祝福の子供 (幻冬舎文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344430938

作品紹介・あらすじ

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感想・レビュー・書評

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  • プロローグを読んで、んんん…なんだか記憶あるようなと思いながらもページを捲る。

    ここのところ児童書を読んでいたので、大人の身勝手さやたくさんの罪に昏い気持ちになる。
    どっぷりと汚い泥沼に足を突っ込んでしまった…感じだ。

    新聞社に勤務する柳宝子は、離婚していて娘を虐待しているとの理由で夫が引き取っている。

    宝子のもとに父親が死亡したと知らせが入るが、21年前に父は火災で亡くなっていた。
    だが、父親の遺品の中に自分に宛てた手紙と自分の名前の入った新聞の切り抜き。そしてちょうど世間を騒がせている猟奇的殺人事件の切り抜きも入っていた。

    すでに母も亡くなっていて、誰を頼ることもできずにこの不可解な事件と父親のことを調べるのだった。

    とても複雑ではあったが、親ってなんだろうか?と考え本当に罪深いのは一体誰なのかと…
    エピローグを読み、また苦しくなった。

    最後にこの作品は2019年『ゆりかごに聞く』を改題したものとあった。
    もしかして少し記憶にあったのは、これを読んでたのかな?

  • 無関係に見える事件がどんどん繋がって、知らない方がよかった「自分」の正体が見えてきて驚愕。
    それに留まらず、犯人の動機や関係にさらに驚驚愕。
    こわいのに、悲しくて切なかった。
    かつて子どもだった大人たちが真実と戦う物語です。

  • 人それぞれ皆違うように母と子、親と子、家族の在り方もそれぞれ違う。
    真っ直ぐでも歪んでいても捻じ曲がっていても皆誰かの子、子供が産まれれば誰かの母。(父)
    そして親であったり子であったりする前に皆1人の人間。
    親子って何なんでしょうね〜
    正しい親子の在り方とかあるんですかね…
    そしたら皆それを教本にすれば良くてそしたら皆良い母(父)良い子になれる…はずないんですよ!
    だって皆違うんだもん。
    少なくとも世間が笑顔で紹介するような家族の絆ってやつは表面で見てるほど綺麗なものじゃないはず。
    押し隠し繕っている表情もあるはずですよね、世の中も家庭の中も良い事ばかりじゃないから。
    親子の愛なんて突き詰めれば突き詰めるほど分からなくなる。
    そして分からないけど突き詰めれば突き詰めるほど深い関わりがある…絶対に切れない繋がりを目の当たりにする。
    そこには純粋に愛おしく想える愛があって欲しいなぁ

    表面だけで終わらせないまさきとしかさんの作品は好きだぁ

  • まさきとしか、の他の本はもっとストーリーの輪郭がカッチリしてて、どんなふうに読めばいいか分かりやすかったんやけど、、ちょっとなんか読みにくかった?感じ。
    でも、良かった。…今までずっと、自分の子どもを愛し抜く守り抜く覚悟もないのになんで産むの?って思ってた。 ネグレクトとか虐待とかさ、その子の人生の責任が取れないなら、産まんかったらいいのに、って。そんなんで母親父親になるなって。
    でも、それは自分が愛されて育ったからそう考えるだけで、私の想像力が足りてないんかな。母親も父親も、戸惑ったりわが子であれど疎ましく思ったり、自分の人生で優先したいことがある、、ひとりの人間として。
    子どもにとって親は常に完璧であることを求められがちな世の中やけど、親の心身も健康で、できるだけ自然体で、いろいろ助けてもられる世の中になればいいな。「親は子に愛を注ぐもの」っていうプレッシャーを世の中が押し付けすぎないように。そしたらもしかしたら、変な歪みが減るかなぁ。

