脚本力 (幻冬舎新書 666)

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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344986671

作品紹介・あらすじ

ドラマ史に残る名作『北の国から』『前略おふくろ様』から、老人のリアルを描いて話題となった『やすらぎの郷』まで、倉本聰はなぜ60年以上にわたり、第一線で書き続けられるのか。「構成はおもてなし精神で」「台詞は論理的であってはいけない」「物書きに必要なのは発信力より受信力」――本書のために書き下ろした新作『火曜日のオペラ』の企画書から完成台本までの創作過程とともに、名作を生む「手の内」をすべて明かす。87歳の今なお毎日原稿用紙に向かう巨匠の、創造力の源泉に迫る一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 『北の国から』の倉本聰さんの脚本力
    一人一人の登場人物の生い立ち、人間関係、住んでいたところまで細かく設定する。だからこそ、登場人物同士が繋がったり、化学反応が起きたりする。
    大きな樹木のねっこの部分が、登場人物だという。
    登場人物の血液型や親子、兄弟関係、通っていた学校や近くのスーパーまで想像上で明確だからこそ、新たなドラマが導き出せる。北の国からで言えば、純や螢が住んでいた街は新大久保だという。
    登場人物や構成がイメージできてしまえば、シナリオはあっという間に書けてしまう。
    やはり倉本聰さんは凄すぎる。リアリティをもたせるためのこだわりが。
    中嶋朋子さんと糸井重里さんのトークショーでも、黒板五郎こと田中邦衛さんが亡くなった後のトークショーでも倉本聰さんと演出家の杉田成道さんのこだわりにびっくりした。中嶋朋子さんは列車を追いかけるシーンで何度走らされたことか、、、。
    「こどもがラーメン食ってる途中でしょうが。」
    という有名なシーンも、女性店員は母子家庭で、子どもがお腹をすかして待っているという履歴設定をすることで「へそ」ができたという。

  • ■ Before(本の選定理由)
    倉本聰の仕事術、みたいなものだろうか。
    脚本家という役割も気になる。

    ■ 気づき
    脚本と脚色は全く違う、という言葉に心から共感。ゼロからキャラクターの個人年表・場合によっては家系図まで作成しているのだから、そう思うのも当然。

    ■ Todo
    仕事の進め方として、大変参考になった。準備の質が違う。また演出の特徴としては、「間」を持たせるからリアルさがあるのかと感心。

  • 倉本聰氏の脚本のつくり方、考え方はとても興味深く面白かった。

  • 『北の国から』などで知られる名脚本家、倉本聰のシナリオ執筆のプロセスがプロットから完成稿まで記されている。

    自分も脚本を書いており、書くたびにシナリオ制作の一連の流れに躓くことが多いので勉強になった。
    キャラクターのバックグラウンドを住んでる町や、そこでの生活まで考えるというやり方は岸川真の『だれでも書けるシナリオ教室』にも載っていた。
    だがこのプロセスを自分は面倒臭くて飛ばしていたのだが、やはりここまでやらないと生きたキャラクターを生み出すのは難しいな、と改めて感じた。

    ただ完成稿のドラマは今の感覚だとちょっとどうなんだろう、という面もある。
    例えば美麗な女性に対して昔使っていたであろう”マドンナ”という言葉。これはさすがに今はもうほとんど死語で、この言葉から想像するのはアーティストのマドンナくらいだろう。
    それに男女の台詞や恋愛の価値観がもう埃が被ってると言っていいくらいに古臭い。そういう部分にはちょっとこの感覚は、と思ってしまう。
    ただシナリオのメインのストーリーライン自体はさすがプロのシナリオライターだ。コロナ禍を意識した、はったりを効かせた物語は87歳とは思えない時代感覚だ。

    60年以上もシナリオを書き続けてきただけあって、創作に対する独自の考え方、哲学も興味深かった。
    普遍的でありながらも新鮮で、創作をしている自分には学ぶことが多い一冊だった。

  • 具体的な創作論。
    インプットの重要性や
    構成を観光案内に例えている下りが
    面白い。
    新作脚本は、正直、そんなに
    面白いとは思わなかったが、80過ぎて
    ネット社会や世界的な感染症の
    リアリティに追いついているのは
    すごいと思った。

  • ワンシーンにしか登場しない人物にもちゃんと背景や歴史を持たせるからこそ、倉本さんのドラマは温かいのだと思われ…。だから、どの作品も何度も見てしまう訳で…。

  • 東2法経図・6F開架:B1/11/666/K

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著者プロフィール

倉本聰(くらもとそう)
一九三五年東京生まれ。脚本家・劇作家・演出家。東京大学文学部美学科卒業。『前略おふくろ様』『北の国から』『昨日、悲別で』『優しい時間』『拝啓、父上様』『風のガーデン』『やすらぎの郷』など数々のヒットドラマの脚本を手掛ける。七七年からは富良野を拠点に活動。

「2022年 『脚本力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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