十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 95
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  • Amazon.co.jp ・本 (542ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344422742

作品紹介・あらすじ

59もの会社から内定が出ぬまま大学を卒業した二流男の伊藤雷。それに比べ、弟は頭脳も容姿も超一流。ある日突然、『源氏物語』の世界にトリップしてしまった雷は、皇妃・弘徽殿女御と息子の一宮に出会う。一宮の弟こそが、全てが超一流の光源氏。雷は一宮に自分を重ね、光源氏を敵視する弘徽殿女御と手を組み暗躍を始めるが…。エンタメ超大作!!

感想・レビュー・書評

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  • お腹の底から叫びたいくらい面白かったです!
    それだけでなく胸に熱いものが込み上げてくる、喪失から再生への物語でもありました。

    『源氏物語』に興味のない方でも楽しめると思うし、興味のある方なら尚一層、物語の展開にぐいぐい惹きつけられること請け合いです。
    わたしはオススメしていただいたおかげで読むことが出来たのですが、来月には映画も公開されるそうなので、映画から入るのもいいかもしれませんね。

    『源氏物語』といっても、わたしはまだ第13帖「明石」までしか読んでいない、ひよっこのそのまたひよっこなのですが、偶然にもこの小説の主なエピソードも「明石」までだったので、「あ、あのときのことだ」と、いろんな場面がすんなり思い浮かべることが出来ました。それがまた嬉しくて、すいすい読んでしまうのですよね 笑

    とはいえ、この小説を読みながら何度も思ったことは、わたしは紫式部の『源氏物語』を、深く考えずに文字面を追っているだけだったんだなぁということです。「うわっもったいないことをした」と、つい呟かずにはいられませんでした。
    あんなことやこんなこと、もっと深く考えれば、意外なものの捉え方ができたかもしれない、そうすればもっと面白いものが見えてきたかもしれないと、さまざまな想像が膨らむばかりです。

    この小説ならではの『源氏物語』の登場人物たちの思惑や言動には、わたしの知っている彼らとのあまりのギャップに、驚きながらもワクワクが止まりませんでした。
    その筆頭は、紫式部の『源氏物語』では脇役でありながら、この小説の主人公のひとりでもある弘徽殿女御です。
    気の強いヒステリックな女性のイメージだった弘徽殿女御。わたしは帝(院)に相手にされない彼女の淋しさの裏返しなのではないかと思っていたのですが、なかなかどうして。ある意味、そんな分かりやすい女性ではありませんでした。
    「女が幸せな人生を勝ちとるのに、必要なものは二つだけ。決断力と胆力だ。それさえあれば、たいていのことはどうにでもなるわ」
    と言い切る、わたしの想像のはるか上をいく人物として描かれていました。それが何とも格好いい女性なのです。

    こうやってひとりひとりを、いろんな角度から読みこむことが出来たなら、『源氏物語』の世界はどこまでも広がっていけるのだなぁと、どうしましょう、胸が高鳴りっぱなしです。
    この小説がきっかけとなって、ますます「源氏物語」の奥深さに魅了されちゃってます、わたし。
    ただやっぱり、紫式部は苦手なままなのですけどね 笑

    • 地球っこさん
      くるたんさん、こんにちは!

      エンタメ感満載で面白いだけでなく、
      こんなにも感動させてくれるとはo(>∀<*)o

      光源氏と弘徽殿...
      くるたんさん、こんにちは!

      エンタメ感満載で面白いだけでなく、
      こんなにも感動させてくれるとはo(>∀<*)o

      光源氏と弘徽殿女御の最後のやりとりも、
      弘徽殿女御と六条御息所のやりとりも、
      実際あったのかもしれないなと、じーんとしました。
      あっ!
      「源氏物語」は実在してない人たちということを、つい忘れてしまいます 笑







      2020/10/29
    • nejidonさん
      地球っこさん、ほんのお礼にレビューを載せてみました。
      「源氏物語の色辞典」という本です。
      素晴らしい本です。
      こういった読み方もあると...
      地球っこさん、ほんのお礼にレビューを載せてみました。
      「源氏物語の色辞典」という本です。
      素晴らしい本です。
      こういった読み方もあるということが、目から鱗でした。
      良かったらいつでも読みにいらしてね(^^♪
      2020/11/03
    • 地球っこさん
      nejidonさん、おはようございます!

