浴室で深呼吸 (ノン・ポシェット か 6-2)

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 19
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (263ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396321055

感想・レビュー・書評

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  • 最初のはいいけどあとはうーん…。いまひとつこれといったところがなかった。どうも詳伝社文庫の作品はハズレが多いような…。

  • わりと初期の作品?
    全体的に文章が技巧掛かっていてめずらしい感じ。あと小道具が多い。


    「夜はまだ終わらない」
    デザイナーの須美子の長い夜の話。
    登場人物たちのセリフのひとつひとつが意味深で読んでいて面白い。
    この本の中では一番「片岡作品らしい」感じ。
    (あくまでも私が今まで読んだものをものさしにして、だけど)
    こういう週末の夜を過ごせる大人の女性に憧れる。素敵過ぎる。
    「連絡は、とれないわ。金曜日の夜なのよ、いまは」
    ってセリフ、言えないものかねぇ…

    「真夜中のセロリの茎」
    酒井哲男、岸田洋介、山本奈津子、佐原優子がそれぞれの車に乗って連なって走っているシーンから物語は始まる。
    この4人の関係をいろいろ推理しながら読み進めていくんだけど、終わりにオチが待っていた。
    しっかりと意表をつかれた感じ。
    そういえばこの作品で気付いたんだけど、片岡作品ってフルネームが出たあと男は苗字、女は名前で表記されるのよね。
    そのせいか女のほうが生き生きしてくる。
    「女らしさ」ってのが強調されるわけだけど、彼女らが女を楽しんでるから全然能動的なのよね。
    だからジェンダーにうるさい私でも嫌に思わないんだろうな。

    「胸は痛まない」
    この本の中で一番好きな話。
    待ち合わせの相手が来るまでに盗み聞きした話と直後にやって来た彼女にした昔話がリンクして不思議な感じ。
    これもいろいろ邪推してしまった。
    夏がまったく駄目な女性、ってのに結構共感した。
    こういう女性になりたいというわけではないけど。

    「浴室で深呼吸」
    寂しい、という感情を、そういえば片岡作品で見たことはない気がする。
    少なくとも全面的にそんな感情が出ている物語は記憶にない。
    表題作のこの話はそういう意味で異色。
    「真夜中の〜」と同様男女4人の話なんだけど関係性はちゃんと提示されていて感情移入しやすい。
    それにしても片岡作品は勘の鋭い女性が多いね。

    「煙草に火をつけて終わる」
    ベストオブ小道具。
    いかにも短編らしいひねりのある話。文章とか構成が技巧的。
    ホテルの部屋で一人過ごしたくなる。煙草をくわえてみたくなる。男物のシャツを着てみたくなる。そんな話。

    「その日はじめてのコーヒー」
    片岡作品でよくある、美人の姉2人と同じく美人の母親の組み合わせ。
    今回は主人公の姉と母親なんだけど、物語は上の姉との電話の途中にその姉にプロポーズをするところから始まる(実はプロポーズの練習なんだけど)。
    プロポーズをするときの緊張感がなかなかリアル。
    だけど大真面目でありながら、どこか軽いのが片岡作品の男。
    「結婚してください、という台詞を、いつ、どんなとき、誰に言えばいいのかと思って」
    とか言っちゃって、余裕だね。

    「左右対称」
    物語は12月23日、この日が誕生日の後藤幸子、藤田明美、長谷川圭子がそれぞれ男から貰ったたくさんのプレゼントを持ち寄って集まるシーンで始まる。
    どうやら長谷川圭子が主人公だったらしく、彼女の元夫とのやりとりが続く。
    終わり方は小気味よいけどもうちょっと彼女の魅力を伝えて欲しかった。このままだとなぜかモテる女…ちょっとむかつく、ってことになりかねないし(笑)
    まぁその点を無視すれば締めの話としてとてもよかったと思う。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『日本語の外へ』『万年筆インク紙』『珈琲が呼ぶ』『窓の外を見てください』『いつも来る女の人』『言葉の人生』ほか多数の著書がある。

「2022年 『これでいくほかないのよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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