安倍晋三の正体 (祥伝社新書 682)

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  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396116828

感想・レビュー・書評

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  • 安倍元首相については断片的な情報しか知らなかったが、国会でヤジを飛ばしながら自分がヤジを飛ばされると「大事な話をしているんです」と言ってのけた辺りから不信感増大、その後の統一教会の件でおぞましささえ感じていたが、本書ではその異常な発言、事実が具体的に挙げられていてる。ここに挙げられている事は事実でしょうから、もっとメディアで取り上げられて欲しい。「売国奴」と言われても当然だと納得の内容。
    ただ筆者が感情的になり過ぎて、何かと「バカ」を連発するのは本書の価値を下げている様で残念。「失敗の本質」ほどではなくてよいので、もっと理性的に分析、批判して欲しかった(書いているうちに腹が立ってくるは分かるが)。また単なる無知(「云々」が読めないとか)と、外交上の失敗等に繋がる資質の欠如の問題を同列に並べていたのも、安倍元首相が日本にもたらした害悪が何だったのかがぼやけてしまった様で残念に感じた。
    こんな人間を国葬にした現政権の責任も問いただして欲しい。統一教会の件も加えた上で、今の自民党にも言及した続編に期待する。

  • 岸田首相のバタバタ感溢れるニュースが毎日紙面を賑わしているので、今は昔となったように感じるが、安倍さんが首相を降りたのは、僅か3年前。
    本書を読んで、当時の政治(家)に対する大不信感が甦ってきた。と言うか、当時ニュースにもなっていなかった内容も書かれており、彼の影響力が無くなって良かったとすら思ってしまう。

    彼が、自分の存在をどう思っていたかは、これらのことばからもわかるな。
    ・私は総理大臣としてありえないとこう言っているんですから。間違いありませんよ。
    ・私は総理大臣ですから、森羅万象すべて担当しておりますので。
    ・まったく正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから。
    ・私は立法府の長であります。

    こんな思いを持っているから、同時の天皇陛下を小馬鹿にするようなことを言ったり、物真似したりしていたんだろうな。
    一国の総理大臣故、決して自分を卑下する必要はないが、自分を神格化してどうすんの。(統一教会とべったりだったので、スピリチュアルな世界にいたのかも知れないが)
    もっと国民目線の政治をしてくれる人はいないのかね。

    一方、著者の適菜収さん、よっぽど頭にきているようで、バカ、アホのオンパレード。気持ちは分からないでもないが、もう少し事実を淡々と述べた方が良かったんではないかな。

  • ●風邪をひいている人間を見ることができても「風邪自体」は見ることができない。それと同じで、安倍と言う人物を通すことにより、わが国の「病」が見えてくる。
    ●アメリカは建国当初から自由を至上の価値として掲げている宗教国家である。なので、個人主義、小さな政府を称えるのが保守になる。日本とは違う。
    ●議論によって相手を説得し、合意形成を目指すよりも、社会に一定の割合で存在する馬鹿の動向をマーケティングで探り、プロパガンダにより「ふわっとした民意」をすくいあげたほうが、手っ取り早いと考える連中が、政権中枢に潜り込んだ。

  • 最長の宰相を評する辛辣な言葉の数々。改めてあの時代を振り返る…TPP反対。消費増税阻止。就任前に期待したことは惨めなほどに裏切られる。10%増税が延期されたのはこの人のお陰という"神話”も今となっては怪しいもの。愛国と見せかける一方で米中ロに国を貢ぐ。その場凌ぎの空疎な言葉。語彙も少なく漢字も読めない。つなぎあわせれば矛盾だらけ。嘘と欺瞞の2822日。GDPシェアが下がり続けた7年8カ月。法治から人治へ。自分とお仲間だけのためにある統治を支え続けたのは安定した支持率。騙された”あなた”にこそ責任がある。

  • なんだこれ。

    故安倍晋三への批判的な評価も、そろそろ冷静に出てくるのかと思って手にしたが、レッテル貼り、悪口雑言のオンパレード。

    ネトウヨは、ネットにウヨウヨいる情弱の略なんだそうだ。

    別に、批判的な意見、本があって構わないが、作家が政治を語り、明らかに事実と違うことを事実と思い込んで高らかにうたっている様では、耳を貸すべき人が遠のいていくと思うのだが。

