ。
マユミちゃんは本編と少しイメージが違ったかな。 -
うさぎパンに続き瀧羽さんの本を連続で読みました。
いつもなら、同じ作者の本は続けて読むことは少ないのですが、瀧羽さんの文章が好きになってすぐ読みました。
結果、ネバーラもとても好きな文章でした。
うさぎパン同様、小説だと分かっていても、実在しているように感じるくらい、登場人物の描写が細かくてイメージしやすいです!
桃子さんの居酒屋 なにわ にも行ってみたいです -
仕事の話し 面白い
はるのうららの も ささっと面白かった
「東京に行く」が進路などの選択肢の一つになるのは、私は、心の底からは分かってないのだろうけど。
最近納豆をランチで食べるようになったのは、影響ありかな? -
主人公の「仕事ができる人」感など、伝わらないあれこれはあって、それが薄っぺらい感じには確かになっているけれど。この人の文章がとても好みで、読んでいるだけで満ち足りてしまうので、その辺はあんまり気にならずに終わった。
私もなにわで飲んでみたい。
波風のあまりない平和で退屈な日常はとても尊いと思う。 -
恋も仕事も失った女性が、地方の町で少しずつ新たな生き方を見いだしていく。
あっさり読めて、のんびりしたぺースがいい感じです。
弥生は、1時間に1本しかないバスに揺られて、会社に通う。いつも同じ席、同じ顔ぶれ。
一ヶ月前までは、外資系の証券会社に勤めて7年、部下もいるエリートといってもいいキャリアウーマンだったが。
恋人に他の女性が出来て、「君ならすぐにずっと良い条件の相手が見つかる」と言われて去られる。
真剣に愛しているつもりだったのに、条件で選ぶ打算的な女だと言われたようなもので、それを否定しきることも出来ない。
会社を辞めて、全く別な土地で働くことを選び、健康食品の下請けメーカーに入った。大手メーカーにいろいろな半完成品を納入するのだが、主力商品は納豆だった。
社員食堂のすべてのメニューに、納豆が付いてくる。
経営企画部は、ほとんど何でも屋のようなもの。メンバーは5人。
正社員は杉本課長と弥生、それに童顔の沢森くん。
パートの西川さんと事務員のマユミちゃん。
誕生日を幹事持ち回りで祝うというアットホームな職場だった。
弥生は、まだあまり仕事に集中することも出来ない状態で、3割程度の力で仕事をしていたが、ぬるい生活も悪くないと思う。
孤独がちで携帯も持たないほどだったが、だんだん町にも慣れていく。
「なにわ」という居酒屋の女主人・桃子には「あんたか、東京から来たっちゅうおねえちゃんは」とすぐ店に引っ張り込まれる。
東京本社から佐久間という男性が赴任してくる。
8月までの研修だという。
あたたかい仲間に囲まれて、次第に仕事に本腰を入れるようになった弥生だが。
佐久間に東京本社へ誘われ、皆が弥生を見送ろうとする。
弥生の決断は?
外資系の証券会社で部下を使う女性の実感はわからないけど。
人生が何かで大きく変わるということはありますよね。
苦しみは否定出来なくとも、冷静さも健康さも完全に失ったわけではない。
弥生さんの淡々として様子も含めて、ごく普通な人の暮らしの地道な確かさに触れられるのが、心地良い。
著者は1981年兵庫県生まれ。
2004年、京都大学卒業。2006年、小学館「きらら」携帯メール小説大賞グランプリ06受賞。
この作品は2008年2月発行。 -
悩みました。結構楽しく読めたのですが、中身の薄っぺらいお仕事小説で、苦悩や再生がとってもペラペラで登場人物も結構魅力的になりそうなのにとっても薄くて書き割りに見えます。なので☆2にするか悩みました。でも楽しんだくせにそりゃないよなと自戒の意味も込め☆3つ。