現代美術家・会田誠さんのエッセイ。
作品は以前から見たことがあって、なんとなく社会批判的・エロ&ロリ、写実主義、というイメージがあったけれど、その頭の中がどうなってるのか垣間見れる面白い本だった。
日々の生活で起こる出来事や、家族や若い美術大学生とのやりとりを、常に“天然の批評性”的視点から観察・分析して、それに対して芸術というアクションを起こす。その視点の明晰さと、写実的な表現のクオリティの高さが、常に現代アート界の第一線を走り続けている理由なのだと感じた。
会田誠は徹底的に対象と向き合い、トライアンドエラーで写実性を獲得していく。絵だけではなく料理でも。現場感覚、皮膚感覚からアートが生まれてくるように感じた。本のタイトル「カリコリ」も、対象(この場合は妻)との関係性の中で、視覚ではなく触覚や聴覚をつかったコミュニケーションを表す。
同年代のアーティスト村上隆と比べてみると対象的で面白いと思った。村上隆はコンセプトを駆使し、表現のテイストを限定し、アートをマネジメントするという明確な意思をもって活動している。
どちらも面白いんだけど、海外的・お金的な意味では村上隆のほうが成功していると言えるのかなぁ…
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
左脳系
- 感想投稿日 : 2016年3月13日
- 読了日 : 2016年3月13日
- 本棚登録日 : 2016年3月13日
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