- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396330484
感想・レビュー・書評
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不思議な主人公人間嫌い刑事の憂、我が道を行く売れっ子推理作家のA子。この二人で捜査を進めていくのだが…。
憂は本当に不思議、普段は無口でなるべく他人と関わりあいたくないだけど妻のことは本当に愛していて妻の前ではよくしゃべる。そしてその妻、耿子。妻はすばらしい推理能力を持っていて、時々憂を助けてくれる。
憂は真幌キラーを捕まえる事が出来るのか…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
架空の都市・真幌市を舞台にしての4作の競作の内のひとつ、夏編です。(ちなみに他は、春:倉知淳、夏:我孫子武丸、冬:有栖川有栖が書いてます)
今回ようやく、巻頭についている真幌市の地図が役にたちました(笑)。いままで全く意味無かったもんね~。
それで気付いたんですが、どうもココにある土地名はミステリパロになっているようです。少なくとも隣市の「土井留市」(コナン・ドイル)「九陰市」(エラリィ・クイーン)「駄陰市」(ヴァン・ダイン)「加亜市」(ディクソン・カー)はそうですね。4人の作家陣、遊んでるなぁ(笑)(もしかしたら「舞久浜」もそうかも…?)
陰気で人との接触が苦手な刑事・天城憂は、真幌市在住・ミステリ作家で365日署長のごとく事件に口を突っ込む闇雲A子に引っ張りまわされていた。女史曰く「隠れ名探偵の才能を買って」助手をさせるということだが、本人にとってはいい迷惑で、警察上層部にとってはただの「お守り」である。
追っているのは、半年前から真幌市を騒がせている殺人犯「真幌キラー」。
被害者らの間には全く共通項がみられないのだが、それらの死体はすべて右耳が焼かれ、横に必ず何かが置かれている。時には犬のぬいぐるみ、時には羊の置物、時にはマネキンの足…。それが表すメッセージもなかなか解明できないまま、「真幌キラー」らしき人物をみつけ、他の助手と一緒に尾行することになるのだが…。
真幌キラー・闇雲A子・メランコ刑事・見処少年・怪盗ビーチャム…そのネーミングセンスにまず脱帽です(笑)くわえて非現実的というかコメディ調雰囲気のため、推理ものはイマイチかと思いきや、これがなかなか…。
面白かったです。
特に真幌キラーが残している「メッセージ」がラストに繋がっていくあたりが、さすがは麻耶氏。どたばたした雰囲気から一気に冷えた空気を醸し出すのが上手いです。
そして、あいかわらず鬱気味な人物書くのがうまいなぁ…などと変なところにも感心したり(笑)
タイトルで引かずに御一読をオススメしますv -
合理の果てに、奈落に落ち込む感じがたまらない。
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秋パートは麻耶さん。文章が少し読みにくい気がしましたが、それも含めてしっかり麻耶作品ですね。麻耶さんの持つシリーズの一冊かと思うほどキャラ設定がしっかりしていますが、連続殺人の被害者はあっという間に関係者になってしまいとても切ないです。中編なのを忘れさせるほどいろいろ詰まっていて、たっぷり伏線があるのに謎解きされるまで全く気付かない。しかも謎解きするのは思いがけずに…。そしてラストまで気が抜けません。最後の一行まで堪能した後何気なく冒頭の「川原の四季」に戻ってドキッとしました。麻耶さん凄い!
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2019/01/19
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まほろ市シリーズ、麻耶さん編です。
が。
A子さんのキャラが嫌すぎて、本編に入る前に断念…。 -
★3.5かな。
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やはり麻耶の根底にあるのは、正統な本格への愛なのだなと改めて実感。
『夏と冬の奏鳴曲』や『メルカトルかく語りき』のような作品を産みこそすれ、それはきっと愛情の裏返し。
本作は『まほろ市の殺人』というアンソロジーを作者別に文庫化したもの。中編程の長さで手堅く纏まっている印象。
細かに配置された伏線を回収しつつ意外な真相を持ってくる手腕は流石!
麻耶ファンなら読んで損はない一冊。