〈あの絵〉のまえで (幻冬舎文庫 は 25-6)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 157
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344432482

作品紹介・あらすじ

「絶対、あきらめないで。待ってるからね。ずっと、ずっと」。美術館で受け取ったのは、亡き祖母からのメッセージ――。作家志望でライターの亜衣は、忙しさを言い訳に遠ざけていた祖母を突然喪ってしまう。後悔と孤独に苛まれる亜衣を救ったのは、お節介な年上の隣人だった(「豊饒」)。傷ついても再び立ち上がる勇気を得る極上の美術小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 6編からなる短編集。
    それぞれに主題となる有名な絵画が出てきます。
    マハさんらしい人間味溢れる作品ばかり。
    しかも解説には美術館の学芸員の方が書かれています。
    もっと早くにこんな本たちに出会っていたら、もう少し芸術にも親しめたのに、、

    この本も大切な一冊になりました。
    みんなにおすすめ出来る一冊です。

    • aoi-soraさん
      いるかさんの本棚にこの本が登録されたのを見て、レビュー楽しみにしてました♪
      私も読みたいなー、って思ってる本なの
      解説が学芸員の方なんですね...
      いるかさんの本棚にこの本が登録されたのを見て、レビュー楽しみにしてました♪
      私も読みたいなー、って思ってる本なの
      解説が学芸員の方なんですね!
      ますます興味あります
      ありがとう(⁠人⁠*⁠´⁠∀⁠`⁠)⁠。⁠*゚⁠+
      2023/09/08
    • いるかさん
      aoi-soraさん おはようございます。

      コメントありがとうございます。
      この本すごく良くって、読み始めて涙活にいいかもって思って...
      aoi-soraさん おはようございます。

      コメントありがとうございます。
      この本すごく良くって、読み始めて涙活にいいかもって思っていたら、一気に読んじゃいました。
      原田マハさんらしさがすごく出ていて、よかったです。
      マハさん 本当に尊敬します。
      是非読んでみて、感想を聞かせてくださいね。
      2023/09/09
  • アートにエネルギーをもらった人たちのお話

    豊饒が特によかった
    この本に出てくる絵を、スマホで調べてみたけれど、本物を見ることが大切なんだと思った

    にわかの知ってるじゃなくて、本物からもらえるパワーを自分がどう感じるか
    自分で経験、体験してどう感じるか
    それを感じた本でした!

  • 大好きな原田マハ作品、26冊目(25作品)の読了となりました。

    ハッピー・バースデー
    〈ドービニーの庭〉フィンセント・ファン・ゴッホ

    窓辺の小鳥たち
    〈鳥籠〉パブロ・ピカソ

    檸檬
    〈佐藤壺、梨とテーブルクロス〉ポール・セザンヌ

    豊饒
    〈オイゲニア・プリマフェージの肖像〉グスタフ・クリムト

    聖夜
    〈白馬の森〉東山魁夷

    さざなみ
    〈睡蓮〉クロード・モネ

    6つの絵画(睡蓮はシリーズ5点セット)から、またまたマハワールド全開。

    うん、直島に行こう。

    大好きな睡蓮に逢いに。

    説明
    内容紹介
    「絶対、あきらめないで。待ってるからね。ずっと、ずっと」。美術館で受け取ったのは、亡き祖母からのメッセージ――。作家志望でライターの亜衣は、忙しさを言い訳に遠ざけていた祖母を突然喪ってしまう。後悔と孤独に苛まれる亜衣を救ったのは、お節介な年上の隣人だった(「豊饒」)。傷ついても再び立ち上がる勇気を得る極上の美術小説集。
    著者について
    一九六二年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立、フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。二〇〇五年「カフーを待ちわびて」で日本ラブストーリー大賞を受賞し、デビュー。一二年『楽園のカンヴァス』(新潮社)で山本周五郎賞受賞。一七年『リーチ先生』(集英社)で新田次郎文学賞受賞。近著に『リボルバー』(小社)。

