ずば抜けた結果の投資のプロだけが気づいていること 「すごい会社」の見つけ方 (幻冬舎新書)

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  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344984776

感想・レビュー・書評

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  • ファンドマネージャーである著者が自身の経験などを基に投資対象になる企業を見つける際の秘訣や投資の本質を書いた一冊。

    年間900回の企業面談を行う著者の面談のための情報源や面談の際に注意するところやメモの方法など驚異の成績を誇る著者がどのように企業を選定されているのかが本書を読んで知ることができました。
    また、著者が投資の際に見るべき指標や中小型株の魅力も書かれておりファンドマネージャーの仕事の実態を知ることもできました。

    企業規模によって視点を変えていることやバリュー投資をスタンスとして投資されていることは意外な発見でありました。

    基本を守って投資を行っていくことが株式投資の王道であり、投資対象の企業の独自の強みを見つけ割安になった時に投資することが大切であることを本書を読んで感じました。

  • 評判が良いので買ってみた。
    決して派手なパフォーマンスや言動をせず、著者の着実な人柄が読み取れ、彼の運用するファンドも信用できると感じた。
    ただ、既に株式投資を数年経験している人にとっては特に読まなくても良いかも。
    恐らく完全には手の内は明かしていない。
    評判の良い投資信託を運用しているので外圧により宣伝用に書かされた部分もある。

    <以下はメモ>

    よく読むのは『週刊東洋経済』『選択』『FACTA』の3誌。新聞の優先順位は下位。

    読み込むならお勧めは『会社四季報』。前後の変化をチェックするため気になる銘柄の「業績予想・材料記事」を時系列で読み比べる。

    事業の効率性を図る指標「ROIC(投下資本利益率)」=営業利益÷(設備+運転資金)×100
    …10%あれば文句はない程度の基準。

    特定の産業や企業について詳しく調べていくことで、勝てる可能性が高まる。

    吟味つくした銘柄に投資したとき「間違うことは当然、誰にでもある」と冷静に受け止める事が出来ることが必要。
    「自分が間違う可能性がある」ので余裕資金で投資する。

    投資信託運営側は相場が下がって解約する客がいたら、将来上がる株でも売って現金化しなければならない。
    →下落相場で売りが広がる理由。個人投資家にとっては買いのチャンス!

    人生の貴重な時間を株式市場に振り回されるのではなく有意義に活用する。
    「気絶投資法」が良い。

  • 至極当たり前のことが書かれているように思う。結論としては、筆者がファンドマネジャーをやっている投資信託を買ってくださいということなんだろう。

    それ以下でも以上でもない。このジャンルの本は割合好きなのだが、本書には新しい知見もなくそれほど感心もしなかった。

  • 【みきまるさん株式投資本オールタイムベスト第64位】

    大和住銀投信投資顧問のシニアファンド・マネジャー、苦瓜達郎氏の本。

    苦瓜さんって、ペンネームかと思ったら本名なのか。

    氏が運用するファンドは以下の二つ。

    「ニッポン中小型株ファンド」
    組み入れ上位銘柄(2017年02月02日)
    1位 黒崎播磨 2位 オーデリック 3位 アサックス 
    4位 ヨンドシーホールディングス 5位 稲畑産業 6位 アサヒHD
    7位 ファーストロジック 8位 TPR 9位 ノダ 10位 ハマキョウレックス

    組み入れ上位銘柄(2017年11月末)
    1位 LIXILビバ 2位 ニチハ(ガラス土石) 3位 TPR 
    4位 コーナン商事 5位 ニチアス(ガラス土石) 6位 MCJ
    7位 河西工業 8位 愛三工業 9位 ジャックス 10位 アサヒHD

    「大和住銀日本小型株ファンド」
    組み入れ上位銘柄(2017年06月12日)
    1位 グリーンズ 2位 シノケングループ 3位 富士通フロンテック 
    4位 ニチリン 5位 アイ・ケイ・ケイ 6位 萩原工業
    7位 ノダ 8位 ニッピ 9位 イハラサイエンス 10位 オーデリック

    氏は株式市場のことを「横暴で、下品で、間違いだらけ」という。
    しかし、そんな株式市場を信用していると言い、そこには
    本来あるべき適正な首位順に戻す「引力」があると述べている。
    その引力を信じているからこそ、氏のファンドが好成績を収めているのだ。
    26年以上の経験から、2008年の金融危機に遭遇しても
    長い目で見ればいずれ株価は戻る、というスタンスを貫いていられたという。

