- Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344983670
作品紹介・あらすじ
孤独の価値は森博嗣さんが人生論について書いた作品です。人はなぜ孤独を怖れるのか、誰もが思う孤独が寂しいといった価値観を違った見方で捉えています。人間を寂しいといった感情にしてしまう得体のしれない孤独感を少しでも和らげるための画期的な人生論です。社会と共生しながらも自分の思い描いた自由を生きることが重要だと感じさせてくれる作品です。
感想・レビュー・書評
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字面から受ける印象は良くないが、この状態が一番理想だというのは良くわかる(ような気がする)。かつて小学生の頃、クラスの仲間に仲間はずれにされた経験がある。あれはつまりイジメだったんだろうなあと思うけど、かなりな原体験になっていて、あんな寂しさ、恥ずかしさはもう味わいたくないと思うから、むしろ人付き合いは好きじゃない。でも、たまに飲める友達や知り合いが少なくてもいてくれて、カミさんもいるし、好きな野球だってやれるから、仕事場がつまらなくてもこれはこれでいいかなと無理に思おうとしていたら、かなり自然になってきた。もう別に二度と事務所の連中と飲みたいなんて思ってないのに、退職するやつや入社するやつがいるから参加せざるを得ないし、自分が退職するときは飲み会は遠慮したい。
この本の著者がいうように、もちろん支えてくれる人には感謝してるけど、一人なら一人で全然いいんだよな。
でも、例えば20年後、カミさんがいなくなってたら、こんなこと言えるだろうか…
ああ一日も早く、事務所に行かなくていい、日常なにも約束がない、そんな毎日を送りたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
孤独は悪いことではないという言葉に少し救われた気がした。例えば創作活動や芸術をする上では一人で静かな環境の方が最適である。賑やかな楽しい所からはアイデアは生まれない。アーティストがなぜ孤独を好んでいるのかが分かった気がする。寂しさに耐えられて、孤独を好むことが、芸術家になる必要条件なのかもしれない。
映画「リトル・ミス・サンシャイン」で出てきた「苦しんだ時こそ自分を形成出来る最良の日々。幸せな月日は無駄にすぎて何も学ばない」という言葉を思い出した。賑やか=良いこと。寂しい=悪いことと決めつけて、孤独を避けて生きていくのは危ないなと感じた。
自分はどちらかと言うとある程度の孤独は耐えられるし、じっくりものを考えられるし、むしろ好きな方だと思う。楽しめている自覚もあると思う。ただずっと孤独で居ると気が滅入るから、そういう時は友達と会ったり賑やかな場所に行ったりバランス良くしようと思う。
サインカーブの話も面白かった。楽しさと寂しさの関係はブランコの揺動と同じようなもので、人生において寂しさの割合が大きければ、楽しさも同じくらい大きくなる。逆に孤独を避けて、賑やかさばかりを求めている人は大きな寂しさは感じないかもだけど、大きな感動や楽しさも得られない。逆に寂しさや孤独を楽しめる人は、楽しめない人よりも、賑やかな時間も含めて、2倍以上豊かな時間過ごせていることになる。
他にも孤独という観点から、学校生活や家族観とか色々な問題を述べていたのが面白くて、納得したものが多かった。ずっと独身でいることは変な目で見られたり、逆に心配されたりして、結婚して幸せな家庭を築くことこそが正しいのだ、という価値観は本当に偏った考えだと思う。だけど今はその作られた虚構が崩れつつあって、反動として、結婚しない若者が今増えているのは、貧困とか社会保障などが原因ではなくて、家族を持って絆に縛られる生き方より、自由(孤独)さを求める人が多くなっているからだ、という筆者の考えに共感した。そういう考えが多数派を占めつつあるから、独身や未婚が現代社会に許容されつつある。こう考えると少子化対策とかはあまり意味がないと思うし、政府がどんなに頑張っても、自由さを望み始めた社会の流れは、止められないのかなとも思う。これから自由という名の孤独を好む人がどんどん増えていきそうだな。
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f.①2015/1/5
p.2014/12/24 -
それは本当に欲しいものなのか考えないといけない。考えるには孤独は最適である。流されやすい私はもっと孤独の価値を上げ、考えることで、数々の悩みを解決出来るのでは?と思わせてくれた。
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寂しさの感覚はその瞬間の何かに感じるのではなく、その後の努力や対応への力が必要で嫌な予感からきている。
サインカーブを微分する考え方は面白いアプローチだった。 -
小説家による、「孤独」に関するエッセイのような本。「仲間がいる」「家族愛」といったものに対し、「そうでなければいけない」という風潮に疑問を投げ掛けている。分かりやすく、サッと読み終えた。
著者は「仲間や家族に囲まれる幸せ」をもちろん否定はしていない。しかし価値観は人それぞれであり、孤独=一人で自由に過ごすことをマイナスに捉える必要はないと、発想の転換を勧めている。 -
『すべてがFになる』を書かれた森博嗣さんの書籍ということで読んでみた。ご自身の体験を一般化しすぎているような印象を受け、読んでいて何点か違和感を感じた。孤独が自分の価値自体は感じているが、詩を作る、絵を描いてみる等の創作活動をすることが(読んだり聞いたりする受け身の活動では効果が薄いとのこと)孤独による辛い思いを分散することができるということは新たな着眼点だった。
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1人の時間は大好き。ないと、息苦しくなってしまう。
“自分ひとりで思考する時間”の価値を、改めて実感することができた。
人と一緒にしかできないこともあるけれど、ひとりじゃないとできないこともある。
孤独、最高! -
メディアでもてはやされる「きずな」や「つながり」ということばにはどこか違和感があったが、本書の言うとおり商売なのだと考えると納得。人間の持つ承認欲求が孤独を悪と感じさせるというが、「共感する」「一つのものをシェアする」こと(それも承認欲求の一面と言える)が幸福感をもたらすものである事実も忘れてはならないと思う。