ブックのいた街 (祥伝社文庫 せ 4-1)

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396343910

感想・レビュー・書評

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  • ある寂れた商店街で自由に暮らす野良犬のブック。
    アリリッシュ・セッターという大型犬だが人懐っこくておとなしいので皆に愛されている。
    ブックがいることで親密度が増す商店街の人達。

    落ち込んでいる時、困っている時、悔しい時、悲しい時、ブックが察しているかのように見つめ寄り添っていてくれる。
    そんな出来過ぎた話であるが、いつでも味方になってくれるブックは真に信頼できる心の友だ。
    犬と人とは、助け合いの関係で繋がっている。

    ブックはなぜこの商店街に住みついているの?
    どうしてブックという名前なの?
    なぜブックは車に乗るのが好きなの?

    そんなブックも老衰の瞬間を迎える。
    小説なんだから死なせなくてもいいのにと思ったが、ここからブックの秘密が明かされていく。

    ブックに力を貰い助けられた商店街の人達の話だと思って読み進めていたが違った。
    商店街の人達に愛され幸せな生涯を過ごした「ブック」自身の物語だった。

  • いゃあ いい物語に出逢えました。
    それも 極上の物語です。

    妙に作り過ぎない
    妙に媚びることがない
    本当に気持ちの良い人たち
    本当に賢い犬たち
    何にもまして
    この作品の主人公「ブック」という名の
    アイリッシュ・セッター犬が まぁ魅力的ですね
    彼(ブック)を取り巻く市井の「人」たちも
    また魅力的に描かれます

    読んでしまった人は
    「犬」に注がれる眼差しが優しくなっていることに
    気付かされるでしょう

  • こ、これは良かった…。
    優しさにあふれた一冊。購入して正解でした。
    ラブリ商店街のマスコット犬的存在、アイリッシュ・セッターの「ブック」と商店街の住人とを描いた連作短編集。

    どれも甲乙つけがたいくらいに良くて、ラストは温かさが心に沁みわたる。読みながら何度も、何度も涙しました。
    ちょこっとある“ブックの語り”がまた更に物語に深みを増していい!
    商店街が舞台で繋がり、繰り広げられる人間模様も楽しめる。

    『大好きだよ、おやすみ』
    『おはよう、大好きだよ』

    ストレートに心に響く。シンプルで、なんて素敵な言葉。
    人間と犬の絆の物語。いや、人間に寄り添う犬の物語、と言うべきか。
    良作を読んだあとの心地よい余韻に浸りました。

  • 商店街の地域犬ブック。傷ついて町に戻った人、挫折を味わって自信や希望を見失った人も、ブックの前では硬くなった心が緩んで暖かさを取り戻せる。そしてまた希望を抱くストーリーに気持ちが柔らかくなり、ブックが愛おしくてたまりません。
    そして予測していたとはいえ、お別れに涙。
    ウチにも犬がいるのですが、愛しさ増し増しです。

  • 商店街犬ブックと商店街の人々にまつわる連作短編風の6章と、ブック目線の3つの断章からなる小説です。

    犬の健気さ、そして犬を愛する人々がうまく描かれている感涙の物語です。

  • 犬のブックに精神的に癒される人々の話。と言ってしまえばそれまでだが、ブックの存在感は、「人だけの話」にはない、不思議なリアリティを感じさせてくれる。

    自分が悩んだり悲しんでいるときに、こんな犬がいてくれたら、と思ってしまう。

    ブックがどこから来たのか、なぜ車に乗りたがるのか、という謎は最終話になるまで明かされず、全体を通して軽いミステリ風の香り付けにもなっている。

  • 2020/3/14
    らぶり商店街をなんとなくいつも見守っている存在であるブックという犬にまつわる話。
    第1章からそれぞれに中心となる人物がいて、それぞれの章の人たちが商店街で暮らすブックと何かしらの関わりがある、その経緯についても書かれている。
    最初はブックという犬がいるところから話がスタートするのですが、ブックという犬が何者かというのは最後の方で触れられます。
    そこに至るまでのブックが関わってきた人たちにも一人ひとりにドラマがあり、その中身も感動を押し付け過ぎないというか、絶妙な柔らかい感じの話に収まっているような気がします。

  • 商店街の野良犬ブックとの愛溢れる物語。

  • 20180318

    犬好きにはたまらない、名著を発掘した喜びを感じる作品。
    我が家の犬がどんな事を考えているのだろうかと、気になってしまう。

    いずれにせよ、命あるもの避けては通れない寿命。
    その命ある間、精一杯一緒に幸せになろうと強く思わされた。


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著者プロフィール

1972年栃木県生まれ。茨城大学大学院人文科学研究科修了。映画館の映写室でアルバイトをしながら小説を執筆し、2002年『プリズムの夏』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。07年には『空をつかむまで』で坪田譲治文学賞を受賞。他の著書に『ブックのいた街』、『はとの神様』、『ナツイロ』、『シグナル』、『潮風に流れる歌』などがある。

「2018年 『サニー・シックスティーン・ルール』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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