  • 絵画の歴史や背景とともに、「色々あるけど前向きに生きていこう」と読者の背中を優しく押してくれるような、ほっこりする物語が心を温めてくれました。

  • 高校の修学旅行で大原美術館に行った時、ピカソの<鳥籠>の絵ハガキを買った。
    長らく所在不明だったのだが、昔の未整理の写真を無造作に入れていた紙袋の中から見つかった。
    昨年、大塚美術館に行った時にあれば買おうと思っていたのだが、大塚美術館は国内の美術館に所蔵している作品の展示はしていないのでなかった。
    単行本の「〈あの絵〉のまえで」の表紙になっている絵だ。
    <鳥籠>の絵ハガキはせっかくウン十年ぶりに見つけたので本棚に飾っている。

    本書は6つの短編にそれぞれ絵画が登場するが、絵画そのものの説明は本編でなく解説のページにある。
    (なぜか最後のモネの<睡蓮>のだけ解説が無い)

    本書に掲載されている絵画は、<オイゲニア・プリマフェージの肖像>だけなので、これ以外の絵はWebで検索しながら読んだ。

    最初の話で広島カープのおばちゃんが出てくる。
    ポジティブだし広島弁でしゃべるのでいい雰囲気だ。
    原田マハさんは東京生まれだが、子供の頃は岡山で育ったんだった。
    この"ハーピー・バースデー"という話、良かった。
    ゴッホの<ドービニーの庭>はひろしま美術館にあるんですね。

    2作目が、私のお目当ての<鳥籠>が出てくる話だ。
    登場人物がそれとなく絵の説明を語るが、物語は今一つ刺さらなかったかな。

    物語の内容としては、<オイゲニア・プリマフェージの肖像>が出てくる"豊饒"が良かった。
    何が良かったって、スガワラおばあちゃんの働く姿勢が素敵です。

    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      初めまして(*ᴗˬᴗ)
      突然ですが、kazuさんのレビュー拝見して思わずコメントしてしまいました

      私、今週大原美術館に行ったばかりなのです...
      初めまして(*ᴗˬᴗ)
      突然ですが、kazuさんのレビュー拝見して思わずコメントしてしまいました

      私、今週大原美術館に行ったばかりなのですが、まさにその〈鳥籠〉の絵葉書を購入しました笑
      もう見れないかもしれないので、せめて絵葉書だけでもと思いまして
      なんてタイムリーなんでしょう*Ꙩꙻ₀Ꙩꙻ)!

      大塚国際美術館に去年行かれたんですね
      検索しました、とても素敵な所♡
      2024/05/18
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      忘れていました
      いいね、ありがとうございます
      忘れていました
      いいね、ありがとうございます
      2024/05/18
    • Kazuさん
      ハピKさん、こんにちは。コメントありがとう。

      そう言えば「板上に咲く」のレビューで大原美術館に行かれたこと書かれていましたね♪
      私が...
      ハピKさん、こんにちは。コメントありがとう。

      そう言えば「板上に咲く」のレビューで大原美術館に行かれたこと書かれていましたね♪
      私が行ったのは遥か昔なので、建物も中の様子も何も覚えていません。
      当時は絵画に興味はなく、変な絵を描く人というだけでピカソくらいしか知らなかった。
      今思えば「よく絵葉書買って来た。えらいぞ自分!」て気分です。

      大塚国際美術館はお勧めです。
      (お金と)時間を作って、ぜひ行ってみてください!
      2024/05/18
  • 『楽園のカンヴァス』に魅了され、大好きになった原田マハさん
    読んでいない作品は沢山あるのに、一気に読んだら勿体無い気がして、大切に読んでいます
    マハさんの短編集は、今回初めて読みました
    どれも素晴らしかったです
    それぞれきっかけがあって、美術館に行く事になり、作品に導かれて行きます
    たった一枚の絵が心の支えになったり、モチベーションを維持するものになったり、心を奪われるものとなったりと、普通の生活をしている私達にとって身近に感じるアートの在り方が描かれていました
    特に『檸檬』『豐饒』が気に入りました

