一寸法師 復刻版 (創作探偵小説集)

著者 :
  • 春陽堂書店
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784394901341

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  • パノラマ島綺譚
    一寸法師

  • 若しも、恐怖に色づけされた時、美が一層深味を増すものとすれば、世に海底の景色程美しいものはないでせう。

    「パノラマ島奇譚」と「一寸法師」を収録。
    さほど古い出版ではないのだけど、装丁も印字もレトロで旧仮名遣いなのがとても良い。
    パノラマ〜は再読、一寸法師は初読。
    もうねえ………好き!
    どちらも悪趣味だしグロさも結構なのだけど(実際、一寸法師のデパートの場面は読んだ日の夢に出てうなされた)、どうしてだろう、いつのまにかうっとりしてしまっているのだ。
    文章の美しさと、単に読者に不快なものを見せてやろうという悪意からでなくて乱歩自身が魅せられて書いているのが伝わることが理由の何割かだろうと思う。
    パノラマは主人公と彼がなり変わった男の妻の間の複雑な愛情、一寸法師は主人公が依頼者の人妻に寄せる想い、いずれもがいやらしくない程度に作品に湿り気を与えているのもいい。
    そして一寸法師のラスト…!
    明智は人間性に問題あってこそ明智ですよね!と妙にすっきりした(笑)。
    実は一寸法師は10年以上前に、知人がトラウマ作品として挙げていたので避けて来たのだけど、読んで気に入った今となっては、何がトラウマになったのかが気になって…疎遠になってしまったのが悔やまれる。
    デパートの場面なのか、一寸法師の不気味さなのか、それとも結末なのか…。

  • 一寸法師の持つコンプレックスと、
    そこから来る世間への恨みつらみがまた不気味。
    全体に漂う気味の悪さは乱歩らしい。
    昔はこれをリライトとはいえ、
    児童書として出版していた事に今更ながら驚く。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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