猫は、うれしかったことしか覚えていない (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344430532

作品紹介・あらすじ

梅干しの種を飲み込んで、開腹手術を受けた猫のコウハイ。苦しかっただろうに、獣医師によると、「また、誤飲しますよ」。猫には楽しい記憶だけが残るので、種を転がしておもしろかったな、とは覚えているけど、苦しかったことは忘れてしまうそう。うれしかったことだけ積み上げて生きていく。そんな猫たちの、可愛くて笑えて、沁みるはなし。

感想・レビュー・書評

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  • フォロワーさんに教えていただいた猫エッセイ。

    六歳の雑種猫・コウハイ(オス)と十一歳の豆柴という種類の犬・センパイ(メス)と著者の石黒さん、石黒さんのオットとの賑やかで穏やかな日々を綴ったエッセイと、他の猫達が一人称の創作のような事実のようなエッセイが収められている。(知り合いの猫ちゃんたちのエピソードかな)
    石黒さんちの二匹の仲良しぶりはヨゼフ・チャペックの『こいぬとこねこのおかしな話』を彷彿とさせて、思わず頬が緩む。
    オマヌケなところも、賢いところも、達観してそうなところも、毎回、そうだよね、猫ってそうだよね。と大きく頷きたくなる。
    石黒さんの語り口の温度が、なんというか、ちょうど良くて、適温のお風呂に浸かってるようなすがすがしさと気持ち良さ。
    ミロコマチコさんの猫エピソードのイラストも、エッセイひとつに一枚ずつ入っていてとても贅沢。

    タイトルの『猫は、うれしかったことしかおぼえていない』は事実かそうでないかはともかく、フックのある良いタイトル。長田弘さんのエッセイ『ねこに未来はない』を連想した。

    終始穏やかな気持ちで読めました。
    ありがとうございました。

    • nejidonさん
      5552さん♪
      虹の橋をわたったにゃんずのために「ねこのき」という絵本を紹介します。
      長田弘さんの本です。
      レビューはあってもなくても...
      5552さん♪
      虹の橋をわたったにゃんずのために「ねこのき」という絵本を紹介します。
      長田弘さんの本です。
      レビューはあってもなくても構いません。
      お読みいただくだけでじゅうぶんです。
      私はその本で「喪の仕事」をしました。
      もしよろしければ、図書館で見てみてくださいね(*^^*)
      2021/03/20
    • 夜型さん
      Don子さん5552さん
      猫の死につけては、僕は『猫の島』っていう漫画を読んだことを思い返してます。
      それから動物と人の付き合い方をぼん...
      Don子さん5552さん
      猫の死につけては、僕は『猫の島』っていう漫画を読んだことを思い返してます。
      それから動物と人の付き合い方をぼんやりと考えてきました。
      2021/03/20
    • 5552さん
      nejidonさん、夜型さん

      ちょっと感傷的なコメントになってしまいました。
      お気を使わせて申し訳ありません。

      『ねこのき』は...
      nejidonさん、夜型さん

      ちょっと感傷的なコメントになってしまいました。
      お気を使わせて申し訳ありません。

      『ねこのき』は『ねこに未来はない』の長田弘さんの絵本なのですね。猫好きの長田さんがどのような言葉を紡がれるのか。
      必ず読まさせていただきます。
      ご紹介ありがとうございました。

      『猫の島』は小花美穂さん。
      彼女の作品『こどものおもちゃ』は多分今でも家で1番古い本棚に眠っていると思います。懐かしい。
      切れ味鋭いギャグ満載なのに、シリアスで重い要素もたっぷりと入れた作風でした。この人、ものすごく真面目で真っ当な漫画家さんだな、と思ったのを覚えています。

      人より寿命が短い動物たちと暮らすのは、覚悟が要りますね。

      おふたりとも、ありがとうございました。
      2021/03/22
  • 「大切なことはすべて○○が教えてくれた」というフレーズを時々耳にします。
    ○○には「本」「野球」「音楽」など何でも入るが、「猫」もピッタリはまると思った。

    猫は、落ち込まない
    猫は、本気で戦う
    猫は、ほどよく無視する
    猫は、淡々と過ごす
    猫は、………

    と、「猫は、こんなふうにして生きているよ」ということを綴ったエッセイですが、人生訓として読むこともできます。

    猫のように生きて行けたらいいなと思う。
    なんとなく知っている話ばかりだけれど、何度聞かされても猫とか犬の話題は微笑ましい。

    ミロコマチコさんの絵が本書の面白さを倍増させるのに一役かっている。
    絵を見ているだけでも微笑ましい。

    「しあわせ4コマ豆柴センパイと捨て猫コウハイ」という2匹の写真で作った本もあったので一緒に読んだ♪
    実際の猫ちゃん達の姿が愛らしく感情移入しやすいので一緒に読んで正解!

