まほろ市の殺人 秋: 幻想都市の四季 (祥伝社文庫 ま 6-1)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396330484

感想・レビュー・書評

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  • 不思議な主人公人間嫌い刑事の憂、我が道を行く売れっ子推理作家のA子。この二人で捜査を進めていくのだが…。
    憂は本当に不思議、普段は無口でなるべく他人と関わりあいたくないだけど妻のことは本当に愛していて妻の前ではよくしゃべる。そしてその妻、耿子。妻はすばらしい推理能力を持っていて、時々憂を助けてくれる。
    憂は真幌キラーを捕まえる事が出来るのか…。

  • 架空の都市・真幌市を舞台にしての4作の競作の内のひとつ、夏編です。(ちなみに他は、春:倉知淳、夏:我孫子武丸、冬:有栖川有栖が書いてます)
    今回ようやく、巻頭についている真幌市の地図が役にたちました(笑)。いままで全く意味無かったもんね~。
    それで気付いたんですが、どうもココにある土地名はミステリパロになっているようです。少なくとも隣市の「土井留市」(コナン・ドイル)「九陰市」(エラリィ・クイーン)「駄陰市」(ヴァン・ダイン)「加亜市」(ディクソン・カー)はそうですね。4人の作家陣、遊んでるなぁ(笑)(もしかしたら「舞久浜」もそうかも…?)

    陰気で人との接触が苦手な刑事・天城憂は、真幌市在住・ミステリ作家で365日署長のごとく事件に口を突っ込む闇雲A子に引っ張りまわされていた。女史曰く「隠れ名探偵の才能を買って」助手をさせるということだが、本人にとってはいい迷惑で、警察上層部にとってはただの「お守り」である。
    追っているのは、半年前から真幌市を騒がせている殺人犯「真幌キラー」。
    被害者らの間には全く共通項がみられないのだが、それらの死体はすべて右耳が焼かれ、横に必ず何かが置かれている。時には犬のぬいぐるみ、時には羊の置物、時にはマネキンの足…。それが表すメッセージもなかなか解明できないまま、「真幌キラー」らしき人物をみつけ、他の助手と一緒に尾行することになるのだが…。

    真幌キラー・闇雲A子・メランコ刑事・見処少年・怪盗ビーチャム…そのネーミングセンスにまず脱帽です(笑)くわえて非現実的というかコメディ調雰囲気のため、推理ものはイマイチかと思いきや、これがなかなか…。
    面白かったです。
    特に真幌キラーが残している「メッセージ」がラストに繋がっていくあたりが、さすがは麻耶氏。どたばたした雰囲気から一気に冷えた空気を醸し出すのが上手いです。
    そして、あいかわらず鬱気味な人物書くのがうまいなぁ…などと変なところにも感心したり(笑)
    タイトルで引かずに御一読をオススメしますv

  • 合理の果てに、奈落に落ち込む感じがたまらない。

  • 企画モノってことは分かってて読んで、体言止めばかりだし文章短いし分かりにくいしで、麻耶さんヤル気無い?と思ってしまった。
    辛うじて闇雲A子がキャラで引っ張ってくれてる、ミステリとしては突出したところのない作品だったのが、最後に明かされた真相に意表を突かれて「そう来るか!」と唸ってしまった。
    遺留品の謎も、被害者の左耳だけ焼いてた意味も、麻耶さんらしい。

    あ゛あ゛あ゛ー、もっと丁寧に書いて欲しかったーー!!!
    麻耶さーーーん!

    メランコがめっちゃ鼻がきく(文字通り匂いに神経質)なのがめっちゃ気になった。
    何かの伏線かと思ったけど、放っておかれて終わった(笑)。

  • 秋パートは麻耶さん。文章が少し読みにくい気がしましたが、それも含めてしっかり麻耶作品ですね。麻耶さんの持つシリーズの一冊かと思うほどキャラ設定がしっかりしていますが、連続殺人の被害者はあっという間に関係者になってしまいとても切ないです。中編なのを忘れさせるほどいろいろ詰まっていて、たっぷり伏線があるのに謎解きされるまで全く気付かない。しかも謎解きするのは思いがけずに…。そしてラストまで気が抜けません。最後の一行まで堪能した後何気なく冒頭の「川原の四季」に戻ってドキッとしました。麻耶さん凄い!

  • 2019/01/19

  •  まほろ市シリーズ、麻耶さん編です。
     が。
     A子さんのキャラが嫌すぎて、本編に入る前に断念…。

  • 四人の作家による共作の「幻想都市 まほろ市の殺人」の「麻耶雄嵩」さん編。
    ちょっと、あまりにも突っ込み所がたくさんあり過ぎて・・・「麻耶雄嵩」さんてこんな作風なのかな?と、信じられないという感じです。麻耶さんは初読みだから他の作品も読んでみないと何とも言えないですが・・・。
    ここからちょっとネタばれになります。読んでない方はすみません。まず第一に同じ街でどうして11件も殺人事件が起こるのか?警察は名ばかりなのか?次に探偵役の「闇雲A子」とは何者か?それと、怪盗ビーチャムもわからない。さらに結局、真幌キラーは捕まってない。ただ、真幌キラーが刑事の奥さんじゃないかなと匂わせてはいるが・・・。そして、こじ付けだろうが、死体の横に置いた小物は人偏に限るものだったこと。
    何もかもすごく取ってつけたような作りになっている。中編の短いフィクションだからということもあるが、なんだかなあという気がする。

  • ★3.5かな。

  • やはり麻耶の根底にあるのは、正統な本格への愛なのだなと改めて実感。

    『夏と冬の奏鳴曲』や『メルカトルかく語りき』のような作品を産みこそすれ、それはきっと愛情の裏返し。

    本作は『まほろ市の殺人』というアンソロジーを作者別に文庫化したもの。中編程の長さで手堅く纏まっている印象。
    細かに配置された伏線を回収しつつ意外な真相を持ってくる手腕は流石!

    麻耶ファンなら読んで損はない一冊。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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