ふたつのしるし (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344425996

感想・レビュー・書評

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  • とても良かった。
    うん。
    良い名前。
    通勤道中に読んだ。

  • 遥名の中学生の頃の生きにくさに近いものを経験してきて、私は当時の喋り方が癖になってしまったなあと振り返ったりなど。

    傷付きたくなくてばかなふりをしている遥名、学生生活の狭さに自分が埃のような気分だったハル。
    出会うべくして出会った気もするけど、出会ってからが急展開すぎてついていけなかったなあ。
    でもそれも「勘」なのかな。
    そして勘を磨くためのこれまでだったのかなあ。

    ハルが配電図に対して「自分が何を扱っているのか、わかる」という感覚を持ったこと、嬉しかったし、読んでいる私も興奮した。

  • これは急転直下の展開で、いやしかし無茶苦茶やないかと思いきや意外と悪くないのでして。こういう直球に来られるとなぁ。まいったなぁ。
    一目惚れしたという男が突然にやってきて、婚期を逃したところに白馬の王子というある種の女子願望を叶えるストーリーではあるわけですよ。こうやって書くとね、なんかひどい出来に聞こえるけどね。男女どちらもお互いに人生に苦労しているからこそおめでたいということでね。それでも甘いんではないかという意見もあるかもだけど。そういうのも良いじゃない。たまにはね。

  • 自分の殻に閉じこもるハル(温之)と、優等生でキレイな遥名。ふたりのハルの物語。
    どちらも、それぞれ違った感触で、いまここは自分のいる場所ではないという漠然とした気分で日々を過ごしている。何かがあるはずだと思いはすれど、それが何かは曖昧模糊としている。それぞれに生きづらく、馴染めないまま大人になったある日、東北を震源とする大きな地震があった。
    その日ふたりは、「しるし」を見つけたのだ。突然、閃くように。切なく苦しく、摩擦だらけで、でも、あたたかくやさしい一冊だった。

  • 優等生で、顔立ちも綺麗なのに、わざと舌足らずにしゃべったり目立たないようして周りから距離をとって生きている遥名。関心がある事だけに集中して周りが見えないマイペースすぎる性格ゆえ学校生活にも馴染めない、勉強もできない劣等生の温之。そんな二人が3・11の大地震の日に出会うまでの軌跡を描いた物語。二人の"ハル"にとってのしるしとは何だったのか?生きずらくても、心が壊れそうでも、誰かの言葉や暖かい眼差しに支えられ、きっと生きていける。こんなふうに、迷える人達が、いつか安らぎの場所を見つけられたなら…。そんな祈りのようなものを感じる温かいストーリーでした。

  • 田舎で息をひそめるように生きる優等生の遥名と、普通にできない落ちこぼれの温之。子どもの頃から生きづらさを抱えたふたりが大人になり、ようやく出会う。出会う時には出会う。人も何でも。

  • すごくよかった。
    宮下さんの作品は読みやすくて、心にすっと入ってくる。
    ふたりのハルが、悩みながら成長し、出会う。
    ふたりの悩みはすごく変わったものとかではなくて、隣の人が抱えていてもおかしくはない悩み。
    私は遥名にすごく共感できた。

    こういう作品はすごく好きだけど、こういう作品を読むことで、「しるし」を持つ人が現れることを期待してしまう。それはそれで良くないのかもしれない笑
    運命の人に出会うとビビっと来るものがあるって言うけど、本当なのかな…

  • 優等生だけど、目立たぬように息をひそめて生きる遥名と、自分の興味のあること以外に目を向けられず落ちこぼれている温之。

    別々の場所で生きる二人のハルを描きながら、いつかどんな形で出会うのだろうと読ませるのが上手い。
    特に温之の学校生活は、リアルで引き込まれる。
    多様性を声高に叫ばれる現代だが、学校という場は、それが許されない。

    温之が、大人になってからはうまくいきすぎ感も覚えたが、不器用なハルたちが幸せになる最後は、温かな気持ちになれた。

  • 後半戦は駆け足で、唐突な印象を受けたが、人間の不器用さを描かせたらピカイチと今回も思った。
    誰にでもある不安定さや、繊細な人にしか見えない心の揺れ動きの描写が丁寧。
    最終的にハッピーエンド。
    結局しるし、が、なんだったのかはちょっと私には読み取れず不完全燃焼してしまった。
    他の方なら違うのかな?

  • 前半は描写が細かく良かった。

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著者プロフィール

1967年、福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。2004年、第3子妊娠中に書いた初めての小説『静かな雨』が、文學界新人賞佳作に入選。07年、長編小説『スコーレNo.4』がロングセラーに。13年4月から1年間、北海道トムラウシに家族で移住し、その体験を『神さまたちの遊ぶ庭』に綴る。16年、『羊と鋼の森』が本屋大賞を受賞。ほかに『太陽のパスタ、豆のスープ』『誰かが足りない』『つぼみ』など。

「2018年 『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。   』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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