あなたがここにいて欲しい

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 570
感想 : 111
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396632885

感想・レビュー・書評

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  • 『あなたがここにいて欲しい』
    いわゆる大人になると世界の広さを知る。こんな人もあんな人もいる。そしてこんな自分もあんな自分も発見する。昔必死に張っていたバリアはなんだったんだろう?そんな疑問は大人へ成長した証ということにしておこう。幼いときからの友人は広い世界の中でいつでも自分のモノサシを教えてくれる大切な人だ。

    『男子五編』
    激懐かしいキーワードに心をかき乱された。ゲーム&ウォッチ。オクトパス、ポパイ、ファイア。解像度の低いモザイク状の絵が小さい画面の中でつたない動きをするあれ。勉強机にずらりと誇らしげに飾っていたアホな自分を思い出した。゛もう一つを探し続けること゛の゛もう一つ゛。子供のころ純粋に好きだったものと別の、大人になった自分が純粋に好きになれるもの、と自分は”感じて”みた。

    『ハミングライフ』
    ここ十数年で手紙を書くという営みは消えた。友人達と小中高でやりとりした多くの手紙は今ではぐんと価値があがって取り出して読むには恐れ多いものとなってしまった。ボロボロの紙切れにつまった感情は生々しい。手紙を書くことは相当クリエイティブで能動的な営みだ。服を選ぶような感覚で封筒と便箋を選んで、相手の反応を想像して字を書いて時には絵を描いて。切手をはってポストへ出向き、ポストの前でいったん一呼吸置き相手の顔を想像する。パサリ。手紙が落ちたときの音は手紙に詰め込んだ感情の重みだ。この一連の所作を今携帯やパソコンを横目にできるだろうか。もう一度やってみたいけど恐ろしくわざとらしくなりそうで。それにそういうめんどくさい営みにつきあってくれる人もいない。ウロレターは奇跡、憧れだ。

    • ずんこさん
      これどういう本?
      これどういう本?
      2012/08/01
    • NAOKO ANDOさん
      あるある! わかる! を連呼したくなる
      あるある! わかる! を連呼したくなる
      2012/08/02
  • あなたに告白するかもしれません

    いつかこのフレーズ使ってみよう(笑)

  • 中村航作品は、駄目な人は全然駄目だろうと思います。
    だって特に何ごとも起こらないですから。毒にも薬にもならないですから。
    でも私は大好きです。

    ストーリーではなく、言い回しや視点や言葉の選び方そのものが好きなのでしょう。
    どうでもいいようなこだわりの部分の描写に軽くこもる熱、
    そこから浮かび上がる感覚は手に取れるかのようで、
    滑稽なんだけど共感させられる。感性が合うんでしょうね。
    例えば、表題作。小田原城址の公園にいるゾウに、初めて会ったときの幼児の衝撃と、
    同じ研究室の、好意を寄せる女性が、ほかの世界を持っていたと知った時の衝撃。
    この二例が、300ギガワット・200ギガワットとあらわされ、
    なんだかもう、それがたいへんにリアルで笑っちゃったんですけども。
    ゾウの存在感が50園児ぶん、とかいう表現も好き。
    化石っぽいからシャコが嫌い、というチャラ男に対し、シャコだってお前が大嫌いだ、と
    内心で毒づく吉田くんが大好き(笑)。だってその気持ち、すごくよくわかる。
    「夏休み」の吉田くんと舞子さんの馴れ初めの話でもあります。
    私は吉田くんの真面目さと誠実さ、滑稽さが大好きだったので、また会えてうれしい。

    「男子五編」は、著者の自伝のようですね。
    明るくて楽しいですが、まぁ、これは普通。

    「ハミングライフ」は、野良猫を介して交信(?)するようになったふたりの、
    真面目だけどユーモラスなかわいいラブストーリー。
    これも楽しいです。なんてこともないんだけど微笑ましく、温かい。

    買おうかと迷ってるくらい、読んで幸せになれた本。
    とりあえず文庫を待とう(ぉぃ)。

  • 表紙がとても優しくていい
    タイトルと最後の作品が好きです
    絵も上手い!!

  • 「あなたがここにいて欲しい」
    文明人とヤンキー。
    連絡が途絶えようが居場所さえ分かっていれば、何があっても再会することは可能なのだろうな。

    「男子五編 (and one extra episode)」
    祭りの終わりには。
    大人になり振り返ってみると色々と思うことはあるだろうが、楽しかったならいい想い出だろう。

    「ハミングライフ」
    ウロレターを続け。
    他に気にかける人がいなかったからこそ、二人の会話は途切れることなく最後まで続いたのだろ。

  • あなたがここにいて欲しい
    あの、吉田君と舞子さんの馴れ初めと吉田君の半生。結局禁煙はあの騒動まで実行されなかったのか。ホワホワしていてなかなかよろしい。

    男子五編
    小中高大 作家浪人 現在 と、中村君の自叙伝的な何か なのか?
    今度、ライ麦畑でつかまえてを読んでみようかな。

    ハミングライフ
    面白かった。ほんわり、フンワリしていて。
    ウロポストを通じた文通というのが夢があっていい。

  • ハミングバードのウロを介した交信のやりとり、とても好きだった。最初の話には吉田くんも出てくる。寿司屋のところでは泣きそうになった。

  • 「ハミングライフ」がわりと好みでしたねぇ
    木のうろと猫とひとのいとなみがつないだ縁。

  • 理系男子による胸キュン小説という新ジャンル。中村航の入門編としてはすてきだとおもう。

  • 中の話はあまり面白くなかったけど、他ふたつはこちらまでルンルンしてくる楽しい話でした。

    家出した吉田くんを知ることができました。

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著者プロフィール

建築家。博士(建築学)。株式会社MOSAIC DESIGN代表。
1978年東京都生まれ。2002年日本大学理工学部建築学科(高宮眞介研究室)卒業、2005年早稲田大学大学院修士課程(古谷誠章研究室)修了。2008年同大学博士後期課程単位取得退学、助手・嘱託研究員を経て、2010年〜16年東京大学大学院隈研吾研究室助教。2011年東南アジアのストリートの屋台に関する研究で博士(建築学)取得。同年建築設計事務所MOSAIC DESIGN設立。明治大学I-AUD、早稲田大学、日本大学などで非常勤講師を務める。店舗・住宅・ホテル・商業施設・マーケットなど、屋台からアーバンデザインまで、何か楽しいことやりましょう!をキーワードに大小さまざまなプロジェクトに取り組んでいる。

「2023年 『POP URBANISM』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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