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- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784390107310
感想・レビュー・書評
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『源氏物語』研究の第一人者として知られた著者が、ストーリーの全体像を崩すことなく、『源氏物語』の内容をコンパクトに書きなおした本です。
とはいえ、やはりストーリー上の重要な出来事が落ちているような印象を抱いてしまいます。例えば女三の宮と柏木をめぐる重要なエピソードはすべて省略され、「宇治十帖」で薫に彼自身の来歴が発覚する場面でまとめて説明されています。そのため、女三の宮の降嫁とそれに伴う紫の上の晩年の苦悩や、かつて藤壺との禁断の関係に及んでしまったみずからの運命が、立場を変えて繰り返されることへの源氏の恐れがすべて漏れ落ちてしまっています。
本書の構成上やむをえない措置なのだとは思うのですが、『源氏物語』の世界への案内としては、本書よりもさまざまな人の手になる現代語訳についた方がよいのではないかという気がします。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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