    六話にそって、六つの美術館と六つの作品が出て来ます
    広島美術館『ドービニーの庭』(ゴッホ)
    大原美術館『鳥籠』(ピカソ)
    箱根ポーラ美術館『砂糖壺、梨とテーブルクロス』(セザンヌ)
    豊田市美術館 グスタフ・クリムト 『オイゲニア・プリマフェージの肖像』(グスタフ・クリムト)
    長野県立美術館・東山魁夷館『白馬の森』(東山魁夷)
    地中美術館『睡蓮』シリーズ5点(モネ)

    どの美術館も遠い、もっと早くに読んでいたら。。。
    しかし!作品で得た知識を持って、今後の旅の目的の一つとして、立ち寄る様にします
    そしたら絶対楽しい旅になるでしょう

    アートや美術館は敷居が高いものだと思っていましたが、マハさんの作品を読む様になってから随分印象が変わりました

  • 『<あの絵>の前で』原田マハ
    美術館にでかけたくなる ☆☆☆☆☆
    ほっとできる ☆☆☆☆☆
    絵の楽しみ方 ☆☆☆☆☆

    【原田マハさんの小説を選ぶ理由】
    絵画を知らない、距離が遠いわたくしにとって、原田マハさんとの出会いは、「絵画」と距離を縮めたくなる機会となりました。
    長編、短編あわせて10以上の物語と出会いました。
    今回の「<あの絵>のまえで」は、原田マハさんの新しい魅力に触れることができました。その魅力は、原田さんが絵画を見る「視点」です。

    【読み終えて】
    美術館に足を運びます。理由もなく、1枚の絵の前でしばらくたたずみます。なんでだろう?そのときは何も考えていません。しかし、あとで振り返ってみて「いろいろな想い」が重なっていることに気づくことはありませんでしょうか?

    <あの絵>の前での主人公たちも同じように、1枚の絵画と出会います。そして、自分自身との対話をはじめます。

    絵画や音楽って、食事のように生きるための「MUST」ではありません。でも、生きる・感じる・考える「源/みなもと」の一つであるのでは?と考えています。
    だから、わたしたちは、また、「あの絵」の前に立ち寄りたくなるのではないしょうか?

    【<あの絵>の前で。あらすじ】
    6篇の短編小説集です。この6話で登場する絵画は以下のとおりです。検索をかければ、絵画にたどりつきます。みなさんは、この絵画からどのような印象・インスピレーションを得ることができますでしょうか?
    前述のとおり、この6個の絵画と6篇の物語をつなぐ「視点」が斬新です。
    1.ドービニーの庭 ゴッホ
    2.窓辺の小鳥たち ピカソ
    3.砂糖壺、梨とテーブルクロス セザンヌ
    4.オイゲニア・プリマフェージの肖像 クリムト
    5.白馬の森 東山魁夷
    6.睡蓮 モネ

    【タイトルと主人公】
    1.ハッピーバースデー
    大学入学と同時に広島から上京した女性。就職活動がうまくいかず、毎年8月6日には帰省します。ある日、母親と美術館に立ち寄り、大学生になる前の「なりたかったもの」を思い出します。

    2.窓辺の小鳥たち
    高校生の男女が初めて美術館を訪れます。卒業後、東京で一緒に暮らすことになり、彼は音楽とギターが好きで、彼女は彼の一面に惹かれます。年齢を重ねるうちに、彼女が彼を見る視点に「変化」が生まれ、10年以上前に見た絵画の印象を語り合います。

    3.檸檬
    社会人の女性は高校時代に絵画を執筆するのが好きでしたが、筆をとることはありませんでした。ある日、会社に出勤する途中で、卒業した高校の美術部の生徒に出会います。彼女はその生徒の歩みに導かれ、日常の仕事から離れ、新たな場所へ向かいます。

    4.豊穣
    小説家になりたい女性は、厳しい現実の中でWEBライターとして生計を立てています。隣人となった高齢の女性との出会いが訪れ、晩御飯の食卓を共に囲む仲になります。隣人への約束として「小説」を書くことになります。その約束、果たすことができるのでしょうか?

