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- Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344425507
感想・レビュー・書評
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坂口恭平の他の小説を読むにつけ、これは一つのステップとして描かれるべき作品だったと感じた。とても個人的な物語だけれども。
兄「坂口恭平」は意地悪である。素直な弟が所有する、弾の入っていないエアーガンを自分に向けて撃たせ、架空の弾に撃たれて悶え苦しむふりをする。
純粋な弟が考えもなしにエアーガンを所有している事実、悲しみに抗議するためそうした。
このくだりにだけ、震えがくるほどの共感をおぼえた。年長者であるがゆえに、無知な年少者の愚かさに気づいてしまう。けれどもそれを面と向かっては言いたくない。そんな逡巡が、サディズムへと転換されてしまう瞬間が、あまりにリアルだった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
四歳の記憶を辿る自伝的小説。誰もが体験する大人や社会に対する違和感が生々しく蘇ってくる。リアルに綴られた断片が自分の体験のように重なる不思議。時、場所は異なっても誰もが同じような少年少女なのである。「現実宿り」へと繋がる傑作。