  • 作者石黒由紀子さんの自宅で飼われている犬の「センパイ」と猫の「コウハイ」の日常を綴ったエッセイと、お知り合いのうちで飼われている猫のこと、猫の視点からの短いお話の数々。

    挿絵のミロコマチコさんのゆるーい猫ちゃんも、文に合っていて顔がニヤけました。

    うちにも猫がいて、猫が出ている本はつい手に取ってしまうのですが、いつも思うことは

    猫が好きな人は、うちの猫の愛しさを誰かに伝えたい気持ちが強い。
    そして、猫が好きな人は、人のうちの猫がしていることに非常に興味があり、うちの猫にも当てはまれば「わかる!」だし、当てはまらなければ「うちのはしないけど、こんな可愛いこともするんだー」と。飼っていない時には「あぁ、そんなに可愛いんだ…どうしよう…」と、結局にやにやしながら猫への愛情を一層募らせる。

    のではないか、ということです。
    なんと幸せなループ!

    よそのおうちの猫の事で笑い、泣き、感情が乱される。
    世界中の猫に幸せになってほしいと本気で願う。
    本の通り、幸せな事しか覚えていないのだとすれば、私も嬉しいなぁと思います。

    と、いう感想の猫本でした。そしてうちの猫を撫でくりまわして迷惑がられるのです。

    • ikezawaさん
      ちょっと読みたくなりました!
      読んでみます!
      ちょっと読みたくなりました!
      読んでみます!
      2021/07/25
    • にゃんちびさん
      ikedazu様
      コメントといいね、フォローありがとうございます!
      猫の本は見かけるとつい買ってしまいがちです。泣いてしまう本が多い中、これ...
      ikedazu様
      コメントといいね、フォローありがとうございます!
      猫の本は見かけるとつい買ってしまいがちです。泣いてしまう本が多い中、これはゆるゆると穏やかに読める本でしたよ!
      2021/07/25
    • ikezawaさん
      殺伐としたの多めなので、最近ゆったりとした本を増やし中なので助かります。(^^)ありがとうございます
      殺伐としたの多めなので、最近ゆったりとした本を増やし中なので助かります。(^^)ありがとうございます
      2021/07/25
  • 猫は楽しい記憶だけが残る。苦しかった記憶はそのうち忘れる。
    羨ましいやら、いや私も辛かったことは忘れてるような・・と思いながら読み進めた。犬のセンパイと暮らす猫のコウハイや、石原さんの周りで暮らす猫の生活の記録。
    ほのぼのとして、ほっとする。
    えーーーっとなったりもするけど、猫の前向きさに元気をもらえる一冊です。

  • 新刊「猫は、うれしかったことしか覚えていない」のこと【犬猫家族】 | PETomorrow
    https://petomorrow.jp/column_dog/43402

    ゆるゆる 石黒由紀子
    http://www.blueorange.co.jp/yuruyuru/index.htm

    ミロコマチコ - mirocomachiko web site
    http://mirocomachiko.com/

    猫は、うれしかったことしか覚えていない | 株式会社 幻冬舎
    https://www.gentosha.co.jp/book/b13520.html
    https://www.gentosha.co.jp/book/b10967.html

  • 毅然とした佇まいに、媚びず、優雅で、美しく、愛嬌たっぷりで、気まぐれで、可愛いくて、そしてミステリアス。

    猫って、なんて素敵なんだろう。もしも、猫を創造した神様がいるのなら、間違いなく私は信仰者になるであろう。それくらい猫が好きなのです。

    本書は、作者の石黒さんの愛猫である、「コウハイ」を中心に、知人、友人を含めた猫の色々なエピソードを、毎回、二ページほどでまとめてあり、好きなときにちょっとだけ読むこともできたりと、非常に読み勝手がいい。

    その中のひとつ

    「猫は人間の顔だけを人間だと思っており、首から下は台だと思っている」

    を読んで、公園で人懐こく近づいてきた野良猫が、約1時間あまり、私の太腿の上で丸まって寝ていたことを思い出した。そうか、あの時は私の太腿を寝台のように思っていただけだったのか。でも、そんなすれ違いでも構わない。猫のうれしそうな顔と、その温もりを堪能できただけで、私は満足だった。

    また、猫は、自分のしたいことをするためのみにしか行動しないことを、別の本で読んだことがあるが、この本の中の、飼い主が目を覚ました後を見計らって、三度鳴いたのを最後に生涯を終えた猫のエピソードを読むと、その時の猫のいちばんしたかったことが、飼い主への別れの挨拶だったということになり、猫にも愛情のようなものがあるのではないかと思うと、何か凜とした気分になるとともに、胸が切なくなった。

