源氏物語: 若い人への古典案内 (現代教養文庫 731)

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  • 社会思想社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784390107310

感想・レビュー・書評

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  • 『源氏物語』研究の第一人者として知られた著者が、ストーリーの全体像を崩すことなく、『源氏物語』の内容をコンパクトに書きなおした本です。

    とはいえ、やはりストーリー上の重要な出来事が落ちているような印象を抱いてしまいます。例えば女三の宮と柏木をめぐる重要なエピソードはすべて省略され、「宇治十帖」で薫に彼自身の来歴が発覚する場面でまとめて説明されています。そのため、女三の宮の降嫁とそれに伴う紫の上の晩年の苦悩や、かつて藤壺との禁断の関係に及んでしまったみずからの運命が、立場を変えて繰り返されることへの源氏の恐れがすべて漏れ落ちてしまっています。

    本書の構成上やむをえない措置なのだとは思うのですが、『源氏物語』の世界への案内としては、本書よりもさまざまな人の手になる現代語訳についた方がよいのではないかという気がします。

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著者プロフィール

大正13年(1924年)、岡山県生れ。
昭和22年東京帝国大学国文学科卒、同大学院修了。東京大学名誉教授。日本学士院会員。
源氏物語ほか女流日記文学などの注釈や作家論・作品論を手がけて平安朝文学研究に寄与した。平成13年文化功労者受賞。
主な著書に、『源氏物語の世界 その方法と達成』(昭和39年、東京大学出版会)、『王朝女流文学の形成』(昭和42年、塙書房)、『源氏物語』(昭和43年、岩波新書)、『王朝女流文学の世界』(昭和47年、東京大学出版会)、『日本古典文学大事典』(共編)(昭和58-60年、岩波書店)、『王朝の文学空間』(昭和59年、東京大学出版会)、『王朝文学史』(編)(昭和59年、東京大学出版会)、『伊勢』(昭和60年、ちくま学芸文庫)、『源氏物語の女性たち』(昭和62年、小学館)、『王朝語辞典』(平成12年、東京大学出版会)、『源氏物語を読み解く』(共著)(平成15年、小学館)、『古典をどう読むか 日本を学ぶための『名著』12章』(平成17年、笠間書院)、『源氏物語大辞典』(共編)(平成23年、角川学芸出版)などがある。

「2011年 『平安文学の論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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