    この信念に基づく投資スタイルこそ、
    「適正と考えられる株価よりも割安に放置されている銘柄を買い、
    適正水準になるのを5年でも10年でも待つ」という
    正統派のグレアム流バリュー投資だ。
    もちろん、売買のタイミングはいっさい考慮しない。

    第2章 私の投資哲学 より
    ●投資で考えるのは、「いつ」ではなく「いくら」か
    ・投資対象になりうる企業をリストアップし、それぞれの銘柄について
    「適正な価格がいくらか」を考え、自分がつけた適正価格と実際の株価の
    乖離率が高い銘柄、つまり、より割安度が大きいと考えられる銘柄から順に
    機械的に買っていく。
    ・そして、株式市場の「引力」を信じつつ、適正な株価に戻るまでじっくり待つ。
    ●PBRよりPER重視。
    ・「高成長ではないものの伸びしろはあり、さほど大きなリスクがない安定成長銘柄」の場合はPER15倍程度が目安
    ・「あまり伸びしろはないものの、日本経済全体なりの業績を上げそうな銘柄」の場合は10倍程度が目安
    ・「例外的な高成長企業」の場合50倍程度で計算することもありうる
    ・「株価は間違い続けている」という前提に立てば、同業他社との比較や、過去のPER水準との比較は意味がない
    ●主戦場は「中小型株投資」
    ・中小型株はいったん動き出すと値動きが大きく、儲けが大きくなりやすい反面、損失も大きくなりやすいのが特徴
    ・中小型株の対象となる中堅企業と呼ばれる規模の会社は企業の全体像が見えやすく、「伸びている事業は何か」「その要因は何か」がわかりやすい
    ・一つのビジネスの成長がストレートに業績に結びつきやすく、株価上昇にもつながりやすい
    ・よって、大型株投資よりも中小型株投資のほうがシンプルで勝ちやすい
    ●中堅企業は健全でおもしろい
    ・市場規模が小さく、世界中で何百人、あるいは何千人だけがやっていればいいけれど、確実に必要とされるビジネスをやっている中堅企業が無数にある
    ●バリュー投資かグロース投資家か
    ・自分がグロース投資を行わないのは、グロース投資の世界があまりよく理解できないから
    ・グロース投資は「自分は他人より賢い」という前提に立っている。市場参加者が興味を持ち、注目し、企業価値以上に高い株価が付いている銘柄を買うということは、「自分はより正しい判断ができる」と信じていることに他ならない
    ・バリュー投資は「他人より自分はバカだ」という前提に立っている。市場参加者が見落としていたり気づかなかったりして評価が低いままになっている企業について、他人の評価を無視して株を買うことだから。

    第3章 「すごい会社はこうして見つける」より

    ・初めての企業との面談では、その企業の沿革を聞く。
    企業というものは「現在形」で理解するのではなく、「現在完了形」や「現在進行形」で捉えることが重要。
    ・過去の失敗談を語りたがらない企業は評価が下がる。
    ・「伸び始めのニッチなベンチャー企業」と「成熟した安定成長企業」は、株価が割安であれば目のつけどころとしてはおいしい。
    ケーススタディ①セリア(100円ショップ)
    ・ダイソー、キャンドゥに先駆けてPOSシステムを導入(2004年)
    ・POSデータ活用による本部主導の店舗管理が成果を出し始める(2009年)
    ・投資を始めた2006年度の株価は200円台、2017年8月末時点で6,000円台
    ケーススタディ②ステップ(学習塾)
    ・学習塾経営は、無理な成長を狙わないことがポイント
    ・学習塾には「少子化」という問題があり、業界全体では衰退していくことは間違いないが、だから学習塾なんてダメだとは思っていない。
    ・少子化というキーワードだけで企業の先行きを語ることにさほど意味はない。
    ・ステップに関して言えば、入塾希望者を選抜しているため、今のところ少子化の影響を受けていない

