- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344419209
作品紹介・あらすじ
村上隆、奈良美智と並ぶ天才美術家、会田誠。物議ばかりを醸してきた彼の頭の中身はどうなっている?カリコリっていったい何?アートの最前線から、制作の現場、子育て、2ちゃんねる、中国、マルクス、料理などをテーマに、作品同様の社会通念に対する強烈なアンチテーゼが万華鏡のように語られ、まさに読み始めたら止まらない面白さ。
感想・レビュー・書評
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会田誠を手の届かない崇高な人だと思っていたけど、良い意味で人間らしくて、より作品を見たくなった
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「会田誠」、名前は知っていたし、いつか美術館で展示作品を見た記憶もある。が、一瞥してさっと通り過ぎる程度だった。
本書を手に取ったきっかけもものすごく微妙で、何の目的もなくふらりと書店に立ち寄って、文庫本を物色していたらふと目に留まり、ああ、そういえばいつかのブルータスに載っていたな、という軽い気持ちで手に取ったのだった。でページを開いたのだが、立ち読みするうちにやめられなくなって購入。
美術界のことは何も知らないけれども、美術界も世間一般と同じような本質を欠いた流動的メカニズムで動いているらしく、会田氏がそんな潮流に逆らって生きているというのがひしひしと伝わってくる内容で、
これは別に芸術にかかわらず、一人の(狂った)人間(すべての人間は多かれ少なかれそれぞれ違った狂い方をしている、狂っていない人間なんていない)として「誠実に」生きるにはどうすべきか、一般常識という狂気と付き合うにはどうすればよいか、どうしなくてもよいか、ということが書かれている。そのアイロニカルなスタイルに共感しもするが、何より、子育てに苦戦する妻が代筆したエッセイが掲載されているところなど、そのいい加減さには笑ってしまったが内容はシリアスで、意図したにせよしなかったにせよ、夫のアイロニーだけでは達成できなかった(今後も獲得できない)「誠実さ」を妻の言葉が補っている。
その点、とても豊かなエッセイに仕上がっている。 -
裏表紙の解説ほど気負ったものじゃあないかな。
奇抜な作品の多い著者の内面を少しだけ見られて、満足はしている。
ただ、奥さんの文章はいらんかったなぁ。 -
活力がわいてくる。
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彼の批評性が面白い。星の子理論。
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現代美術家・会田誠さんのエッセイ。
作品は以前から見たことがあって、なんとなく社会批判的・エロ&ロリ、写実主義、というイメージがあったけれど、その頭の中がどうなってるのか垣間見れる面白い本だった。
日々の生活で起こる出来事や、家族や若い美術大学生とのやりとりを、常に“天然の批評性”的視点から観察・分析して、それに対して芸術というアクションを起こす。その視点の明晰さと、写実的な表現のクオリティの高さが、常に現代アート界の第一線を走り続けている理由なのだと感じた。
会田誠は徹底的に対象と向き合い、トライアンドエラーで写実性を獲得していく。絵だけではなく料理でも。現場感覚、皮膚感覚からアートが生まれてくるように感じた。本のタイトル「カリコリ」も、対象(この場合は妻)との関係性の中で、視覚ではなく触覚や聴覚をつかったコミュニケーションを表す。
同年代のアーティスト村上隆と比べてみると対象的で面白いと思った。村上隆はコンセプトを駆使し、表現のテイストを限定し、アートをマネジメントするという明確な意思をもって活動している。
どちらも面白いんだけど、海外的・お金的な意味では村上隆のほうが成功していると言えるのかなぁ… -
会田誠展に行って感激し、エッセイ第二弾を1日で読み終え、どうも会田誠の毒が抜けきらないので、エッセイ第一弾を読み直し。
いま読むとまた新たな発見が。
そのひとつが「chim↑pom」。
エッセイ第二弾でも少し触れられていたので気になってググったところ、以前ある美術館の企画展で見た、「カラスを呼び寄せるパフォーマンス」をしていた芸術家集団だということが判明。
あーあれね。。
(あのパフォーマンスについて私は批判的。)
そして第一弾に書いてあったのが
「chim↑pomの『ピカッ』について」。
以前、広島の空に飛行機で「ピカッ」という文字を書くというゲリラパフォーマンスをやりかなりバッシングを受け、その数日後、中国人アーティストが黒い花火を打ち上げ、これも賛否両論あったものの大きな問題にはならなかったらしい、という話題について。
この中国人アーティストの個展も、最近横浜に見に行ったばかり。
なんだかいろいろつながってる!!
このエッセイの中で一番好きなのは、奥さま・奥田裕子さんの代筆かな〜。夫婦仲が大変良いこちがうかがえて、微笑ましい。あと、「星の子」のところも代好きです。寅次郎君は幸せだなあ。素敵がご家族。