過敏で傷つきやすい人たち (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 647
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344984615

作品紹介・あらすじ

決して少数派ではない「敏感すぎる人(HSP)」。実は「大きな音や騒々しい場所が苦手」「話し声がすると集中できない」「人から言われる言葉に傷つきやすい」「頭痛や下痢になりやすい」などは、単なる性格や体質の問題ではないのだ。この傾向は生きづらさを生むだけでなく、人付き合いや会社勤めを困難にすることも。最新研究が示す過敏性の正体とは?豊富な臨床的知見と具体的事例を通して、「敏感すぎる人」の真実と克服法を解き明かす。過敏な人が、幸福で充実した人生を送るためのヒントを満載。

感想・レビュー・書評

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  • HSP傾向が高い、引きこもりの弟を理解するために閲覧。彼はまさにこの本で解説されている過敏傾向をすべてMAXで持ち合わせているタイプだと判明。一体今までどれだけ苦しんできたのだろうか…。

    弟以外にも身近に過敏傾向の人がたくさんいるのですが、私自身が過敏さ0%の超鈍感人間なせいで、今まで彼らの苦しみがよく理解できませんでした。HSP関連の本は色々読んだけども、どれも今ひとつピンと来ない内容。本書での臨床に基づいた「過敏さ」の詳細な分類と解説のおかげで、やっとある程度HSPの全体像を把握できたように思います。

    過敏な方を理解したい人にも非常にオススメですが、過敏さに悩まされている方には是非オススメしたい一冊。ヨガやマインドフルネス、各種エクササイズなど改善策が掲載されていて実用的な内容です。

  • 精神医学の視点からHSPが解説されている

    過敏性は大きく「神経学的過敏性(感覚過敏など)」と「社会心理的過敏性(人の言葉に傷つきやすいなど)」の2つに分けられる
    前者は、一般に遺伝要因や生まれ持った生得的要因が強いと考えられており、
    一方、後者は、養育要因や社会的体験ら愛着対象との関係などが強く影響していると考えられている

    別の本で5人に1人は生まれつきHSPの特性があるって書いてあったけど、後天的にHSPになった人もそこに含まれてるってことかな

    後天的になったケースだと発達障害や愛着障害といった複雑な背景が絡んでくるから、判別が難しいらしい

    ✏過敏性には低登録という一見相反する症状が伴うことがある
    低登録の症状として、最初の一言を聞き逃す、捜し物が目の前にあるのに気づかない、服に値札がついてることに気づかない、スイッチの切り替わりが悪い(なかなかやり始めないのにやり出すとやめられない)などがある

    ✏親側の条件にコントロールされて育つと、その人自身もいつの間にか、自分の期待通りなら「良い人」と思い全面的に肯定するけど、期待と少しでも違うと厳しい評価になり「悪い人」とみなして全否定するという、全か無かの二分法的な態度を身に着けてしまいやすい

    ✏無条件に愛されることを味わえないことで、その人も無条件に愛するということができず、最初は全肯定し理想化するけれど、やがて粗が見えてくると騙されたと感じ、全否定し始める

  • これまで何冊かHSPに関する本を手に取ってきましたが、やたらと選民意識だとか「可哀想なあなた」といった感情を煽ってきているように感じたり、
    果ては電磁波への過敏性やらエスパーのような超感覚などと本全体の信憑性がどうなんだいと思わせるような方向へ行ってしまったりして読了が困難になり、モヤモヤした感情だけが残っていました。
    生きにくい現状をどうにかしたくて読んでるのに逆に頭が混乱するばかりでした。

    この本は、感情的な部分を扇動することなく論じられているので読みやすく、そして何より知りたかった「発達障害との関係」についても淡々と客観的に書かれていました。感情を揺さぶられることなく読了できたので、自分に当てはまることやその対策などもちゃんと頭に入ってきました。

    暇つぶし用の本を買おうとして入った書店でこの本を見つけたのですが、この本と出会えて良かったです。


    …って本に挟まってた感想ハガキに書いて投函しようと思ったら、料金受取人払郵便の有効期限が切れていたのでココにそのまま書きました。

  •  身体表現性障害が周囲から愛情や世話を手に入れるための手段として典型的だって記述があったけれど、そうじゃないかって診断されて、人に迷惑かけるのも世話になるのも嫌で、思うとおりに動けない自分に死ぬほど憤った経験がある身としては不快でした。
     けれど過敏さや、過敏の周囲に理解されずらい苦痛が及ぼす影響についてはわかりやすい。
     HSPについてというより、後天的に悪化したケースで、愛着障害や発達障害など、はっきりした原因がある場合の指南書という印象です。

