科学をうたう: センス・オブ・ワンダーを求めて

著者 :
  • 春秋社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393444252

作品紹介・あらすじ

短歌をとおして見つめる、科学と文学の接点。私たちの日常を支えるさまざまな科学技術を詠んだすぐれた短歌は現代という時代を鮮やかに映し出す。元新聞記者・歌人の眼差しと感性がとらえた、不思議を探求する心と定型詩との競演からひろがる豊穣な世界。

感想・レビュー・書評

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  • 歌人であり、新聞記者として科学分野に取材した経験を持つ松村由利子さんが著者
    (1960年福岡県生まれ)
    科学にまつわる『短歌』約300首の魅力を紹介した本

    猫丸さんの本棚で気になり図書館で
    お取り寄せしました
    ありがとうございます!

    科学と文学、短歌…
    それは何か対極のもののように、
    とらえがち…
    しかし日々新たな技術が開発されている現代を表現しようとするなら科学的なものも、短歌に自然に入り込み馴染んでいる
    日常に潜む不思議、また瞬間的な美などをとらえて、感動する心ーそれを「センス・オブ・ワンダー」と言い換えて「センス・オブ・ワンダー」を求めて…
    というテーマ!

    科学と短歌に共通するセンス・オブ・ワンダーについて、短歌という定型詩の
    奥深さをそして、
    詩ごころ(驚く心)を感じられるし
    それぞれの短歌に寄せた著者の解説もあるので
    読んだだけでは理解しにくい短歌の読み解きとしても、科学の知識としても触れられているので興味深く知ることができて、わかりやすく嬉しい

    〈その中のいくつかです…〉
    ○ビックバンの頃の素粒子 含みいる
     われの手なりや葉書持ちおり  (大滝 和子)
    ○バンザイの姿勢で眠りいる吾子よ そうだバンザイ     
     生まれてバンザイ (俵 万智)
    ○読みなほす本のヒロイン若きまま 年ふりつもり
     花眼の我居り   (涌井 ひろみ)
    ○日々生まれ替わる私の細胞のどこがあなたを
     愛してゐるのか   (片岡 絢)
    ○神様がお創りになつたデオキシリボ核酸 しまふ
     器なるわれ   (尾崎 朗子)
    ○もっともっと動けばいいよ母譲りの
     ミトコンドリアは せっかちである (笹本 碧)
    ○蝶の化石ジュラ紀にありと いふきけば
     木漏れ日ゆれて 今日がふくらむ (馬場あき子)
    ○植物のしずかなる逆襲として 人を侵せる
     花粉と果実   (久山 倫代)
    ○秋の雲「ふわ」と数えるようにする 一ふわニふわ
     三ふわの雲   (吉川 宏志)
    ○日本列島スルメのごとく反りてくる 温暖化しるき
     春のさかりを   (志垣 澄幸)
    ○また更に望遠鏡が進化したと 奥の掃除を
     始める宇宙   (武藤 義哉)
    ○火星移住推進協会があると語りぬ
     君の唇   (大滝 和子)
    ○いかように人誇るとも 一枚の花びらをさへ
     創るあたはず   (田宮 朋子)
    ○あらたまの春のいのちのふきのたうより
     Cs(セシウム)が検出さるる  (本田 一弘)
    ○赤ちゃんの産声世界共通で 同じ周波数に
     この世ふるはす  (土屋 千鶴子)     

  • 科学をうたう 松村由利子著 - 日本経済新聞(2023年12月2日 会員限定記事)
    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD245SL0U3A121C2000000/

    原発、コロナ 揺れる心短歌に [評]東嶋和子(科学ジャーナリスト)
    <書評>科学をうたう:北海道新聞デジタル
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/960794/

    【俵万智の一首一会】沖縄への理不尽 有無言わさぬ比喩|【西日本新聞me】(2020/2/6)
    https://www.nishinippon.co.jp/item/n/580968/

    科学をうたう - 春秋社 ―考える愉しさを、いつまでも
    https://www.shunjusha.co.jp/book/9784393444252.html

  • ふむ

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000067968

  •  最近少しずつ興味が湧いてきた短歌。短歌を科学という視点で詠ったものを集めた『科学をうたう』。数多くの短歌を丁寧に解説しており、それを読むことでさらに勉強になる。科学と文学とは相容れないものだと思い込んでいる人も少なくない中、科学を題材にした数々の短歌を紹介することで、科学と短歌に共通するセンス・オブ・ワンダー、短歌と言う定型詩の奥深さ、そして私たちが生きている世界の様相を伝えたい、と著者は力説する。気になった一首、「マスクしてコロナウィルスに抗へば不要不急のものらかがやく」。

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著者プロフィール

松村由利子(まつむら・ゆりこ) 1960年、福岡市生まれ。朝日新聞、毎日新聞記者を経て2006年からフリーランスのライターに。著書に『31文字のなかの科学』(NTT出版、科学ジャーナリスト賞)、『与謝野晶子』(中央公論新社、平塚らいてう賞)など。歌集に『大女伝説』(短歌研究社、葛原妙子賞)、『耳ふたひら』(書肆侃侃房)など。

「2016年 『少年少女のための文学全集があったころ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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