    線香のか細い煙を冷たい風がひきちぎっていく。

    心臓がせり上がってくるようだ。

    黒く冷たい水が、宝子の胸にひたひたと染み入ってきた。

    流した涙を自分の胸に溜めるように泣いていたのだ。

  • なんとも感想が言いにくいけど
    話が進み出したら一気読み。

    私がこれまで見てきたことは
    当たり前ではなかったのかなと。
    すごく思ったし、すごく感謝した。

  • 事件を通して出生の秘密を知っていく過程で、「盛り上がりに欠ける」ところも「生みの親である朋美が結局どんな人間かよくわからない」ところも逆にリアルさを感じた。

    中身は全く違うけど同著者の「完璧な母親」読了後と同じ感想を持った。

    誰かの子供でいなくてはいけない
    無条件に愛を与えているのは親ではなく子供
    大人の勝手な都合で子供が生きづらくなる

    本書に関して言うと、子を愛せると思っていたのに愛せなかった母親はきっとたくさんいるんだろうと思う。でもそれが「おかしなこと」と認識しているから誰にも相談できない、殺さないために押し入れに閉じ込めた、、辛いよね、普通にできると思ってたのに。でも愛理は「暗いところからママが助けてくれた」と記憶していた。私だったらこの認識の違いを受け止めることができないと思う。

    大人になれば自己責任、とは言うけど子供時代の記憶や思い出は相当重要だよね。立ち直る力、鎮める力、幸せを探す力、それを一番最初に渡せるのは家族からなんじゃないかなと思ってる。適切な場所で信頼関係を築くことができればそれが血の繋がった親じゃなくてもいいと思う。(宝子の立ち位置で)

    血の繋がりのない母に愛された宝子と、これから血の繋がりのない母と暮らす愛理は普通とは違うかもしれないけど幸せなんじゃないかと思った。

    祝福の子供
    どんな境遇でも、一千万円の値打ちがなかったとしても、私はこのタイトルを蒲生くんに贈りたいなと思った。



  • まさきとしか作品に共通するところがある、子供への愛を問うような話。今作は最初から子供とは別居、家族との関係も良くなく、全体的に気分が沈む。更に殺人事件も複雑に絡んできてミステリ要素も多く、すっきり整理していくのが難しい。落ち着くところには落ち着くとは言っても爽快感がないが、読み応えは分厚く、満足出来た作品。

  • 原始的なこと。対比したからこそ見えてくることもあった。ただ、なんかなぁ。

  • 主人公はじめ登場人物が皆つらそうで、読んでいてこっちもつらくなった。でも、ページを捲る手を止められなかった。知らない方が幸せなこともある、とはまさにこのことだろう。正直なところ主人公の父親は真面目すぎて余計なことをしてくれたと思ってしまう。女性なら誰でも本能的に母性がある、なんて嘘っぱちだと思っている。

  • おおー、なるほど〜!!
    …いつも読んでるうちに、プロローグを忘れちゃう私w

    それにしても…
    なんで、お母さんは、自分の秘密を、お父さんに打ち明けちゃったんですかね?
    秘密が重過ぎて、罪悪感に耐え切れなくて、かなぁ?
    いつかはバレるにしても、こんな重い秘密は、絶対に自分だけで抱えて墓場まで持って行かなきゃならないと思うんだけどな。
    最愛の妻の秘密を知ってしまった優し過ぎる性格のお父さんの葛藤が偲ばれる。

    そして、犯人が…完全に想定外の身近な人物で、ちょっとサイコっぽくて、ゾッとした。

    まぁ、言ってみれば、登場人物みんなどこか少しずつ狂っちゃってる気もするけど、人って誰しもそんな危険を孕みながら、運良く生きてるだけなのかもしれないけど。

    あーだこーだ言いつつ、一気読みだったし、気になる作家さんとして急浮上してきたので、既刊本をガツガツ読み進めていきまーす!w

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著者プロフィール

1965年東京都生まれ。北海道札幌市育ち。1994年『パーティしようよ』が第28回北海道新聞文学賞佳作に選ばれる。2007年「散る咲く巡る」で第41回北海道新聞文学賞(創作・評論部門)を受賞。
著書に『熊金家のひとり娘』『完璧な母親』『大人になれない』『いちばん悲しい』『ある女の証明』『祝福の子供』『あの日、君は何をした』『彼女が最後に見たものは』などがあり、近刊に『レッドクローバー』がある。

「2022年 『屑の結晶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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