- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344433137
作品紹介・あらすじ
ご縁あってドイツ人男性と結婚して始まった二拠点生活。一年の半分は日本でドラマや映画の撮影に勤しみ、残りはオーストリアで暮らしを楽しむ。肝試し代わりにタクシー運転手にドイツ語で話しかけたり、サイクリングやコンサートを楽しんだり。夏は自然に囲まれた山荘で、料理や庭造りにご近所付き合い。不便だけれど自由な日々を綴ったエッセイ。
感想・レビュー・書評
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『小説幻冬』で2016年〜2023年にかけて連載された中谷美紀さんのエッセイを書籍化したのが本書。中谷美紀さんと会話をしているような読み心地だった。言葉を大切にし、伝え方も繊細で胸にスッと入ってくる。オーストリアと日本を行き来し、人生を謳歌する彼女の姿が魅力的だ。
クラシックに造詣が深く、随所にコンサートに出かけ、その演奏に涙する姿が描かれているのだが、状況の言語化が上手く、そうかこうやって楽しめばいいのかと自分もクラシックを知れたような気持ちになれた。
ドラマの撮影、結婚、コロナ、食、コンサート、様々な出来事に心を震わせる才能が中谷さんにはあり、彼女の文章を通してもっと人生を楽しめばいいのだと前向きな気持ちにさせてくれる。
とても心地よい読書体験だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一昨年『オーストリア滞在記』を読みました。
この本はその続編ではありません。
2016年11月「小説幻冬」が創刊されてから
ずっと連載されている「文はやりたし」
今年の初めまでを加筆修正されたもの。
『オーストリア滞在記』は、その途中で発行されました。
私はそちらのほうが面白かったです。
この本の真ん中辺でコロナ禍となり、
終わりごろにはほぼ落ち着いています。
5分の4過ぎたところでウクライナ侵攻。
〈いつ、どこで、誰から、どのように情報を得るかによって、
私たちにとっての真実はまるで異なる様相を呈する〉
さて興味深く読んだのは、女優としての中谷さんのこと。
〈終わった作品の台本や集合写真をためらうことなく
シュレッダーで裁断するような冷徹さを
武器とするようになった〉
〈スタッフや共演者の方々とも、作品が完成し、
観客の皆様にご覧に入れるまでの間は、
心地よい空気を共有したいと思うのだけれど、
作品の枠組みを飛び越えてまで、
私生活で親しくすることは稀である〉
そういえば有名人のエッセイを読んでいると
次々交流のある有名人が登場することがあるけど
中谷美紀さんのエッセイにはほとんど登場しません。
仲良くしておいたほうがメリットがありそうな気がします。
でも女優としての仕事は引きも切らないように見えます。
非常に興味深いです。 -
次いて世界を飛び跳ねてる、女優の中谷美紀さんのエッセイ。飛び跳ねてると言いながら現在住まいがザルツブルク、旦那さんがウィーンフィルの楽団員さん。オーストラリアと日本を往復する生活。美しいものに触れながらのゾクゾクする生活ぶり。
ああもう少し余裕がある生活ができるなら、三田か丹波、田辺あたりに一週間ずつ交互に住める田舎が欲しいですな。と言いながら、車での移動もぼちぼち避けないといけない歳に。
まあ、気持ちだけでも彷徨いたいですな。 -
中谷美紀さんのエッセイが好きです。ボキャブラリーが豊かで知的だけど読みやすい。 こう書けたらいなぁと、お手本にしたい文です。
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T図書館 連載の文庫化
図書館の新刊きっかけ
冒頭の写真、近所が世界遺産並み
体調、お仕事、ドジな所、コロナ禍、ウクライナ侵攻の内容
《感想》
興味ある部分を流し読み
しっかりした方かと思いきや、よく太ったり、車をぶつけたり(そもそも車が出にくい場所だった)見かけと違った印象
旅行好きで2拠点生活のため、頻繁にハプニングに見舞われていた
世界を股にかける人にハプニングはあるあるなんだな
ヤマザキマリさんと通ずるものがあるね
ベルギー連邦警察からの電話のエピソード
データが不正に利用されている疑いがあるから、パスポートの下4桁を聞かれたり個人情報を聞いたりした
暗号資産を持ってますか?の問いに
私はイーロン・マスクじゃないし、貧しく暗号資産で資産運用するほどゆとりはありませんと言ったら、相手は笑って電話を切断された
ヨーロッパでも流行りの特殊詐欺だったのじゃないかと -
前作「オーストリア滞在期」以来、中谷美紀さんのエッセイの大ファンになった私。
購入後すぐに読みたくランチを食べながら本を開いたら、冒頭はお世辞にも食事中に読むようではない内容が続き、中谷さんの勇気ある行動と強い好奇心に驚愕しつつ、半ば心が折れかけた。
しかしその後読み進めるに連れ、様々なジャンルの思慮深い考察に感心し、やっぱりこの方の文章が好きだと思った。
これまで刊行されている本も多々あるようなので、ぜひ読みたいと思った。
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コロナ禍での海外からの入国の厳しさの一端を垣間見た気がしました。
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真っ裸でビーチスポーツをする海外の夫婦や、挙式不要、夫婦円満の秘訣など楽しく、読み応え大
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女優でありエッセイも定評の方。ドラマ "仁“の薄幸な主人公の役がかなりよかった。このエッセイは期待以上に才能ある文章で綴られており驚きました。住まいのオーストリアザルツブルクでのコロナ禍の生活に加え、ロシアのウクライナ侵攻の憂いなど遠い国の他人事ではない様子が描かれている。そのような時の中で、音楽家の旦那様が団員として世界各地を演奏活動しながら飛び廻っておられる中で、諸外国とくらべ日本という国の若者にクラシックが馴染まないことを危惧する様子が心を痛めました。防衛費に費される予算はあっても社会保障の確保がままならないまま、文化予算まで追加の枠が増えるとは思えない日本の政治を嘆くのは著者だけではないと思いました。
日本を離れて日本を想う気持ちが伝わってきました。