- Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344421721
作品紹介・あらすじ
学級委員長のわたしは、貧血の時に助けてもらったことから、落ちこぼれの鹿山くんと親しくなる。読書が苦手だと言う彼に、わたしはある小説を薦め、それは彼の思わぬ才能を開花させるきっかけとなった。だが周囲の反対で、二人は会えなくなってしまい…。実らなかった初恋が時空を超えて今の自分に届く。表題作ほか二作を収めた傑作恋愛小説集。
感想・レビュー・書評
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表題作を含めた3編の恋愛短編集。
3作とも、出てくる子達はどこか学校や社会に適応できずもがいています。
「普通」とは何か?を考えさせられるお話ばかりでした。
そんな彼らに共鳴し、寄り添ってくれる相手がいたことは読んでいて救いになりましたね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高校生の恋を描いた物語。初々しくて切ない、そんな気持ちを感じさせる物語。
一番の魅力は、中心となる生徒は学校のはみ出し者という事。私にそんな彼らの生き様がワクワクにも危なげなさに心配にもさせる。そして自分の今を見つめ直すと、他と自己の違いこそが自分らしさを生むのだと。私は、今誰かに抱きしめて欲しいと思う。こんな自分を見ていて欲しいと。それが続くとそんな思いはどこ吹く風。完全に融解し既に心から溶け出てしまっている。そして溶けたはずが凝結する。
自分のままでいる事は、寂しさとの戦いで、その寂しさを忘れながら、何気ない顔をして過ごさなければいけないのかもしれない。他人を傷つけず、距離をとって、精神の巣穴から外を伺う。
ねぇ、委員長で「彼は矛盾を抱えた不思議な存在だった」とある。この矛盾こそ、私の核である。扱いづらいが、濃厚な思考と言葉を持ち、誤解されやすいが優しい人に出会う事が出来て良かった。
是非、どんな矛盾かを探してみて欲しい。天才的な才能とか、華やかさとは異なる。どうしても羽ばたいて飛んでいってしまう、脆さを感じると思う。地味な存在、金の翼で、空を切る。 -
読み終わって本閉じて
好きってつい言葉がでてきた。
なんかこういうの好きだな。
好きとか簡単に言っちゃわない感じ、でも明らかな2人だけの空間でちょっと焦れったくて切ないのがいい。
だからなんか、その後の好きに重みが感じる。 -
まだ若い男の子と女の子の間の淡い気持ちを描いた3つの短編集。彼らの気持ちがどんなに近くても、まだ世界に逆らう力のない子どもだから、無残に引き裂かれてしまうのが悲しかった。ハッピーエンドの香りを残して終わってほっとした。
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純愛の物語。
まだ子どもの時、みんなと違う、ということは受け入れられづらい。
そんなひとをわかってあげられる人が、ひとりでもいるといい。 -
どのストーリも全く別で、オリジナルなんだけれど、市川拓司の本に出て来る人たちは、どこか似ている。
不器用で、生きて行くのに精一杯で、でも、自分の感覚を大切にしようとしてる人たち。
非常に純粋で、読んでいると、ずっと昔、自分にもそうやって、自分の感情をこじらせた時があったなぉと懐かしく、痛々しく感じます。
共感出来るところが多くて、登場人物が非常に愛おしくなります。
今回は、短編3つと、一つ一つが短かったためか、要らない部分が削げていて、より純度が増した感じです。
まさに、削いで削いで、それでも豊か。 -
大人の手前にいる高校生の、繊細で脆い優しさ、そして強さを軸として織り成される短編集です。
こんな高校生達がたくさん存在してくれるよう願いたくなる、そんな登場人物ばかりでした。 -
市川拓司さんの本、久しぶりに読みました。
3つのお話、どれもステキでした。
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3編の短編小説
いかにも市川拓司さんらしいお話
いつも共通するのはひどくユニークでとびきりオリジナルな人の物語
3編とも結末は再会なんだけど、エピローグまでは書かないんだよな
エピローグまで読みたいよ!