    正しい事を仰っているところがあっても。実際あると思うのだが、だって、気持ち悪すぎて読めないもん、最後まで。

    こんなもの書き散らかして、SNSでも重版中とある様だし、一緒に悪口言ってほらほらと言いたい人達も沢山いるんだな。

  • 保守と左翼の説明になるほど

  • 嘘だけ言い続けてきた安倍の事実。
    それを許可している、もしくは利用している人間は引き続きごまんと存在しているということ。

  • 前から感じていた安倍晋三の胡散臭さが裏付けされた気がします。こんな人を今だに奉っている自民党に政権を任していていいのか。衝撃の死に様で彼を否定することは死者に鞭打つ行為とされている向きがあるが、亡くなった人が全て聖人であるわけがない。冷静に評価すべきだ。その点著者は若干の大人気ない言葉使いが端々に出ていて、少し気になるところではある。こんな人を長期で首相にしてしまう今の日本の政界に問題があると感じる。

  • 安倍晋三の正体 (祥伝社新書 682)

    教育者の新渡戸稲造は言う。
    «伝記を書くには人の性格のあらゆる方面を表すように書くのであるから、それはその人間が何も考えていない時にその人間を描くのが本当で、他処行きのような緊張した時のことばかりを書いたものならば浄瑠璃本を読んでも変ったことはない»

    プロイセンの哲学者フリードリッヒ・ニーチェは『この人を見よ』でこう述べる。
    «ただ私は個人を強力な拡大鏡として利用するだけだ。危機状態というものは広く行きわたっていてもこっそりしのび歩くのでなかなかつかまらない。ところが個人という拡大鏡を使うとこれがよく見えて来るのである»
    «またこれと同じ意味において私はヴァーグナーを攻撃した。もっと正確に言うと、すれつからしの人を豊かな人と取り違え、もうろくした老いぼれを偉人と取り違えているドイツ「文化」の虛偽、その本能—雑種性を私は攻撃した»

    第一章 安倍晋三とは何だったのか?

    保守主義と自由主義は別ものである。しかし、冷戦下では、共産主義に対抗するため、保守主義者と自由主義者が手を組んだ。反共の部分で思考停止した「保守」は、やがて本質を忘れ、自由主義に対する警戒心を失っていく。

    アメリカは建国当初から自由を至上の価値として掲げている宗教国家である。アメリカはイギリスから自由を求めて渡ってきたピューリタンの国なので、自由を神格化することが保守になる。そこでは、個人の自由に介入するものは悪とされ、極端な個人主義が発生する。政府の干渉を嫌うので、小さな政府を唱えるのが保守になる。

    「死んだら仏。死者を批判しないのは日本人の美徳」とか一言い出すバカもいたが、それは美徳ではなくて悪徳である。国家存続の根幹にかかわる問題を、「死んだら終了」にしていいわけがない。まともな検証もせずに、 ワイドショーの話題のようにニュースを消費するだけでは、何度も同じところで間違える。

    ドイツの第六代連邦大統領リヒャルト・フォン・ヴァイツゼツカーは「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となる」と言った。
    過去を知ろうとしない人間、歴史を都合よく解釈する人間が同じ過ちを繰り返すのだ。

    スペインの哲学者オルテガ・イ・ガセットの言葉を引いておく。
    «飢饉が原因の暴動では、一般大衆はパンを求めるのが普通だが、なんとそのためにパン屋を破壊するというのが彼らの普通のやり方なのである。この例は、今日の大衆が、彼らをはぐくんでくれる文明に対してとる、いっそう広範で複雑な態度の象徴的な例といえよう»

    第四章 幼稚な政治観

    保守は抽象を警戒し、現実に立脚する。人間は合理的には動かず、社会は矛盾を抱えていて当然だと考える。保守は近代啓蒙思想をそのまま現実社会に組み込むことを否定する。単純な反近代ではなく、近代の不可逆性の構造を熟知した上で、近代理念の暴走を警戒する。

    保守が伝統を重視するのは過去を美化するためではなく、合理や理性では捉えきれないものがそこに付随すると考えるからだ。人間の行動には恬念や慣習が大きく関与している。人間はゼロから生まれるわけではなくて、環境の中に生まれる。理性的に考えれば、理性により決着できないことのほうが多いことに気づく。合理的に考えれば、合理が通用しない領域があることがわかる。偏見や迷信を理性や合理によって切り捨ててしまうと、同時に大切なものを失ってしまうと保守は感知する。保守は理想を提示しない。逆に理想が凶器になることを繰り返し説く。

