イギリス帝国盛衰史 グローバルヒストリーから読み解く (幻冬舎新書 708)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344987104

作品紹介・あらすじ

十六世紀にはヨーロッパの二流国に過ぎなかったイギリス。それがなぜ世界を動かす帝国になり得たのか? イギリス革命と産業革命による躍進を論拠とする従来の説ではわからなかった「帝国化」と「帝国経営」の実態が、最新の「グローバルヒストリー」研究によって明らかになってきた。「ヒト・モノ・カネ・情報」を巧みに活用し、時代に合わせてしたたかに仕組みを変化させながら世界に君臨してきたイギリス帝国。本書は、その五百年にわたる興隆・繁栄・衰退の歴史をひもとく「新たな世界史」である。

感想・レビュー・書評

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  •  この本は、新書ですが400頁以上あるので読み応えありますが、プロ執筆者に語って作成されているのでとても読み易い本でした。
     イギリスという国はとても不思議な国で、どうしてこんな小さな国がこれほど大きな影響力を世界史に長い間及ぼし続けてこれたのでしょうか?16世紀にはヨーロッパの片田舎でしかなかった小さな島国が17世紀にはピューリタン革命やら名誉革命によって立憲君主制に脱皮し、スペインの無敵艦隊を破り、オランダの覇権を打倒し、フランスやスペインの新大陸の植民地を奪って、世界帝国となるのだから凄い。日本はかつて豊臣秀吉が「唐入り」をしてみたり、「大東亜文化圏」なんて戯言をほざいたりしましたが、瞬間的に失敗していました。ところがイギリスは18世紀から世界大恐慌の頃まで覇権国家として世界に君臨したのだから凄いですよね。

     不思議なことですが、いくら権勢を誇っても、いくら国家として他国からの搾取を重ねても、国家に残るのは借金の山でしかないのはどうしてなのでしょうか?ローマ帝国もスペイン帝国も大英帝国もそうなのです。所詮国家は器でありそれを利用して大儲けしている個人や会社があるのですね。

    • Tomoyukiさん
      こんばんは(^^)
      連合王国(イギリス)はやはり地政学的な優位性があったのではないでしょうか。
      ヨーロッパを外からコントロールできたことが大...
      こんばんは(^^)
      連合王国(イギリス)はやはり地政学的な優位性があったのではないでしょうか。
      ヨーロッパを外からコントロールできたことが大きかったと思います。
      2024/02/16
    • 雷竜さん
      コメントありがとうございます。その通りだと思います。地政学的必然性はあるのでしょうが、それだけとはいえない偶然的な要素も重なっているのでしょ...
      コメントありがとうございます。その通りだと思います。地政学的必然性はあるのでしょうが、それだけとはいえない偶然的な要素も重なっているのでしょうね。
      2024/02/16
  • 序章 新たな世界史の視点「グローバルヒストリー」-従来の一国史では見えなかったもの/第1章 帝国の黎明期ー二流国イギリスの「帝国の兆し」/第2章 帝国への転換期ー歴史を大きく変えた「イギリス革命」/第3章 イギリスの「長い十八世紀」“前半”第一次帝国/大西洋を挟んだ帝国/第4章 イギリスの「長い十八世紀」“後半”-第二次帝国/大西洋からアジアへ/第5章 ヘゲモニー国家「イギリス帝国」の繁栄ーなぜ覇権国家となれたのか/第6章 イギリス帝国の帝国経営ー自由貿易か保護貿易か/第7章 帝国の衰退ー新たな「コモンウェルス」体制へ/第8章 したたかに生き残るイギリスー金融立国の道へ/終章 これからのヘゲモニー国家とは?-問われるリーダーシップ

  • 配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
    https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=10276335

  • 16世紀から現代までのイギリスの歴史がよくわかった

  • 仕事でイギリスに視察研修に行くとこもあって
    イギリスの文化や歴史を知りたいなと思ってたところ、本屋でたまたま見つけた。

    これが単なる教科書的なイギリスの歴史の本でなくて面白く引き込まれた。イギリス一国の縦の歴史でなく、ヨーロッパやアメリカ、そしてアフリカやインドやアジアなど横の関係から近代世界の歴史をダイナミックに勉強できた。
    世界や歴史の見方について新たな気づきやいろいろな視点を与えてもらった一冊。

  • 歴史に残る名著! 国家戦略の苦手な日本人には必読の書。
    日本は受け身で追い詰められたときは「土俵際の危機意識」で「戦略的」に動ける。
    若いリーダーが存分に活躍できる。
    ただ平時が続くと「老人が跋扈し」、体制の硬直化が進み、国は滅びに向かう。
    世界史の中で、同じ島国で2流国から世界帝国に飛躍し、世界システムを革新しつつ堅持した英国の歴史は大いに勉強すべきテーマ。
    日本人の学者がこれだけの書を組み立てられたのは素晴らしい!
    2023/12/21 「イギリス帝国盛衰史」秋田茂☆「グローバルヒストリー」
    各国史→世界史は一体 各国はもっとつながり
    日本史も中国・朝鮮・東南アジアなどとの相互交流・影響受けている
    ヨーロッパとも深い交流 スペイン・ポルトガル・オランダetc.
    それにしても「大英帝国」はどうしてこれほど成功したのか?
    経営人材のミッション・ステータスが高く、有為な人材がエントリーした
    「エリート層をどの分野に向けるのか」国家の盛衰を決定する
    Cf大英帝国衰亡史 中西輝政

    2023/12/24 「イギリス帝国盛衰史」 「エリートの創出」
    ① ジェントリー 綿織物産業革命により利潤蓄積 「カネ算盤」
    ② オックスフォード・ケンブリッジで人文教育 「教養論語」
    →リーダーとして育成 世界各地の経営者 「武士道」
     日本には①と②両方備えたリーダー像がない 特に敗戦後
    植民地収奪や奴隷貿易により原始蓄積を行ったのは先発他国と同じだが、
    経営人材を組織的に育成し、産業革命に投資し、自由貿易時代に備えた
    米国独立戦争も結果的にはプラス 軍事より自由貿易の方がパフォーマンス高い
    軍事費負担は莫大かつ増加基調・・・大国の盛衰を連想する

    2023/12/26 国家戦略としての「大英帝国」
    ① 産業戦略=成長戦略 スクラップアンドビルド 冷徹さが必要
    ② 人材戦略=教育 有能な人材を必要な分野へ 人文に傾斜 化学・工学弱い
    →ドイツ・米国に遅れ 軍事・重化学工業
    ③ 「理論による正当化」 自由貿易・比較優位 
    強者の論理 生産性格差の固定化→発展戦略「保護貿易」「自立」「原始蓄積」
    北海道は原材料の供給基地・収益は収奪された
      
    2023/12/26 ex「インド経営」
    ① 高級官僚の選抜 インド高等文官1,200人
    ② 軍隊の設置 200,000人
    ③ 女王陛下の臣民 公平な扱い
    ④ 既存支配構造との連携 大土地所有層 カースト制度の保持

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著者プロフィール

1958年生まれ。大阪大学大学院文学研究科・教授
(主要業績)
『イギリス帝国とアジア国際秩序』(名古屋大学出版会、2003年:第20回大平正芳記念賞2004年)、『イギリス帝国の歴史―アジアから考える』(中公新書、2012年:第14回読売・吉野作造賞2013年)、Shigeru Akita (ed.), Gentlemanly Capitalism, Imperialism and Global History (London and New York: Palgrave-Macmillan, 2002).

「2020年 『グローバルヒストリーから考える新しい大学歴史教育』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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