「女性天皇」の成立 (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344986336

作品紹介・あらすじ

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感想・レビュー・書評

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  • この書籍は女性天皇を巡る論点を網羅した緻密な論考であり、天皇制に関心のある方はまず最初に読むべき書籍です。

  • 愛子さまで良いじゃない。でじゃないのよ。愛子さま一択。そもそも天照大神は女なんだもん。万世一系って明治以降に言い出した事なんだよ!この本有識者会議の人たち読んで欲しいなあ。もちろん読んでいるよね?

  • ふむ

  • KK騒動にはまったく興味がないのですが、本来なら「おめでとうございます」と言われるはずの会見の席で、眞子さんが「心を守る」と発言していたことにびっくりして、会見動画を見てみました。

    そもそも女性が天皇になれなくなったのはいつからなんだろう、歴史的には持統天皇というすばらしい前例もあるのに、と思って調べてみましたが、出てくるのは
    『なぜ女系天皇で日本が滅ぶのか』
    「「男系」とは、父親を遡っていけば必ず神武天皇に辿りつくという皇統の唯一のルールである。これを廃し、仮に女性天皇が中国人とご結婚されれば皇統は「中国系」となり、韓国人となら「韓国系」となり、イギリス人となら「英国系」になる。」とか、
    『天皇の遺伝子 男にしか伝わらない神武天皇のY染色体』とか、もうタイトルだけでウンザリするようなものばかり。
    比較的まっとうそうなこちらを手に取ってみました。(著者は神道学者、皇室研究者とのことですが、中国を「シナ」と表記していたりするので、一定のバイアスはかかっていそう。)

    わかったのは天皇が男系男子に限定されたのは明治22年(1889年)の皇室典範より。古代の6人のほか、江戸時代にも2人、女性天皇がいる。
    さらに昭和22年(1947年)の皇室典範で非嫡出子を皇位継承資格から外したことで、天皇の正妻が必ず男子を産まなければいけないという重いルールが課せられる。
    (大正天皇は側室の子。現在の上皇は昭和天皇の5番目の子で、初めての男子)

    天照大神が女性神であるというのはたしかに言われてみればという気がしますが、神武天皇と同じく神話の範囲だからなあ。

    私は「万世一系」など初めから信じていないし、そもそも天皇制が存続する必要がどこまであるのかと思ったりするのですが、そこまでいうと話が大きくなりすぎるのでやめておきます。

    愛子さんが天皇になりたがっているとも思われないし、皇室を離れたとはいえ、眞子さんが男の子を産んだりするとまた騒動になるんだろうなとか。皇族とは結婚相手や職業を選ぶ自由を著しく制限されているんだとあらためて思ったり。ただ男系とかY染色体とかが女性天皇を阻む理由ならそれはもうそこから打破していってほしいと思います。


    以下、引用。

    皇室典範では、皇室の「聖域」性を守るために、いったん皇籍を離れた方ご本人およびその子孫は、二度と皇室にもどることはできないルールになっている(第十五条)。

    「皇位継承というのは血統原理である。……別枠の存在であり、古来から確立したシステムである。……具体的なイメージも大事であるが、これは千七百年以上行われてきたシステムである。」

    「皇族とは職業ではなく運命であり、運命に従う生き方である。」

    (旧宮家の皇籍取得は)「特攻隊に志願していただくようなもの」

    過去の実例を見ると、およそ史実性が認められるケースについて、歴代天皇の正妻たる方のうち、三八・五%ほどは男子を生んでおられない。伏見宮・有栖川宮・閑院宮・桂宮の四世襲親王家のケースを見ても、正妻たる方の五四・三%は男子を生んでおられない。

    男系社会では、未婚の女性は一人前として扱ってもらえない。一方、「同姓不婚」(同じ男系の血筋の男女は結婚できない)なので、皇帝の配偶者(皇后)は必ず皇帝の一族より〝下位〟に見られた他氏の女性になる。

    「生まれた子どもが父方の一族に属するのが父系社会、母方に属するのが母系社会である。厳密な父系社会では、父系につながる一族は同じ姓を称し、一族の内部での婚姻は禁じられる(族外婚/同姓不婚)。
    中国は典型的な父系社会だった。父方の親族だけが社会的に重んじられ、地位の継承は男子の血統を通じてのみ行われるのである(男系継承)。
    それに対して双系的親族結合を基本とする社会では……父方母方双方の血統が子の社会的政治的地位を決める上で重要な要素となる。……古代の倭/日本は、もともと双系社会だったのである」

    何しろ神話上の神々の体系の中で、その頂点に君臨した最高神は、太陽の女神・天照大神だった。まさしく〝女性神〟だ。世界各地の神話に見られる最高神は、ギリシア神話のゼウス、北欧神話のオーディン、バビロニア神話のマルドゥク、『旧約聖書』のヤハウェなど、男性神であるのが一般的だった。日本人自身はあまり自覚していないかも知れないが、女性神を最高神とすることは、日本神話のきわだった特徴だ。

    「他の古代文明の神話で、天上の王の地位を占めているとされている、男性の最高神たちに共通する……極端なまでの峻厳さ、無慈悲さと対比して見た場合に、わが国の神話で同じように天上の主権者の地位にあるとされている、最高女神のアマテラスに帰せられている、それとほとんど水と油のように違う優しさと慈悲深さは、他にほとんど類例がないと思える。」

    現代の世界で、君主の地位の継承資格を「男系の男子」に限定している国は、「一夫多妻」を認めているヨルダンやサウジアラビア、さらに人口わずか四万人ほどの〝ミニ国家〟リヒテンシュタインくらいしかないことも、念のために付言しておく。

    第十一条は、「皇籍の離脱」をめぐる規定。
    その第一項は、十五歳以上の内親王・王・女王は、ご本人の「意志に基き」、皇室会議の同意を得た上で、皇族の身分から離れることができる、と定めている。

    今の制度のままなら、皇室にはやがて悠仁親王殿下たったお一方だけが残ることになってしまう。
    そのことが、あらかじめはっきり分かっている場合、畏れ多いが、悠仁殿下と結婚したいと考える国民女性がはたして現れるか、どうか。
    しかも、必ず「男子」を一人以上生まなければ、長い歴史をもつ皇室を〝自分のせいで〟滅ぼしてしまうことになるという、〝およそ想像を絶する重圧〟がかかるとしたら。

    非嫡出子として最後に即位されたのは第百二十三代・大正天皇。

  • 東2法経図・6F開架:B1/11/631/K

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著者プロフィール

昭和32年、岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒業。同大学院博士課程(神道学専攻)単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「国家観・歴史観」講座担当などを歴任。大嘗祭の研究で神道宗教学会奨励賞を受ける。小泉内閣当時「皇室典範に関する有識者会議」のヒアリングに応じる。現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師など。
著書は、『天皇と民の大嘗祭』(展転社)、『この国の生い立ち』(PHP研究所)、『天皇から読みとく日本』(扶桑社)、『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)、『日本の10大天皇』(幻冬舎新書)、『天皇「生前退位」の真実』(同)『歴史で読みとく女性天皇』(ベスト新書)、『私たちが知らなかった天皇と皇室』(SBビジュアル新書)、『古事記が日本を強くする』(共著、徳間書店)、『歴代天皇事典』(監修、PHP文庫)、『天皇陛下から私たちへのおことば』(監修、双葉社)、『天皇と元号の大研究』(監修、PHP研究所)など。

「2019年 『天皇と国民をつなぐ大嘗祭』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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