下巻に入り俄然面白くなる。
はじめに祖母の兄のアーサーコランナの話、白日にこき使われ、働き働きまたは働いて、農場を持ち、家族を持つ。しかし兄弟と引き離され、親とは引き離された生涯。アーサーは自分で働いたという気概がありまっすぐである。
次に著者の母の話。母は生まれてすぐ母の親である著者の祖母と引き離され、孤児院のようなところで育てられる。徐々にアボリジナルであることを自覚していく。
そして最後まだ頑なに自分の過去を封印してきた著者の祖母デイジー・コランナの話。アボリジナルであることがどんなに辛いことであったかが語られる。
オーストラリアに限らず、白人であるとが正義で、その他の民族、習俗、習慣はすべて悪であると信じ込んでいたのが100年以上前。そして今でも一部ではそう。
アボリジナルに惻隠の情を抱くのが難しかったのは想像に優しい。いまなお少数民族への迫害は続いているのだ。
意識的にそして無意識的に。