なぜ私は凍りついたのか: ポリヴェーガル理論で読み解く性暴力と癒し

  • 春秋社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393365649

作品紹介・あらすじ

恐ろしいトラウマ的出来事が引き起こす凍りつき反応への社会の無理解が、性暴力の被害者を追い詰め、第二の被害を生んでいる。さまざまな立場の専門家・当事者が性暴力へのポリヴェーガル的視点の重要性と可能性について、海をこえて論じる、希望の書!

感想・レビュー・書評

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  • NA図書館本

    ポリヴェーガル理論について知りたくて。
    ポージェス博士による、
    自律神経系を中心としている理論。ソマティック心理学身体心理学の流れ。
    多重迷走神経論。
    凍りつきは、じっと動かないでいることで生存の可能性をupさせるもの。性的被害者など。なぜすぐに助けを呼ばないか→助けを呼ぶ回路オフ、じっと静かにして相手の言うなりになる回路オンとなっている。無意識の反応であり、故に説明できない。
    などなど、たくさんの学び。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/552771

  • 性犯罪についてのシンポジウムをまとめた一冊。
    ポリヴェーカル理論という心理学を用いて、性犯罪被害者の訴えを「本当に抵抗したのか」「自分から望んだんじゃないのか」と言われる現状(司法判断、刑法)を変えようと努力しておられる方々の想いが込められています。

     この本を読もうと思ったのはポリヴェーカル理論というものを知りたかったからで、(その目的に対してこの本はあまり適切ではない)図書館で借りられる本をと考えた結果、ここにたどり着きました。
     本当はもっと調べたうえで本を選ぶべきで、それは今後の教訓とするところですが、せっかく借りたのだからと読み始めることにしました。

     性犯罪とは別の理由から、私はポリヴェーカル理論は自分の様々な現象とつじつまが合うのではないかと考えているのですが、それは図らずも、自分の抱えている理由と性犯罪被害者の意外な共通点を炙り出す結果となりました。
     自分では「こんなのは被害の内にはいらない」と否認して「何事もなかったかのように」生活を続ける。まさにこれ自体が、生存戦略のために無意識に取られた方法であって、自分が被害者であることの紛うことなき証拠なのかもしれない。そう気づいた時、一枚だと思っていた窓のガラスが二枚あることに気がつきました。

     日本は、性犯罪被害者が二次被害に遭うことがまだまだ多い国です。女性に対する評価(≒人権)が低く、「肌の露出が多い格好をしていたのだから、女性が悪い」などと言われてしまいます。
     被害を訴えようとした人がもう一度酷い目に遭うのがわかっていたら、加害者を訴えることも難しくなります。そのことが結果的に加害者の慢心を誘うことになったり、性犯罪を野放しにしてしまうことになったりします。

     本来の目的とは違った経緯で手に取った本でしたが、貴重な証言や専門家の方の意見が知れて良かったなと思いました。
     将来、ポリヴェーカル理論が広まることで、ひとりでも多くの人が救われればいいと私も切に願います。

     花丘ちぐささんの本を他にも読んでみる予定です。

  • むちゃくちゃ勉強になる本だった。図書館で借りたのを2章目の途中まで読んで速攻で買った。この視点を身に付けられるのが遅すぎなくて良かった(既に遅いと思うが)。法曹関係者全員が読むべき本と思う。

  • 4/53
    『それは神経系のごく自然な反応。
    恐ろしい出来事に直面したとき、生きのびるために起こる「凍りつき」。トラウマ・性暴力に神経生理学の画期的理論からアプローチする希望の書!
    生き残りの反応から抜け出し、つながりを回復するために――。さまざまな立場の専門家・当事者・支援者が論じる、性暴力へのポリヴェーガル的視点の重要性、そして可能性。神経系への理解がもたらす大きな価値とは。』
    (「春秋社」サイトより)

    『なぜ私は凍りついたのか: ポリヴェーガル理論で読み解く性暴力と癒し』
    編著:花丘 ちぐさ
    出版社 ‏: ‎春秋社
    単行本 ‏: ‎368ページ
    発売日 ‏: ‎2021/12/2