    他にも、少年が猫を抱いて散歩していたエピソードなどもあって、何が真実かなんて、誰にも分からない。でも、猫を飼っている方なら、その思い方や見え方も違うはずだし、捉え方次第で明るく前向きになれるのなら、それでいいんじゃないだろうか。

    特に、猫に関しては、全てが明らかにならない方が絶対にいい。ミステリアスなのが、いちばんの魅力だと私は思っているから。

  • なんともすてきなタイトルに惹かれて手に取れば、ミロコマチコさんのすてきな表紙でノックアウト。
    猫好きにはたまりません…!

    著者の石黒由紀子さんは、豆柴のセンパイと捨て猫だったコウハイと一緒に暮らしています。
    そんな石黒さんの日々の中でのコウハイとのエピソードや友人知人の猫たちのことを綴った1冊です。
    常々猫のように生きたいものだ、と思っている私にとって、目次に並んだ1篇1篇のエッセイのタイトルは「こうやって生きるべし」と示してくれる指南書のようにも見えたのでした。

    ちなみにタイトルは梅干しの種を誤飲してしまったときに動物病院の先生から言われた言葉が元になっているのだそう。
    動物病院大嫌いなくせに、キャリーを棚から出しておくと自分から中に入ってまんまるな目できょとんとしている我が家の猫さまを見ていると、本当に楽しかったことしか覚えてないのかも…と思えてきます。

  • 作者の石黒由紀子さんの家族、犬のセンパイと猫のコウハイを中心に色々な猫と人間が描かれた一冊。

    『猫は、見定めてやってくる』
    我が家の猫と同じような経緯で家族になった猫たちがこんなにもいるのかと、驚いた。そしてちょっと嬉しくなった。

    猫のように生きたいと、飼い主なら一度は思ったことがあると思う。自分らしく生きるために、猫から学ぶべきことは多いのかも…?

    表紙も挿絵もとても素敵!

  • 猫って祟ったり怨んだりするイメージがあるし、病院に行くのだったり乱暴を加えた人を怖がったりすると思うのでタイトル程にそこまでお気楽極楽には生きていないと思うけど、楽しかったり美味しかったりした記憶は特に強く覚えておくスタンスで暮らしているという事でしょう。
    猫のみならず人間だって生きていれば嫌な事の一つ二つ降りかかるけど、いつまでもクヨクヨとがっかりしてメソメソしてても仕方がないので、もうやりきるしかないさ、という勇気100%的な前向きメッセージがこもった書名だなあ、と感じました。

    石黒先生家先住豆柴犬のセンパイと、保護猫出身で迎えられた『サバロン毛』ことコウハイにオットを加えた二匹と二人家族の日常に加え、友人知人の愛猫家から寄せられたエピソードなどにまつわるエッセイ全59話収録。

    動物好きだけど家で飼えない私にとっては他所様のペットの話って興味津々に聞けるものばかりなのでとっても面白かったです。〈猫は、好きなものしか食べない〉(p168)とか、実に猫らしい話で好き。
    勿論、〈猫は、ときを悟る〉(p74)のようなお別れの話だったり〈猫は、生き直す〉(p109)のように人間の都合で捨てられてしまった子の話とか手放しで楽しめるものばかりではないですが。

    ミロコマチコ先生の挿画も可愛い。〈大事なものはだいたい猫の下にある〉(p126)とか〈猫がいるとみんな笑顔で帰ってくる〉(p205)とか素敵可愛い。


    1刷
    2022.10.22

  • 猫には猫の世界があるから結局全てを理解することはできないけど、何も伝わらないわけじゃない。同じ世界に生きるただの生き物同士、同じ瞬間を共にできることを、改めて幸せに感じられる作品でした。猫っていいよね。

    先日、私の家の近所から地元に戻って行った妹と猫2匹。しょっちゅう遊んでいたので寂しくて、猫不足になっていた時に、地元に戻る予定ができたので、帰りの新幹線で読む用に購入。

    アドとアマよ、待っていてね。わくわく。

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著者プロフィール

栃木県生まれ。エッセイスト。日々の暮らしや犬や猫のことを中心に執筆。著書に『豆柴センパイと捨て猫コウハイ』『犬猫姉弟センパイとコウハイ』『しあわせ4コマ豆柴センパイと捨て猫コウハイ』、『猫は、うれしかったことしか覚えていない』(ミロコマチコ氏との共著)など。

「2022年 『楽しかったね、ありがとう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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