- Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
- / ISBN・EAN: 9784394770008
作品紹介・あらすじ
乱歩の操ることば――
その“みなもと”と、イメージとの“結びつき”を探る書
明治27年に生まれ昭和40年に没した乱歩は、明治~大正~昭和期の日本語を操ってい たことになる。テキストとそこに書かれた日本語を分析することで、推理小説作家乱歩のあまり知られていない側面を描き出す。『日日是日本語』(岩波書店様)をはじめとする日本語に関する著書も多い今野真二氏による、これまでにない乱歩文章論。
【本書の内容】
ものによっては初出から現在まで50回近く出版されている乱歩作品。その都度、編集・校訂を加えられたテキストから乱歩の「執筆時の気分」をはかることはできるのか。それぞれのテキストを対照させながら検証。
また、乱歩作品にたびたび登場するキーワード(麻布区K町、産業博覧会、鬼熊事件、神奈川県O町、開化アパート、麴町アパート等)・独特のオノマトペ(むくむく、ねっとり、ドキドキ、ギョクン等)の考察も。
感想・レビュー・書評
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「推理小説」と「ことば」つながり。
内容:初出から現在まで50回近く出版された作品もある江戸川乱歩。それぞれのテキストを対照させながら、乱歩ならではのキーワードやオノマトペについても豊富な用例から掘りさげ検証する。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本のミステリー作家江戸川乱歩について知ることができる作品。
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江戸川乱歩作品の表記や用語、バリアント間の異同を詳細に検証することで、乱歩の用いる言葉、ひいては乱歩が活動した大正から昭和にかけて持ちられた当時の日本語との関係について探る本。乱歩は人気作家で同じ作品が何度も書籍化されているが、その文章は乱歩自身、あるいは編者、出版社、時代の変遷による日本語の変化により、意図的な改変からルビの表記や送り仮名など様々な異同があり、それを一つひとつ丹念に検証していくという労作。乱歩の場合、足穂のように延々とリライトを繰り返す作家ではないぶん、その異同の大半は用語の異同で地味なもの多く、考えただけでも気が遠くなる。