  • 自分の感覚が一般的だと誰が決める事が出来るのか、誰にも答える事は出来ないと思います。他の人は全く問題無いのに、自分だけがどうも他の人が反応しない部分に過敏になってしまう。それはとても理解して貰いにくいし、簡単に「分かった」と言われてもそれはそれで違うんだろうなと思います。
    広い意味での「過敏さ」は色々な人が持ち合わせているけれど、本書に出てくるような指数で表わされる以外は、基本「神経質な人」「こだわりの強い人」というイメージを持たれてしまって、本人に辛さが返ってくる特性とは受け取られない場合が殆どだと思います。
    昨今、色々なものが「疾患」「症候群」の領域に含まれていきますが、そこまででなくともそういう特性があるというのは、皆が広く認識する事によって色々な事が上手く回っていく気がします。
    当然相互的なものなので、当事者も「過敏さ」を軽減する為の努力は必要かと思います。その軽減する為にこの本はとてもいい本だと思います。
    自分で読めば、当てはまるものを見つけて対策したり、少なくとも自分だけの症状ではないと思えば心安らぐし、自分の信頼する人に読んでもらえば相手に伝えにくい事も理解して貰えるのではないでしょうか。

  • 岡田尊司先生の本で精神科の勉強をしようと思っています。先生の文章はとても読みやすくやす、優しさを感じて好きです。
    つい先日、適応障害と診断されてしまい、自分で解決できていない問題を抱えたままでは、これから先に進めないとの想いもあります。
    そんな中で、自分と向き合う、自分を知る作業の一環としての読書でもあります。
    この本の診断の結果では、過敏な傾向にはあるが軽度、といったところ。自分の感覚だけで物事を見ることは、物事を見ているとはいえないなと改めて思いました。そして、多かれ少なかれ、気づいていようといまいが、みんな何かしらの問題を抱えて生きているのだなぁとしみじみと思いました。

  • われわれができる最善のことは、
    自分自身が自分の安全基地になるということ、、とあるが、
    その状態になるには自分自身を分析する時間を持つことがはじめの一歩だと感じた。。この本には過敏性チェックリストがあり、自身の過敏性プロファイルを作ることができる。過敏の傾向やその原因が分かりやすく説明されている。

    「ポケットパル」や呼吸法は今まで意識してなかったが、気持ちを落ち着かせるためにやっていたことだったのか、と少し驚いた。


    この本は子育て中の人にもお勧めしたい。
    乗り越えてきたつもりだった封印された記憶も、子育ての色々な場面で思い出し、自分自身と向き合わなくてはいけないこともあると思うので。

  • 自分の過敏性は、発達障害と愛着障害の両方が背景にあるのかなと本書を読んで感じた。また、愛着障害のタイプは、親密な感情や心を通わす関係を持ちたいと思わない「回避型」であるともわかった。

  • 今まで読んでいた本では、HSPの気質は先天的?もともと持ち合わせたものだと書いてあるものばかりで、そのつもりで読んでいた。しかしだんだんと乳幼児期の愛着の話になっていって、結局後天的なものなのか?なんだかよくわからないまま読み終わった。
    著者の先生の専門が愛着のところだから、結局そっちに話を持っていって終わっちゃったのかな…。
    結論としては、ちょっと期待していたのとは違ってなんだかよくわからなかった。

  • 過敏や生きづらさの原因を、科学的に説明。ただ途中から、なんとなく子供の生育には母親の役割が大事だから完璧な親になれって言われてる気がして、憂鬱になった。安全基地は父親だっていいし、ネグレクトの原因が母親が「働いてること」みたいに書かなくてもよくない?って本質と違うところが気になってしまった。ただ認知の歪みを認識するとか原因を把握するに良い本だったと思う。この分野はそろそろもう一歩踏み込んで学びたいなぁ。

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著者プロフィール

岡田尊司(おかだ・たかし)
1960年香川県生まれ。精神科医、作家。東京大学文学部哲学科中退。京都大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。京都医療少年院勤務などを経て、2013年より岡田クリニック(大阪府枚方市)院長。日本心理教育センター顧問。パーソナリティ障害、発達障害、愛着障害を専門とし、治療とケアの最前線で現代人の心の問題に向き合う。著書『悲しみの子どもたち』(集英社新書)、『愛着障害』『愛着障害の克服』(いずれも光文社新書)、『愛着アプローチ』(角川選書)、『母という病』(ポプラ新書)、『母親を失うということ』(光文社)など多数。

「2022年 『病める母親とその子どもたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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