虹猫喫茶店

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634643

感想・レビュー・書評

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  • 医学部受験に失敗し一浪の末、獣医学部に入学した主人公玉置翔…自分にあったバイトを探すうちに「猫の世話をするだの簡単なお仕事」という募集が目にとまり、古ぼけた喫茶店「虹猫」を訪れる…。オーナーは何よりも猫のことを優先する美しい女性、初めての仕事は老婆の住まう猫屋敷の掃除と、猫たちの飼い主探し…。バイトをやめるとも言い出せないまま月日は流れ…翔の気持ちも変化し、取り巻く人々の心も少しずつ変わっていく…。

    猫は無条件で可愛いと思ってきたけれど、飼い主のいない猫の殺処分や避妊手術などの厳しい現実もあることを知りました。そう、猫は何も変わっていないのに、人間が変わったせいで猫が生きにくい時代になっている…考えさせられました。でも、そんな重い内容だけでなく、ちょっと笑えるような個性的な登場人物とか、猫ちゃんも沢山出てきます!翔くんの今後が気になります。

  • 表題からして猫カフェが舞台の、のほほんとした話かと思いきや、そんな甘い話ではなかった。
    捨て猫に対する厳しい現実をいきなり突きつけられた。

    元々医学部志望だったのが受験に失敗してしまい、獣医大へ入学した男子大学生・翔。
    そんな翔がアルバイトに選んだのは「猫の世話をするだけの簡単なお仕事」。ところがそんなオイシイ誘い文句にホイホイ乗ってしまった翔が目の当たりにしたのは、キツイ・汚い・臭いと三拍子揃ったお仕事だった。
    里親募集中の猫たちが思い思いに過ごす”猫のいる喫茶店”『虹猫』で、重い猫砂や大量の餌の入った袋を抱えたり猫のトイレを掃除したり、油断していると猫たちに威嚇され引っ掻かれたり。

    猫に振り回されっぱなしの翔だったが、捨て猫たちの取り巻く辛い実情に直面する。
    カワイイからと猫を飼ったものの途中で放棄する飼い主たちの増加。
    野良猫たちを捕獲して不妊手術を施したり、時に妊娠中の野良猫に堕胎と不妊手術を同時に行う地域猫活動家たちの存在。
    生まれたばかりの仔猫の殺処分が年々増加する現状(年間約十万匹殺処分される内の約八割以上が仔猫らしい)。
    野良猫に新しい飼い主を探すのも大変。気を付けないとすぐに捨てられたり、最悪なのは虐待目的で飼う人もいるらしい。
    翔だけでなく読んでいる私にも衝撃的な内容だった。

    今年の猫の日はスーパー猫の日(2022年2月22日)。
    この特別な猫の日に読了することはできなかったけれど、この日をはさんで猫の置かれている辛い現状について改めて考えさせられて感慨深い。
    もふもふで肉球もぷにぷにのカワイイ猫。けれど本当はカワイイだけで済ませてはいけない。
    胸苦しくはなったけれど、読めて良かったと思える一冊になった。

  • 『すべての猫が虹の橋で、愛する人と再会できますように。。。』

    この帯からイメージしたものとは違って、登場人物がユニークで、
    時に苦笑いしながらも楽しく読めました。

    医学部に落ち、仕方なく獣医学部に入学するも、動物愛のかけらもない(笑)翔が、
    「喫茶 虹猫」でバイトを始める。

    ”猫の世話をするだけの簡単なお仕事”だったはずが…。
    猫を猫ちゃんという人種…(はい!ここにもいます・笑)に巻き込まれ…、
    抜き差しならない状況に追い込まれ…
    ついに動物愛に目覚めていく物語。

    神奈川県の形が、横向きの猫にしか見えないほどの猫好きで、
    「猫カフェではありません。猫を商売道具にするなど言語道断。
    ここにいるのは里親募集の子たちです。」
    と言い切る、猫愛凄まじき店長のサヨリ。

    そして猫ちゃんのネーミングが、とっても愉快!
    デブ猫ちゃん=豚丼
    鼻の下にヒゲ模様=ソウセキ
    鳴き声が名古屋のおばちゃんみたいだから=ナゴヤ
    あはは~。