    目次
    はじめに  花丘ちぐさ
    序章 性暴力・性犯罪の現状と課題  椹木京子
    第Ⅰ部 性暴力被害の真実──刑法改正に向けて
     第1章 刑法改正に向けて  椹木京子
     第2章 ポリヴェーガル理論とはなにか  花丘ちぐさ
     第3章 性暴力被害とトラウマ  宮地尚子
     第4章 性暴力被害者支援の現場から  周藤由美子
     第5章 性犯罪被害者の被害時の反応の実情  田中嘉寿子
     第6章 当事者の声が社会を変える 今、何が最も必要なのか  山本潤
     第7章 [座談]シンポジウムを終えて──今後へどうつなげていくか
    第Ⅱ部 性暴力とトラウマ──被害の実際と裁判
     第8章 性暴力被害と発達性トラウマ  花丘ちぐさ
     第9章 性暴力被害の実際──なにがおきていて、被害者はどのような心理状態にあるのか、どのような支援が必要か、現場からの具体的なレポート  中島幸子
     第10章 性暴力被害とアディクション  松本功
     第11章 性暴力被害裁判とポリヴェーガル理論  長江美代子
    第Ⅲ部 [特別寄稿]加害者像と加害者臨床──「ポリヴェーガル理論」がもたらす希望
     第12章 発達性トラウマ障害としての性犯罪者──刑事施設内での犯罪者処遇に現れ
    る「被害と加害」の扱いについて  糸井岳史
     第13章 ポリヴェーガル理論から見た性犯罪者の臨床──現場からの報告  中村修
    第Ⅳ部 ポリヴェーガル理論の可能性──癒しを求めて
     第14章 [座談]性暴力をめぐるポリヴェーガル理論的見解  S・W・ポージェス/C・S・カーター/山本潤/花丘ちぐさ
     第15章 [対談]性的暴行、拉致監禁、迎合についての観察  R・ベイリー/花丘ちぐさ

  • 序章 性暴力・性犯罪の現状と課題
    第Ⅰ部 性暴力被害の真実──刑法改正に向けて
    第1章 刑法改正に向けて 
    第2章 ポリヴェーガル理論とはなにか   
    第3章 性暴力被害とトラウマ 
    第4章 性暴力被害者支援の現場から  
    第5章 性犯罪被害者の被害時の反応の実情 
    第6章 当事者の声が社会を変える 今、何が最も必要なのか  
    第7章 [座談]シンポジウムを終えて──今後へどうつなげていくか
    第Ⅱ部 性暴力とトラウマ──被害の実際と裁判
    第8章 性暴力被害と発達性トラウマ  
    第9章 性暴力被害の実際──なにがおきていて、被害者はどのような心理状態にあるのか、どのような支援が必要か、現場からの具体的なレポート  
    第10章 性暴力被害とアディクション  
    第11章 性暴力被害裁判とポリヴェーガル理論  
    第Ⅲ部 [特別寄稿]加害者像と加害者臨床──「ポリヴェーガル理論」がもたらす希望
    第12章 発達性トラウマ障害としての性犯罪者──刑事施設内での犯罪者処遇に現れ
    る「被害と加害」の扱いについて  
    第13章 ポリヴェーガル理論から見た性犯罪者の臨床──現場からの報告  
    第Ⅳ部 ポリヴェーガル理論の可能性──癒しを求めて
    第14章 [座談]性暴力をめぐるポリヴェーガル理論的見解
    第15章 [対談]性的暴行、拉致監禁、迎合についての観察 

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著者プロフィール

ポリヴェーガル・インスティテュート・インターナショナル・パートナー、ソマティック・エクスペリエンシング・ファカルティ。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業、米国ミシガン州立大学大学院人類学専攻修士課程修了、桜美林大学大学院国際人文社会科学専攻博士課程修了。博士(学術)。公認心理師。社団法人日本健康心理学会公認指導健康心理士。A級英語同時通訳者。
著書に『その生きづらさ、発達性トラウマ?』(春秋社)、『なぜ私は凍りついたのか』(共編著、春秋社)、訳書にS・W・ポージェス『ポリヴェーガル理論入門』、D・デイナ『セラピーのためのポリヴェーガル理論』、S・ローゼンバーグ『からだのためのポリヴェーガル理論』、M・デラフーク『発達障害からニューロダイバーシティへ』、P・A・ラヴィーン『トラウマと記憶』(以上、春秋社)、ケイン&テレール『レジリエンスを育む』、F・G・アンダーソン他『内的家族システム療法スキルトレーニングマニュアル』(以上共訳、岩崎学術出版社)などがある。

「2023年 『ポリヴェーガル理論 臨床応用大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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