襲大鳳(下) 羽州ぼろ鳶組 (祥伝社文庫)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396346232

作品紹介・あらすじ

「喰ってやる!」
侍火消・松永源吾はひたむきに炎と闘う!
仲間を、友を、誰かを〝信じる〟ことが未来を紡ぐ。

強く澄んだ眼差しは、火消のそれだった――。
新庄藩火消頭〝火喰鳥〟松永源吾は、尾張藩中屋敷を襲う猛火の中、もう一人の鳳と邂逅を果たす。
火事が特定の人物を狙った謀殺と看破した源吾だったが、背後には巨悪の影がちらつく。
ぼろ鳶組の面々、同期の火消たち、そして妻深雪と子平志郎との絆が、源吾を一個の火消たらしめる。
技を、想いを、火消の意志を繫げ!

感想・レビュー・書評

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  • 出るたび最高傑作かよ!

    とっておきの「★5じゃ足りない」タグ連発です
    こんなに安売りするつもりないのに!

    そしてまずみなさんにお伝えしなければならないのは今作を読む前には絶対にシリーズ零の『黄金雛』を読んで下さいということです
    絶対です(凄く大事なことなので2回言いました)
    読まずに今作を読んでしまった場合その感動度は75分の1(当社比)にまで下がってしまいます
    もし間違って本作の方を先に入手してしまった場合は適当な大きさの電子ジャーに入れて蓋をしっかり閉めて御札を貼って保管しておいて下さい
    詳しいやり方は『ドラゴンボール』13巻を読んで下さい

    前置きが長いのはいつものことなので特に謝罪もなく本編です

    今作もウルトラ面白かったです!

    実は18年前の「大学火事」で見つかった遺体は源吾の父重内のものだけだった!「炎聖」伊神甚兵衛は生きている?というところから物語はスタートします
    そして18年前の続きかのような尾張藩を狙った火付けが起こり源吾たち火消し一同が江戸の町を守るために動き出します

    火付けの下手人を探す過程、源吾はまだまだ父を超えられない自分に気付き悶々としつつも、非常に危険な火付けに父たちと同じ若き火消したちの関りの禁止を決定します

    もちろんどの世代にも跳ねっ返りはいて、慎太郎、藍助、慶司の3人は独自の活動を開始します
    この3人のやり取りがもう微笑ましいやら熱いやらでズルい!
    あの人が昔の熱い想いを取り戻したり、あの人が源吾の絶対絶命のピンチに現れたりでもうズルいズルい!

    二羽の鳳が火事場に降りたち炎を喰らう!
    一羽の鳳が天に昇り18年の時を越えて黄金の世代が遂に並び立ち炎を喰らい尽くすとき真の意味での親世代からの魂の引き継ぎが完了したのではないでしょうか!!
    もうズルすぎる展開が感動の渦となり炎を包み込みます!

    もうずっと続いてほしいわー
    もっとたくさんの人に読んでほしいわー

    そしてそしてシリーズ最大の伏線、自称黄金の世代最後の一人あ組の晴太郎の登場は果たしていつ?!

    楽しみすぎて火の用心!(意味不明)

    • みんみんさん
      息もつかせぬ句読点なしの熱いレビュー笑
      多分50人くらいは慌てて魔封波で封印したな…


      息もつかせぬ句読点なしの熱いレビュー笑
      多分50人くらいは慌てて魔封波で封印したな…


      2022/07/28
    • ひまわりめろんさん
      魔封波?ごめんなさいちょっと何言ってるかわかんないです

      みんみんのドラゴンボールのレビュー読んで影響されたとかそんなんじゃないですよ(ほぼ...
      魔封波?ごめんなさいちょっと何言ってるかわかんないです

      みんみんのドラゴンボールのレビュー読んで影響されたとかそんなんじゃないですよ(ほぼ自白)
      2022/07/28
  • 尾張藩上屋敷、中屋敷と続いて下巻では下屋敷まで襲われる。
    そこに再び現れた伊神甚兵衛。やはり彼は生きていた!
    源吾は考えあって甚兵衛を連れ去り共に逃亡してしまう。
    一方、新人火消の慎太郎・藍助コンビもまた失踪。
    八重洲河岸定火消頭取の進藤内記には何やら怪しい人物が近づいて来て良からぬ企みを強制しようとしている。