    サヨリさん、私の中での配役は杉本彩さん。
    以前から地域猫の活動を続けていらして、
    「ペットショップではなく、ぜひ里親を待ち続けている子を引き取ってあげてほしい」
    との発言に、深く共感しています。

    それにしても、昔はもっと地域のねこちゃん、わんちゃんに優しくて、寛容だったと思うんですよね…。
    正直言って、この本の中にも彼らの過酷な運命が書かれていた箇所があり、
    じっくり読めずに、逃げてしまった自分が情けないのですが・・・

    「虹猫」の子達が、もらわれていく場面は少しホロリ…。
    このままサヨリさんのところで暮らせたらいいのに…なんてね。
    でも、サヨリさんの厳しい里親条件に合格した人にもらわれていくんだから、
    絶対大丈夫、幸せになれる!

    共に暮らした家族に愛されて旅立った子達はみんな、
    虹の橋のたもとで、その人を待っていてくれるのだという。
    そして私自身、それを固く信じているのです。

    • nejidonさん
      杜のうさこさん、はじめまして♪
      たくさんのお気に入りとフォロー、ありがとうございます。
      この本は未読ですが、とても楽しそうなレビューにひ...
      杜のうさこさん、はじめまして♪
      たくさんのお気に入りとフォロー、ありがとうございます。
      この本は未読ですが、とても楽しそうなレビューにひかれて、こちらにコメントさせていただきますね。
      私にも、死んだら真っ先に会いたいにゃんこたちがいます。
      楽しい思い出ばかりいっぱい残して、いつも先に逝ってしまうんですよね、にゃんこって。
      でも見送る側で良かったなって、後から思います。
      それから「パパ・トールド・ミー」は私も大好きです!
      こちらからもリフォローさせていただきますね。
      また素敵な本に出合いましたら教えてくださいね。
      2015/10/14
    • あいさん
      こんばんは(^-^)/

      私イメージするまでに時間がかかるので杉本彩さんと言ってもらえて助かりましたヾ(≧∪≦*)ノ〃
      杉本彩さんで...
      こんばんは(^-^)/

      私イメージするまでに時間がかかるので杉本彩さんと言ってもらえて助かりましたヾ(≧∪≦*)ノ〃
      杉本彩さんで読むのが楽しみです♪

      「風に立つライオン」
      ふふふ、やはり観ていたのですね♪
      とてもいい作品でした。
      頑張れ〜頑張れ〜頑張れ〜!思い出して泣けます。
      ただ、あの映画予告でいいところ見せすぎで、いいセリフがもったいなかったです。

      「天空の蜂」
      観に行けたのですね〜♪
      この作品も本当に考えさせられるいい作品でした。
      ただ、犯人を悪い人に描きすぎだと思いました。
      原作では犯人にももっと色んな思いもあったし、あんな目を覆いたくなるシーンはなかったです。
      あとは本当にドキドキハラハラでよかったです。

      映画2本も語れて嬉しかったです(⁎˃ᴗ˂⁎)

      杜のうさこさんと知り合ってからブクログが楽しいです(*^^*)♪
      ありがとうございます。
      2015/10/14
    • すずめさん
      杜のうさこさん、はじめまして。
      コメント、ありがとうございます!猫ごころをくすぐるこちらの本でコメント返しさせていただきますね。

      将...
      杜のうさこさん、はじめまして。
      コメント、ありがとうございます!猫ごころをくすぐるこちらの本でコメント返しさせていただきますね。

      将来、結婚をしたら絶対に猫を飼いたいと思っています。そのときには絶対にペットショップで買った猫じゃなく、偶然出会ったり、本書のような地域猫の活動をしているところでご縁があればと思っています。実家で飼っている(飼っていた)3匹のにゃんこは、みんな捨て猫だったから、余計にそう思うのかもしれません。