    よって、保守は漸進主義になる。すべてに適応できる公式を持たないので、ゆっくりと慎重に判断をする。一貫した「イズム」がないのだから当然だ。

    フランス革命は理性を旗印に、合理的に社会を変革しようとした。しかし、社会は複雑であり合理的には勒いていない。結果、自由の名のもとに自由が抑圧され、社会正義や人権の名のもとに大量・虐殺が行なわれるという事態が発生。これに対して異を唱えたのが保守主義者である。彼らは理念(抽象) ではなくて現実(常識) に立脚していた

    人々が熱狂しているとき、冷静に観察するのが保守の態度だ。未知の出来事が発生したとき、立ち止まって考える。安易に結論を出すのを戒め、 現実に即して観察を統ける。保守はわからないことはわからないと認め、断言を避け、自らの理性すら疑う。人間は完全な存在ではないからだ。

    保守主義の代表的思想家マイケル・オークショツトは、端的に政治とは己の夢をかなえる手段ではないと言う。
    保守思想の理解によれば、« 統治者の職務とは、単に、規則を維持するだけのことなのである» 。
    «この性向の人〔保守〕の理解によれば、統治者の仕・とは、情念に火をつけ、そしてそれが糧とすべき物を新たに与えてやるということではなく、既にあまりにも情熱的になっている人々が行う諸活動の中に、節度を保つという要素を投入することなのであり、抑制し、 収縮させ、 飾めること、そして折り合わせることである。それは、欲求の火を焚くことではなく、その火を消すことである»

    保守的な統治者は、政治とは「価値ある道具」を修絕しながら渦子を維持するようなものと考える。一方、 人民政府の「指導者」は、私的なび、個人的な理想を社会に押し付ける。

    人間理性に懐疑的であるのが保守である。人間の判断は万能ではないので、慎重にものごとを決める仕組みが必要になる。権力の集中は必然的に全体主義に行き着く。三権(五権)分立を唱えたフランスの哲学者シャルル・ルイ・ド・モンテスキューは一院制が地獄への最短の道であることを指摘した。
    «権力をもつ者はすべて、それを濫用する傾向があることは、永遠の体験である。彼は限界を見いだすところまで進む。だれが知ろう、徳性さえもが限界を必要とするのだ。人が権力を濫用しえないためには、事物の配列によって、権力が権力を阻止するのでなければならぬ»

    イギリスの歴史家・思想家ジョン・アクトンは« 権力は腐敗する、専制的権力は徹底的に腐敗する» と言い、フランス革命を否定した。そこでは人民の名のもとに権力が一元化され、恐怖政治を招くこととなったからだ。

    イギリスの政治思想家、哲学者のエドマンド・バークは言う。
    «人間の本性はこみいっているし、社会のものごとは、可能なかぎり最大の複雑さをもっている。だから、権力の単純な配置や方向づけは、どんなものでも、人間の本貿にも人間の関係することがらの性貿にも適合しえない。あるあたらしい政治制度において、装置の単純さがめざされ、ほこられるのをきくとき、 私はただちに、その製作者たちが、 自分のしごとについてまったく無知であるか、自分の我務についてまったく怠慢であるのだときめてしまう。単純な政府は、いくらよくいうとしても、根本的に欠陥がある》

  • 東2法経図・6F開架:312.1A/Te31a//K

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著者プロフィール

1975年、山梨県生まれ。作家。ニーチェの代表作「アンチクリスト」を現代語訳した『キリスト教は邪教です! 』『小林秀雄の警告 近代はなぜ暴走したのか?』『日本をダメにした B 層の研究』(ともに講談社)、『日本人は豚になる:三島由紀夫の予言』『日本をダメにした新B層の研究』(ともにベストセラーズ)ほか、祥伝社新書に『コロナと無責任な人たち』『100冊の自己啓発書より「徒然草」を読め! 』『ニッポンを蝕む全体主義』。『思想の免疫力 賢者はいかにして危機を乗り越えたか』(中野剛志氏との共著、 ベストセラーズ)など著書50冊は以上。

「2023年 『古典と歩く大人の京都』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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