幻年時代 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344425507

感想・レビュー・書評

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  • 坂口恭平の他の小説を読むにつけ、これは一つのステップとして描かれるべき作品だったと感じた。とても個人的な物語だけれども。
    兄「坂口恭平」は意地悪である。素直な弟が所有する、弾の入っていないエアーガンを自分に向けて撃たせ、架空の弾に撃たれて悶え苦しむふりをする。
    純粋な弟が考えもなしにエアーガンを所有している事実、悲しみに抗議するためそうした。
    このくだりにだけ、震えがくるほどの共感をおぼえた。年長者であるがゆえに、無知な年少者の愚かさに気づいてしまう。けれどもそれを面と向かっては言いたくない。そんな逡巡が、サディズムへと転換されてしまう瞬間が、あまりにリアルだった。

  • ‪四歳の記憶を辿る自伝的小説。誰もが体験する大人や社会に対する違和感が生々しく蘇ってくる。リアルに綴られた断片が自分の体験のように重なる不思議。時、場所は異なっても誰もが同じような少年少女なのである。「現実宿り」へと繋がる傑作。‬

著者プロフィール

1978年、熊本県生まれ。料理家、作家、建築家、音楽家、画家。2001年、
早稲田大学理工学部建築学科卒業。2004年、路上生活者の住居を収めた写真
集『0円ハウス』を刊行。2008年、それを元にした『TOKYO 0円ハウス 0円生
活』で文筆家デビュー。2014年『徘徊タクシー』で三島由紀夫賞候補、『幻
年時代』で第35回熊日出版文化賞、2016年『家族の哲学』で第57回熊日文学
賞を受賞。著書に『cook』『自分の薬をつくる』『お金の学校』『ゼロから
始める都市型狩猟採集生活』『現実宿り』『よみぐすり』など。

「2022年 『中学生のためのテストの段取り講座』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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