      昨晩はありがとうございました。
      昨日ははじめて3作品の感想を書くということをいたしまして、...
      nejidonさん、おはようございます!

      昨晩はありがとうございました。
      昨日ははじめて3作品の感想を書くということをいたしまして、ものすごくエネルギーを使いました 笑
      でも今は残すことが出来て良かったなぁと思ってます。

      改めて、作家さんはすごい。
      感想文3枚ほどで燃え尽きたわたしに言われても嬉しくもないでしょうけど、
      人に読んでもらう文章、それも何かを読者の心に残す文章を発表し続ける作家業とは、命を削り削り生み出されるものなんだろうなぁと実感しました。

      「源氏物語の色辞典」ご紹介ありがとうございます。
      うわぁ楽しみ!
      これからそちらにお邪魔しますo(>∀<*)o


      2020/11/03
  • 涙ひとすじ、の一冊。

    就活に敗れた主人公 雷がひょんなことから源氏物語の世界へタイムトリップ。

    あらすじ本を武器に、住めば都という言葉通り、物語の中で生きる道を切り拓いていく雷の姿に惹きつけられる。

    現代に、そして自分を重ね合わせながら平安の世、登場人物を分析し性格や生き方まで細かく読み解く過程はまさに源氏物語読み解き本のごとく興味深く面白い。

    そして現代よりも人らしく活き活きとこの時代の当たり前のものを感じ取る姿も眩しい。

    淋しさからかな、最後はわけもなく涙がひとすじ。

    弘徽殿の女御の魅力を味わえたのも良かった。

    • 地球っこさん
      くるたんさん、そちらも図書館にないのですか……
      ウチもなんですよ。
      一応こちらの図書館ではリクエストしたら購入してもらえるときがあるので...
      くるたんさん、そちらも図書館にないのですか……
      ウチもなんですよ。
      一応こちらの図書館ではリクエストしたら購入してもらえるときがあるのですが、
      そちらの図書館はどうなのでしょうね。
      きっと、たくさんの人に読んでもらえる本だとは思うのですけど。

      わたしは表紙からして絶対気に入ると確信(覚悟)して買っちゃいました。
      お高いので、どうしようかと思ったのですが。なので、まだ2巻は買えてません……
      2巻は自分へのクリスマスプレゼントにしようと思ってます(#^.^#)
      くるたんさんとお近くならお貸しできたのに〰️( ´△`)
      2020/10/19
    • くるたんさん
      地球っこさん♪

      私もリクエストしてみようかな〜。
      なんか最近、我が図書館のリクエスト魔になっている私です(//∀︎//)

      たしかに表紙に...
      地球っこさん♪

      私もリクエストしてみようかな〜。
      なんか最近、我が図書館のリクエスト魔になっている私です(//∀︎//)

      たしかに表紙に惹かれますよね〜、飾っておきたい♡

      2020/10/19
    • 地球っこさん
      くるたんさん、ぜひぜひリクエストしてみてくださーい。
      面白い本が図書館にたくさん入るのは嬉しい♪
      リクエスト属いいじゃないですか(〃▽〃...
      くるたんさん、ぜひぜひリクエストしてみてくださーい。
      面白い本が図書館にたくさん入るのは嬉しい♪
      リクエスト属いいじゃないですか(〃▽〃)
      2020/10/19
  • 痺れる程にかっこよく、ウーマンオブザイヤーだったら大賞クラスの弘徽殿の女御がメインのストーリー。
    源氏物語は、7年位講座に通っていたので元々興味がありました。
    「十二単を着た悪魔」は本家とはかなり違う視点で書かれていましたが、最初から最後まで楽しく読ませていただきました。