    5.聖夜
    60代の夫婦は退職をきっかけに田舎に引っ越しました。二人には一人息子がいました。しかし、不慮の事故で亡くしています。いつものように、子供の墓参りへ。そこで、夫婦は手紙を見つけます。その送り主は、亡くなった息子の交際相手でした。手紙の内容とは・・・。

    6.さざなみ
    20代の女性は、入院中、テレビを通じて、ひとつの風景と出会います。それが、四国の「直島」です。島全体が「芸術」となっていることを知り、一人旅を決意する彼女。島でどのような出会いが待っているのでしょうか?

  • 6作品の絵を契機に、それぞれの人生が動いていく短編集。

    通して感じたのは、マハさんの絵に対する愛情や尊敬、そして美術館への誘い。

    見たことがない作品ばかりだったけれど、観る人によってどのように絵を感じるか、それぞれの思いを表現している文章が美しくて、登場する美術館へ行ってみたくなった。幸い全て国内!

    物語から広がる背景は、就職活動への苦労、近しい人からの妬み、大切な家族を失う哀しさや後悔、予期せぬ病…といった重いものが描かれる。

    でも、さらりとした語り口、温かい思いやりをもつ人が主人公を見守り、希望を感じさせてくれる着地に。
    マハさんの優しさを感じる読後感でした。

  • 「ハッピー・バースデー」「窓辺の小鳥たち」「檸檬」「豊饒」「聖夜」「さざなみ」の6篇収録。いずれも、一枚の絵画をきっかけとして主人公(女性)が心の癒しを得、人生を再生する物語。

    各作品が取り上げている絵画は順に、

    ゴッホ〈ドービニーの庭〉(ひろしま美術館)
    ピカソ〈鳥籠〉(大原美術館)
    セザンヌ〈砂糖壺、梨とテーブルクロス〉(ポーラ美術館)
    クリムト〈オイゲニア・プリマフェージの肖像〉(豊田市美術館)
    東山魁夷〈白馬の森〉(長野県信濃美術館・東山魁夷館)
    モネ〈睡蓮〉(直島・地中美術館)

    ネットで絵を見ながら読んだ。直島の地中美術館、行ってみたいな。

  • 文庫版での再読。

    読んだっけ?と最初分からなかったのは、表紙のイメージがハードカバー版とガラリと変わったからのように思う。

    ハードカバー版は、水色のベースにピカソの〈鳥籠〉が当てはめられていた。
    文庫版では、クリムトの〈オイゲニア・プリマフェージの肖像〉の明るい黄色が目に入ってくる。

    そして、私自身にも変化があった。
    ちょうどハードカバー版を読んでから、文庫版を読むまでの間に祖母を亡くすという経験をした。
    「豊穣」は、母に捨てられた娘が、祖母に大切に育てられながらも、目指す作家になれない日々の中、祖母と離れ、孤独にさせてしまったことを責めている。

    一人暮らしの亜衣の心を開くのは、お隣に引っ越してくるスガワラさんというおばさんだった。
    スガワラさんと祖母を重ね合わせながら、表紙の絵に出会うシーンで、なぜか私まで、勝手にこの絵に祖母の面影を見出したのだった。

    さらに文庫版では、各話で出て来る美術館の学芸員さん達が、それぞれ解説を書いている。
    これ。なかなか素敵な趣向だと思う。
    一度読んだ人も、新たな気持ちで手に取ってみて欲しい。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

原田マハの作品

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