    あとがきによると、シーズン1最終回のつもりで書かれたとのこと。一度書いたものを書き直すほどの力の入れようだけあって、これまでのシリーズ作品の要素がここに注ぎ込まれている感があった。

    これまでの数々の事件の裏にいたあの大物がついに姿を現す。イメージと違ってまだ若いのに驚き。
    今回の事件の裏にもやはりこの人がいた。何というシナリオ。そのために振り回され人生を狂わされ命まで奪われた者たちがどれほどいるのか。甚兵衛もその一人。
    しかもその揉み消しのために自分のところの屋敷内を焼くとは恐れ入る。
    見事な悪巧みと手のひら返し、振り回される周囲は可哀想だが実際どういう人だったのだろう。調べると77歳で亡くなるまで権勢を振るったというから、このシリーズでの確執もまだまだ続くということなのか。

    終盤の火事の現場ではオールスター集結で豪華絢爛。
    個人的には進藤内記の言動を追っていたのでそちらが気になって仕方なかった。
    彼は十八年前のあの苦い記憶を繰り返すのか、はたまた新たなものに書き換えられるのか。
    そしてまるで十八年前の若鳶たちのような威勢のいい慎太郎と彼に協力する慶司、そして藍助は火消たちの窮地を救う希望の一石になれるのか。
    加賀鳶はもちろん、辰一はじめ町火消たちも集結。
    そして源吾と甚兵衛も満を持して登場。
    更には長谷川平蔵も。

    最後は火消たちの泥臭いまでの意地と根性とプライドとがぶつかり合って協力しあって読み応えがあった。
    甚兵衛は一時は怒りにかられて道を踏み外したが、やはり最後まで火消だった。
    鳳凰は新しい鳳凰へ引き継がれる。十八年前に生意気だった若鳶たちはそれぞれ自分たちの組を率いる責任ある立場になり、慎太郎たちのような新たな生意気な若鳶たちに叱り飛ばされる。なんとも嬉しく切ないループだ。

    源吾がこの事件を機に亡き父に対する想いが変わったのかどうか、はっきりは書かれていない。しかしやがて息子・平四郎を育てながら、かつての父の思いも分かっていくのかも知れない。

    あとがきによると、シーズン2では加賀鳶の大音勘九郎とその父の話を書く構想があるらしい。いつになるのか分からないが楽しみだ。
    今回の作品を踏まえてシリーズを読み返すと、また新たな発見があるかも知れない。シーズン2が始まるまでに読み返してみよう。

    ※シリーズ作品一覧
    (★はレビュー登録あり)
    ①「火喰鳥」★
    ②「夜哭烏」★
    ③「九紋龍」★
    ④「鬼煙管」★
    ⑤「菩薩花」★
    ⑥「夢胡蝶」★
    ⑦「狐花火」★
    ⑧「玉麒麟」★
    ⑨「双風神」★
    ⑩「黄金雛(シリーズ0)」★
    ⑪ 本作 上下巻 ★

  • さて、下巻。「羽州ぼろ鳶組」の12冊目。

    上巻の終盤、尾張藩中屋敷の火事場に現れた伝説の火消・伊神甚兵衛の残像も冷めやらぬ中、火事の手口は星十郎の知見を内記(色々と複雑な男だね)の言葉が裏付けてからくりが解けていく一方、伊神の探索は新庄藩=源吾に託される。
    伊神への憧憬と亡き父が伊神を火消に戻せたかを確かめるべく腹を括る源吾。『親父は幸せだったのかな』、その父を思う姿に、比ぶべくもないが我が身のことを重ねて咽ぶ。