    第4章 中堅企業はこんなに面白い

    ●数百人規模の企業が活躍するニッチな世界
    ①食品加工機械メーカー
    ・柔らかいものを機械で扱うという食品ならではの困難を乗り越えて
    独自に開発されてきた食品加工機械は少なくなく、
    市場は小さくても一定の支持を得て堅実にビジネスを成長させてきた企業は多い。
    ・力のある食品加工機械メーカーは機械メーカーの中では
    相対的に業績の安定しているケースが多い
    ・投資対象としての魅力は株価水準しだいだが、注目に値する業界であることは間違いない。
    ②ブライダル業界
    ・「少子化」という言葉のイメージが強烈すぎて、市場全体では大きく伸びることが見込めないため業界として見捨てられがち
    ・自分に言わせれば、これほどニーズの細分化で勝負してきた業界もなかなかない
    ・ブライダル業界は、デフレ時代を必ずしも価格を下げることなく乗り切り、むしろ収益性を高めて成長してきた珍しい業界
    ・生き残っている企業の中に高収益なビジネスモデルを展開しているところがあることに気づけば、投資対象としての可能性も出てくる
    ●ビジネスモデルで勝てる企業の条件
    ①インターネット業界
    ・一般消費者を直接自分たちのサービスに誘導できる仕組みがあるインターネット企業は強い
    ・逆に、グーグルに従属しているネットサービスは危ない
    ・グーグルだけでなく、フェイスブック、ツイッター、LINEなどなにかのサービスに従属している企業は、そのサービスがコケたとき、施策を変更した時にモロに影響を受ける
    ・単なる広告収入ではない課金ビジネスができるかどうかがカギ
    ・ニッチで大手が手がけていないものの、確実に一定のニーズが見込める小さなサービスを立ち上げるのが成功につながる道のひとつ
    ②不動産業界
    ・いま不動産業界で生き残っているのは、一線を守り、やってはいけないことをしなかった企業
    ・生き残っている企業がプロとしての相場観を持ってビジネスをし、きちんと利益を上げているのであれば投資対象となりうる

    最後に、苦瓜氏が奨めるのは「気絶投資法」。

    「個人投資家が株式投資で勝つには、株式市場がボロボロになったときに買い、
    そのまま気絶したようにそのことを忘れてしまうのが『王道』です。」

    グリーンブラットの「魔法の公式」しかり、
    これができるのは、自分の投資スタイルを100%信じられる人だけだろう。

    一線で活躍しているファンドマネジャーが書いた本として、
    本書はピーター・リンチの「株で勝つ」に匹敵するかもしれない。
    他の日本人ファンドマネジャーも、こんな本をどんどん書いて欲しい。

    しかし、2017年の歴史的な上げ相場にあって、
    苦瓜氏の基本に充実なバリュー投資を実践する人がいるかどうかはやや疑問。
    そして、10月の日経16連騰という歴史的な相場を経て本書が発売されたことは
    なにか裏があるのではないかと勘ぐってしまう。

  • 参考になる事が多い。 安定成長銘柄はPER15倍程度が妥当。時価総額1,000億程度の中小銘柄が魅力的。伸びしろないものはPER10倍程度が目安。

  • あまりこの手の本に期待していなかったのだが、いい意味で期待を裏切られた一冊。

    筆者は大和総研でアナリストをしていた際に企業分析、特に中小企業の分析にハマり、そこから転じて中小企業を専門に投資するファンドマネージャーとなっている。

    有名なファンドマネージャーには、本心の強運よるものとしか思えない再現性のない人が多いが、この方は本当に中小企業が好きで、分析を行い続けた結果良い投資先に巡り合えているという気がした。

    著書で触れている、中小企業分析ならびに投資は、少し頑張れば個人でもできるため、早速やってみようと思った。

  • 大和住銀投資顧問のファンドマネージャーである著者が得意とする中小型株の投資方法について書かれている
    個人でも戦い方次第で投資機関に勝つことができる。
    ・特定の分野を深掘りする
    ・他人の後ろをついていくのではなく自分のスタイルを持つ
    ・時間を味方につける「気絶投資法」

  • 投資の本は基本「儲けるための本」が多いが、これは「学問としての本」に近かったように感じた。
    実際のファンドマネージャーがどのように考えているのかが知れてとても面白かった

  • 著者の立ち位置が結構特殊。でもその論旨に普遍的な意味を持たせるべく、ポイントが上手く纏められてはいる。

  • 投資の本質という感じ。

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