    ちなみに本家の弘徽殿の女御といえば、ヒール度100%の悪の帝王という感じです。
    内館牧子さんはそのイメージを全て覆し女御の知られざる?魅力を存分に引き出す方法として、現代の感覚と発想を持つ女性として女御を登場させました。
    とりわけ印象的だったのは彼女の言葉でしょうか。
    とにかく何でもズバッとハッキリ言ってのけてしまうのです。
    今の時代では好ましいかもしれませんが、平安時代では完全にNGです。
    周りに控えている人々は完全に引いてまい、帝ですら
    恐れていました。
    どこまでも強くて厳しい物言いなのですが、言葉の底には、世のために…という確かな思いがありました。

    光は気付いていたのだと思われます。
    人間離れした鋭すぎる感性を持つ人物だったので。
    そしてもう一人の主人公の雷。
    雷は元々現代の人なのですが、なぜか源氏物語の世界へトリップしてしまったのです。
    26年という長い年月を女御の側で過ごし、女御と他の様々な人物たちと喜怒哀楽を共有してきました。
    その中で心の機微というものを捉えられる人間に成長したのだろうと思われます。

    どんな時でも誠実に丁寧に向き合うという事は、相手の本当の思いに触れられる第1歩なのでしょう。

    今一度、本家の女御を見直してみようと思い立ち、昔の資料を発掘中です。
    当時読んでた本も出てきましたけど、それは又次の機会に。
    私の部屋はすっかり散らかってしまいましたが大満足な読書体験でした。
    (足の踏み場はありますよ…一応歩けますので…)

    最後に女御の決めゼリフ。
    「能力は形にして示すものだ」
    やっぱり痺れます。




  • 源氏物語にワープしてしまった若者といえば、光源氏の関係者の頭中将か、源氏付き人の惟光の近辺にいる人にするのか、と想像するのは平凡。陰陽師を持ってきた作者の発想は、ヒロインが弘徽殿女御であるからなるほどと思う。

    なにしろ弘徽殿女御は超オカルトチックに、政的の恋人に憑りついて殺人までするのだから、陰陽師という現代から見るといかがわしくも怪しい職業なのでさもありなんと、一応は源氏物語を知っているのでわくわくする。

    その若者「雷」君はトリップする前に現代社会では、大学卒業したけれど受けた全社落ち、フリーターになってしまい、行き場を探している青年というわけで、古文の文芸の世界で何を得るのかが興深い。

    このエンターテインメントが幕開は、雷青年の現世では兄が容姿端麗・頭脳明晰とちょうど光源氏のようで、光源氏の兄に当たる弘徽殿女御の息子一宮という、皇太子候補なのに影薄い君に味方するのは、出来すぎの兄弟を持ったよしみで同情したので助けることになった。

    源氏物語の筋をたどり、そう来るかと、むふふふと作者の機知を楽しんだ。
    けれど、
    あれぇ?須磨の巻までなの?
    落ちがそれ!と思いがけなくて、脱落したのでありましたが。

  • 弘徽殿コードで見る「源氏物語」
    2流の大学を卒業し、就職も失敗した伊藤雷が派遣の仕事を終えた帰り道いきなり「源氏物語」の中にトリップしてしまう。
    平安時代にタイムスリップではなく、物語の中へ。
    雷は雷鳴となり、なんちゃって陰陽師として弘徽殿の女御に仕える。
    弘徽殿の女御から見ると藤壺、桐壺の2人はなんて強かな女性なんだろう。「女」という武器を最大限に使う。
    見方が変わって面白い。
    そして弘徽殿の女御のなんと強い女性であることか。
    現代のキャリアウーマンも真っ青。
    とにかく格好良い。
    現代への皮肉も交えて雷は物語の中を生きて行く。
    出来の良い弟へのコンプレックスは誰もが持ってる感情で凄く共感してしまう。
    完璧だと思われた光源氏や弟にも。
    雷はやがて自分の道を見出す。
    自分もなんとなく前向きになれた感じだった。
    良い読書だった。
    ただ現代の人の話し言葉に違和感があったのが残念だった。

  • 内館牧子は才女ですね〜。読んでいると、あれほど敵役だった弘徽殿女御がとてもまともに思え、あまりといえばあまりな境遇にすっかり同情してしまっています。しかも、光源氏や藤壺がとんでもない人物に見えてしまうなんて!内館マジックです。あ〜面白かった〜

  • いやはや!これはかなり面白かった!