    そして今度は尾張藩下屋敷が爆ぜ、再びまみえた二人は一緒に逃走し、そこから伊神の18年間の経緯が知れていく。本当にひどい奴だな、一橋治済。
    その一橋の奸計に引き出され、町中が敵となった中を中央突破。己を頼みにする人たちに応えて駆け付けた辰一の大技。
    『敵ではないが友でもない。ただこの18年、己の信じた道を走り続け、今回がたまたま同じ方向に走っているというだけである』という火消の姿が美しい。
    御城を取り囲む黄金の世代を頭にいただく府下の火消の面々に加え、打たれても打たれても自らの信じることに突き進む慎太郎らの若い鳶が間一髪を演出し、一橋に与するかと見えた(そんな訳ないよね)内記の心模様に胸のつかえが取れる。

    遂に対峙した源吾vs.一橋治済は、その後の歴史を見ればああ収めるしかなかろうが、胸のすく思いとはいかず。
    しかし、最後の最後、『雛共が偉そうに』と弾んだ声で蔵に向かって真一文字に突貫する伊神甚兵衛の姿はそれを補って余りある。もはや感涙と胸の震えなしには読めず。いや、なんて格好いいんだ!

    『安永三年、幕府に弓引く凶人あり。尾張藩の者の屋敷を立て続けに焼き、遂には御曲輪内の一橋家をも焼かんと窺う。
     しかし、ここに二十一年前に死んだと思われていた火消現れて大いに奮戦す。その名、伊神甚兵衛なり。かつて炎聖と呼ばれし伝説の火消に候。
     伊神甚兵衛、その命を懸けて民を救って斃れるも、かつて黄金の世代と呼ばれし火消たち、十八年の時を経て一堂に会し、奮起して焔に立ち向かう。火消の意志は斯くして受け継がれ、御府内の安寧が守られていることを改めて想う。
     江戸火消天晴也。』

    5つでは★が足らないぞ。

  • 江戸火消天晴也!
    鳥肌が立つほどに感動した。
    今村先生の原点にして、最高傑作の今作を読み終えて、しばし放心状態。

    憧れの火消の背を追い続け、いつの間にか若鳶に背を追われるまでになった。
    十八年の時を経て再び結集する黄金の世代。
    若い頃はただがむしゃらに突っ走っていた彼らの志は、次の世代へしっかり受け継がれていく。

    揺るがない覚悟を決めて突き進んだ漢達の心意気をしっかと受け止めて感無量。
    言葉にならない。
    もちろんこれからもぼろ鳶を追い続けます!

  • 襲大鳳(かさねおおとり)(下) ― 羽州ぼろ鳶組シリーズの12作目
    2020.10発行。字の大きさは…小(中ですが、字が薄いので小)。

    新庄藩火消頭取・松永源吾たちの火消しの活躍の物語です。

    安永3年(1774年)、尾張藩の屋敷を立て続けに焼き、ついに江戸城内の一橋家にも火をかける。
    しかし、ここに21年前に死んだと思われていた伊神甚兵衛が現れ大いに奮戦する。
    かつて炎聖と呼ばれし伝説の火消しに候。
    伊神甚兵衛、その命を懸けて民を救って斃れるも、かつて黄金の世代と呼ばれた火喰鳥の松永源吾、八咫烏の大音勘九郎、九紋龍の辰一……などの火消たち、18年の時を経て一堂に会し、奮起して焔に立ち向かう。

