- Amazon.co.jp ・本 (449ページ)
- / ISBN・EAN: 9784387851011
感想・レビュー・書評
-
2013/1/21購入
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
若かりし頃、彼の作をいくつも読んだのを思い出す。そして様々な影響を受けていたのだな、とかみ締めた。
大衆からはみ出たアウトサイダー。
人類の進歩していく先。
脳の世界。
神秘・オカルトの世界。
ラヴクラフト。
コリン・ウィルソンという門を通ることにより、私の読書の世界の道筋が広がったのか、様々な私の好みの流れは最初からウィルソンの興味の対象と似ていただけなのか、今になるとまったく記憶にないのだが、彼の著作を読んで、そこで得た何かを抱いて書店に足を運んだのは確かなこと。それが、読んですぐに動いたのか、何年も経ってから書棚の本に手を伸ばす原動力になったのか、違いはあるかもしれないが。
本書は、いくつかの彼の書き物をまとめたもので、タイトルのような一貫したテーマがあるわけではない。タイトルを見て、もっとSFについて書かれているものと期待したような記憶もある。
小説でもなく、評論としてたどたどしい面も見えたりして、必見の書とはいい難いのだが、演台の上でマイクを使って大きなテーマについて講演しているのではなく、カフェに座りながら、隣で話しているようなウィルソンに会えている気がする。
何故、ウィルソンに魅かれていたのか、もしやと思える一文を見つけた。
労働者階級の父を持つ家庭に生まれた彼が、その世界との隔絶感、あるいは脱出したいという願望をエネルギーに著作活動をしていたように思える。そんな彼に自分の境遇を重ねていたのかもしれない。
そんな風に分析すると、今は自分の境遇と折り合いがつけられるようになったのか、と懐かしく考えてしまう。
目次を紹介しておく。
実存主義としてのサイエンス・フィクション
タイム・スリップ
ブリューソフと炎の天使
ラヴクラフトと『ネクロノミコン』
ヘッセ、ライヒ、ボルヘス
詩と神秘主義