      いつもいいね!していただいて、ありがとうございます。杜のうさこさんの本棚に並ぶ本はどれもやさしく心にじんわり沁みそうだなぁ…と思っています。これからも楽しいレビューを楽しみにしています☆
      2015/11/15
  • 日常の謎と言って良い程に謎だらけのキャラクターが盛りだくさんな物語でした。ユーモアたっぷりで読み始めから終わりまで飽きること無く読み進めて、終始頷きながら共感の持てる作品ですね。
    「虹猫喫茶店」は猫カフェでは無く、保護猫譲渡を生業とする喫茶店です。
    医療大学の受験に失敗した主人公の玉置翔は滑り止めの武蔵野獣医大学医学部獣医学科に入学する。バイト探して学生課の求人で喫茶虹猫を見つけて面接に。店主のサヨリさんと猫達との出会いから物語は始まる。
    主体性の無い主人公が気の強いサヨリさんに強引に押しきられて、時給の良さにも釣られながら奮闘する成長物語でもあり、出会う猫達と人々達とのドラマが連作短編で面白く人情味も味わえる心温まる物語でした。

  • この喫茶店の名前の由来がすばらしいですね。

    私が天寿を全うし、向こうから迎えがやって来たときに
    ちょっと寄り道させてもらい、
    私と共に暮らしてくれたあのコたちに
    必ず会いに行こうと勝手に思ってます。

    そう、元気でやっているかの確認と
    「ありがとう」のひと言を伝えに。

    会いにいかずとも、みんな虹の橋のたもとに
    集合してくれているのかしら?
    いっぺんに、抱きしめられるのか…
    誰が1番最初か決められないもの。
    そんなことを心配してしまいました。

    虹の橋のたもとで、待つ相手を猫たちに探してあげる。
    そんな全く猫寄り目線の喫茶店に
    バイトで関わり成長していく獣医のタマゴのお話。

    フォローさせていただいている方のレビューで
    読みたいと思い、手に取りました。

    登場人物がみんな個性的。
    もちろん登場する猫たちも、キャラ素敵です。
    (うちの相棒猫は『豚丼』似ですね。
     サバトラ柄でないだけであとはかなり…)

    猫ってホントすごいですよね。
    何も関わらないような顔をして大事なことを教え、
    わかるようにそちらに導いてくれる。

    翔くんの人間的成長に、心が揺さぶられます。
    全然動物に興味がなかったのに、
    沢山のいのちと向き合い、
    短期間のうちに獣医として一番大事な部分が
    ひとつひとつ積み上げられていきます。

    猫との関わりの延長線上にある人間との関係。
    自分から関わろうとしなかったはずなのに、
    いい距離感や相手の気持ちに近付くコツを
    いつの間にか身に着けてしまう翔くん。
    (私も見習いたい…)

    これからも翔くんと共に、虹猫に集まる人や猫を
    一緒に追いたくなる一冊です。

    思ってた以上に、揺さぶられるものありました。
    地域猫のこと、産ませる選択
    去勢・避妊手術のこと。

    私の相棒猫も去勢済み、完全室内飼いですが
    ここまで来るのにいろいろ悩んだこと、
    思い出しました。

    正解がない問題ですからね。
    これからも何かあれば請け負って、悩んで行こうと思います。

    好きな作品に出会えました。
    読みたくなるレビュー、どうも有難うございました。

    • なにぬねのんさん
      けいたんさん、こんばんは。

      はなまる&コメントまで有難うございます。

      この『喫茶虹猫』の店主サヨリさんの話だと

      『飼い主に...
      けいたんさん、こんばんは。

      はなまる&コメントまで有難うございます。

      この『喫茶虹猫』の店主サヨリさんの話だと

      『飼い主に愛されて死に別れたペットはみんな、虹の橋のたもとで主を待ってくれている』そうなんです。

      虹の橋のたもとに集まれる猫を増やすために
      喫茶虹猫がある。

      ちょっと猫愛が先走りすぎている店主サヨリさんですが、喫茶虹猫が関わる問題はいのちに直結しているんですよね。

      とはいえ猫たちのネーミングがツボにはまりますし、
      登場人物のキャラが濃く、笑える場面も多いです。

      猫に限らずとも、虹の橋のたもとに集まる動物たちが増えるって、素敵なことですよね。
      …って混雑しすぎて、自分の会いたいコたちの場所がわからなくなるかもしれませんけど、
      困るぐらい大混雑して欲しいって心から思える物語ですよ。
      2015/10/10
    • あいさん
      こんばんは(^-^)/

      詳しくありがとうございます♪
      私もうさぎと暮らしているのでペットもの大好きです!