    【読後】
    後半から最後が良かったです。最後は、血沸き肉躍るという表現がぴったりの出来でした。
    2020.12.12読了

  • 今回もあっぱれ。
    火消し連合の活躍は、いつ見ても心踊るオールスター戦のよう。
    ぼろ鳶の面々が少し影薄い?そこだけ少し残念。

    そしてついにあいつだよあいつが出てきた。
    まったく小憎らしい。下々の人を人とも思わない冷酷さには読んでいてこちらでも腹が立って腹が立って仕方がない。
    ことの顛末も、まああの野郎ほんとに酷い!権力者なんてあんなもの?許せないなあ!と読みながら怒り心頭。
    文句ばかり垂れているが、こんなに腹が立つほど感情移入させてもらえて、読者としては幸せなんだよ、という結論。
    また続きが楽しみ。

  • ストーリーのおもしろさと登場人物の魅力に惹かれ、ひたすら追い続け、とうとう読み終えた羽州ぼろ鳶組
    全11巻 12冊
    いやはやおもしろかった

    登場人物のキャラが際立っているので、私は誰々推しと
    ファンになって読み進めることができるのも魅力の一つだ

    たくさんの登場人物、交錯する人間関係、それぞれの巻に主人公がいるのだが、そこで起きる事件がその巻にとどまらず、前巻や前々巻からのを引きずっているので、
    えっ?!の連続で、頭の中を引っ掻き回された

    大学火事の大混乱の中、源吾が現場を去った後、父重内と伊神甚兵衛との間でどんな会話が交わされたのか
    父の最期は、どんなものであったのか
    憧れ、目標としていた伊神甚兵衛は、本当に火消としての魂を売り、復讐の鬼と化してしまったのか

    もやもやフツフツと心にわだかまっていた謎や疑問が全てこの巻で解けた

    松永源吾と伊神甚兵衛、二人の火消半纏の背中に描かれた鳳凰が向かい合わせに闊歩する姿には胸が沸き立った
    とうとうこの姿を見ることができた!と

    そして一橋邸に集結した黄金世代の火消と次世代を担う火消の面々、まるで12月京都南座で行われる歌舞伎の顔見せ興行のような豪華さだった

    大好きな深雪さんの出番が少なかったが、要所で、源吾を支え良妻ぶりを見せていたのも嬉しい

    著者今村さんの中では、これはシーズン1の最終巻として描かれたとのこと、次の構想をじっくり練っていただきたい
    首を長くして待っています




  •  江戸の火消したちが18年前の大火の悪夢と対峙する羽州ぼろ鳶組シリーズ第12弾。

     今回は、シリーズ初の上下2巻の大作でしたが、さすがはぼろ鳶シリーズ、一気に読まされてしまいました。

     主人公の源吾が運命の人物との邂逅を果たす今回のエピソードは、この物語にとって大きな転換点となったことを感じ取りました。

     また、背後にうごめく巨悪の影との対決も鮮明となり、ますます展開に目が離せなくなりました。

     その中で多くの魅力ある火消したちが活躍する場面が楽しめるのもこの物語のもつ大きな力だと思いました。

     熱い仲間たちと温かい家族のつながりも、今の世の中と照らし合わせながら考えさせられました。

  • これで一区切りだと思うと読むのがもったいなくて…
    もう激アツの展開に涙(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

    素晴らしい!
    自分の語彙力のなさに腹が立つ笑

    オールスター総出演で挑む一橋御屋敷突破!
    内記vs一橋!そして18年前のやり直しの如く門を突破してくる仲間達…その先頭には2人の鳳凰!
    もう最高です(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

    しばらくぼろ鳶ロスになりそう…

  • 上下巻で少し長さを感じたものの、
    クライマックスが近づくにつれ
    熱い思いが伝わって来てうるうる。
    内記、今回良かったなぁ!
    泣けた。

    作者はこれでシーズン1が終わったと
    表現されていたけど、
    一橋がこてんぱんにされるのは
    まだまだ先になりそうだ。
    残念…!

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。’18年『童の神』が第160回直木賞候補に。’20年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年『じんかん』が第163回直木賞候補に。’21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞。22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、「くらまし屋稼業」シリーズ、『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』『茜唄』(上・下)などがある。

「2023年 『イクサガミ 地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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