    何の取り柄もなく、就職にも失敗し彼女にも振られた22歳の男が
    源氏物語の世界にタイムトリップしてしまう。

    数年前に田辺聖子の訳で源氏物語を読んだ事があるくらいで、どういう物語かを知っているくらいの知識しかありません。

    源氏物語、誰にスポットを当てるかでこんなにも色々な読み方が出来るのだなと感心してしまいました。
    終盤では不覚にもウルっと涙してしまう場面も。

    源氏物語を全く知らない人でも楽しめる、
    源氏物語を知っている人なら尚楽しめる一冊だと思います。

    いやぁ、本当に面白かった!

  • 『源氏物語』を題材にした作品は、これまで幾つも生み出されてきたのだけど……。
    弘徽殿女御視点と聞いて、すぐ購入しました。
    しかも一昨年、映画化していたとは!

    冴えないフリーター長男の雷。
    兄とは似ても似つかない、多彩な才能を持つ弟・水の存在と比べては、劣等感を感じていた。
    そんなある日、『源氏物語』のイベントからの帰りに、まさに源氏の世界にワープしてしまう。

    そこで雷が共感するのは、帝に愛されなかった女、弘徽殿女御と、その息子である一の宮だった。
    いや、ホントのところ、桐壺や藤壺と比べると、弘徽殿女御の、逃げ出さずに最善の仕事で勝負かけていく信念は好き。
    また、圧倒的王子様である弟を前に、どこか諦めを漂わせながらも、非情になりきれない一の宮も、なんか分かるんだよなー。

    そんな二人が、「カンニングペーパー」を所持した雷(鳴)という陰陽師に出会うことで、『源氏物語』のイフを読めたような気がして、楽しかった。

    それとは別に、雷自身が『源氏物語』の世界で、現代では上手くいかなかった自身の生活を、改めて営んでいくというテーマを含めたのは、必要な要素だったと感じた。
    ただ「社会人」として、様々な経験を経た雷だからこそ、エピローグで目指す「その後」は、果たしてそれで良かったのかな?と余計なお世話ながら思う。

  • 就職活動に失敗し、できすぎる弟にコンプレックスをもちながら目的もなく生きている主人公が突然、源氏物語の世界にタイムスリップするお話。
    元々平安時代の物語は好きなのでこの本をてにとりましたが、今まで読んできた源氏物語ではあまり重要視されていない、弘徽殿の女御の視点で書いてあり、とても興味深く読みました。
    平安版キャリアウーマンといった感じです。
    でも、やっぱり光源氏は生理的に好きになれない…
    どんだけ見境ないんだ!!!!!

  • 長かったのに一気読み!これはおもしろかったです!
    タイムスリップものはたくさんあるけど、まさかの「源氏物語」の中にタイムスリップとは!
    二流の大学を卒業しても就職先が決まらない、文武両道&イケメンの弟との差は開くばかりのさえない主人公、雷は彼女にも振られてなんのために生きているのか・・・焦ってたとこにいきなりなタイムスリップ!しかも平安時代!
    これどうなるの??どうなるの??と止まりませんでした☆彡
    光源氏はもちろん、名前すらよくわからない登場人物がイキイキと描かれてて、もうオススメ以外ないっす!

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著者プロフィール

1948年秋田市生まれの東京育ち。武蔵野美術大学卒業。1988年脚本家としてデビュー。テレビドラマの脚本に「ひらり」(1993年第1回橋田壽賀子賞)、「毛利元就」(1997年NHK大河ドラマ)、「塀の中の中学校」(2011年第51回モンテカルロテレビ祭テレビフィルム部門最優秀作品賞およびモナコ赤十字賞)、「小さな神たちの祭り」(2021年アジアテレビジョンアワード最優秀作品賞)など多数。1995年には日本作詩大賞(唄:小林旭/腕に虹だけ)に入賞するなど幅広く活躍し、著書に映画化された小説『終わった人』や『すぐ死ぬんだから』『老害の人』、エッセイ『別れてよかった』など多数がある。元横綱審議委員で、2003年に大相撲研究のため東北大学大学院入学、2006年修了。その後も研究を続けている。2019年、旭日双光章受章。

「2023年 『今度生まれたら』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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