生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来 (現代哲学への招待 Great Works)

  • 春秋社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393323526

作品紹介・あらすじ

「人間は生まれながらのサイボーグだ! これは科学的真理である」。コンピューターや人工知能、携帯電話をはじめとするメディア、脳や身体に直接接続され、あるいは埋めこまれるデバイスなど、最新テクノロジーと人間の融合の現在地と未来像を、多彩な具体例をあげながら探究。そこから見える「拡張する心」「拡張する身体」の可能性と危険性、そして「人間の本質」に肉薄する、まさに現代人のための哲学。

感想・レビュー・書評

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  • [出典]
    数学する身体

  • 学生購入希望で購入した図書(2019年度)
    【所在】3F開架
    【請求記号】007.1||CL

    【OPACへのリンク】
    https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/189062

    これまでに学生購入希望で購入した図書の一覧は
    http://www.lib.tut.ac.jp/irai/kibo.html#konyu_kibolist
    こちらで確認できます

  • この本の意味するサイボーグとは普通思い浮かべるであろう
    009やケーブルやバイオニック・ジェミー(例えで歳が
    わかるな(苦笑))のような「身体的」なそれではない。
    人間の脳は大きな可塑性を持ち、外部に向かって開かれて
    いるシステムであり、使用する道具や環境を自らの一部と
    して取り込んでいく特製を元々持っている。人は生物的な
    脳と非生物的な回路とにまたがった心と自己を持つシステム
    であり、その点を指してサイボーグと称しているのである。

    その昔、足繁くゲームセンターに通い、ゼビウスという
    シューティングゲームを毎日のようにしていた頃、ゲームの
    中の戦闘機が直接腕に繋がっているような感覚を身をもって
    体験したことがあり、著者の主張は実感として感じることが
    できた。認知科学論の佳作である。

    ただ、2003年の著作であり、少し古く感じてしまうことは
    否めない。もっとも、訳者がしっかりした後書きでフォロー
    しているのでその点はご心配なく。

  • 人間の脳は、感覚器官や無意識でできる動きといった生物的なもの、言語、文字という人間固有のもの、ペンと紙、ARといったテクノロジーまで、皮膚の内外の区別なく、様々なものを道具として扱っている。

    ある道具が自分の一部として感じられるか、というのは、そのインタラクションがどれだけスムーズに行なわれるか、という量的な問題でしかないと著者は主張する。例えば、腕時計をつけている人は、「いま何時か分かりますか?」という質問に対して、その時点では何時か知っていなくても「はい、分かりますよ」と答えて時計を見る。
    このことから、人間の境界を皮膚の内側とするのではなく、スムーズに接合されたテクノロジーを含めて人間と捉えるべきだ、と提案するのが本書のテーマ。

    著者は、人間が思考し、テクノロジーを発達させることができた大きなきっかけが言語を持つようになったことであると述べている。思考から言語が生まれたのではなく、言語によって思考が生まれたのである。
    この考え方はサピア、ウォーフの言語的相対論に拠っている。これに対して、人間は普遍的に心的言語をもっているとするのがチョムスキーなどが主張する普遍文法論である。
    このあたりの思考と言語の関係についてもっと学んでみたいので、次はスティーブン・ピンカー「思考する言語」、ダニエル・L・エヴェレット「ピダハン」を読んでみる。

  • サイボーグと表題にあるが心とか自己についての哲学的な本でありました。
    今年出された本だが原作自体は2003年に発行されており今のITなどの進化や技術からするといささか古い内容となる箇所も見受けられるが、本質はそこにはないので今でも十分読める内容であった。(巻末に訳者の解説がありその点を補っている)
    俺はサイボーグとか好きだし攻殻機動隊の世界に憧れるので体の擬体化や脳のネット化はできることなら体験してみたいもんです。
    その時自己はどうなるかわかるでしょう。

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著者プロフィール

1957年生まれ。イギリス(スコットランド)のエジンバラ大学哲学教授(論理学形而上学講座)。心の哲学および認知科学の哲学を専門とし、特に「身体性認知科学」の世界的リーダー。

「2015年 『生まれながらのサイボーグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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