      私も虹の橋のたもと...
      こんばんは(^-^)/

      詳しくありがとうございます♪
      私もうさぎと暮らしているのでペットもの大好きです!

      私も虹の橋のたもとで待ってて貰えるようにたくさん愛情を注ぎたいと思います。

      笑えるというのもいいですね。
      楽しみたいと思います。

      また本のお話しさせてください。
      よろしくお願いします。


      2015/10/10
    • 杜のうさこさん
      なにぬねのんさん、またまたこんばんは~♪です。
      今私の本棚に下さったコメントに返信してお邪魔しました。

      今、すごく感動しています。
      ...
      なにぬねのんさん、またまたこんばんは~♪です。
      今私の本棚に下さったコメントに返信してお邪魔しました。

      今、すごく感動しています。
      私の拙いレビューをきっかけに読んで下さったこと。
      こんな素敵なレビューを読ませていただけたこと。
      なにより、なにぬねのんさんの読み方の深さに感激しています。(いつもですが)
      こちらこそ、ありがとうございました<(_ _)>

      うふふ、私も同じことを考えます。
      いっぺんに抱っこしてあげなくちゃってね。
      集合してくれてるところを想像すると、
      かわいくてキュンキュンしますね。

      けいたんさんにも読んでいただけそうですね♪
      この本は、いろんな意味で一人でも多くの人達に読んでもらえたらと願っています。

      では、豚丼似(笑)のかわいい相棒猫ちゃんによろしく~♪
      2015/10/12
  • 一浪の末、志望していた医学部を諦め獣医大学に入学した『玉置』。大学のアルバイト情報で見つけた『喫茶・虹猫』を訪れる。それは猫を世話をするだけの簡単な仕事だった・・・はずなのだが。


    人間より猫が大事な喫茶店の美人オーナー、地域猫活動家に猫屋敷のおばあさん・・・など、癖の強い面子がそろう。
    猫を守ろうとしているのは同じなのだけれど、それぞれに主義主張がありぶつかってしまう。それぞれに理はあると思うけど、どのやり方でもやはりモヤモヤは残ってしまう。命の問題だし、結局は人間の都合なのだから。言い始めれば、犬猫はまだ守ろうとする人もいるけど、元はペットだったとしても、ノラなら同じ野生のネズミは?カラスは?と考えちゃうんだよね。飼うなら責任を持ってというのは当然として。
    でも正直言って、私が子どもの頃は猫は放し飼いが基本だったし、近所には飼い・ノラを問わず猫の姿を見るのは普通だった。家に入ってくることもよくあったし、それこそ飼ってたインコをやられたことだってある。
    猫のいない通りはなんだか淋しい。世知辛い世の中になったもんだと少々思ってしまう。
    ああ、最後になっちゃいましたが、玉置君と鈴木君だか佐藤君だかが友達になれればいいな。

  • この本の帯に惹かれ、手にしてしまったがために買う羽目になった。
    いままでも猫がらみの本などを手にしたことはあるものの、こんな形で購入することなんてなかったのに・・と思いつつ自宅に帰り早速開いてみた。

    初っ端から爆笑した内容になっていた。著者は現在38歳になるが、とても若々しいと思わせる文体と描写に驚いた。小説はあまり読まないが、なぜかとてもとても引き込まれてしまう。果たして帯に書かれていた、『すべての猫が虹の橋で愛する人と再会できますように・・』というほどおセンチメンタルチックな内容なのだろうかと、ふと思ってしまった。

    登場人物は分かりやすい。
    "人間"の医学部に行きたかった大学生の玉置翔は福岡県出身で、特に行きたくもなかった"動物"の医学部にはいってしまった。突如、舞い降りたお姫様、通称桜子ちゃんはなぜか佐賀県出身(うん!いい設定だ)の天然には、イラッとくるのは私たち世代だろう(笑) そして主人公というべき、虹猫喫茶店のオーナ、美人だが口が悪すぎるサヨリさん。玉置くんより10歳以上年上だ。その間に割り込んでくるのは、近所の獣医師相田。桜子ちゃんからみると素敵なおじさま枠。そして彼らを取り囲むようにいろいろな人が絡んでくる。特にねこ屋敷のボケ婆さん、おもしろすぎ。
    共通しているのは、ねこだけ。可愛い可愛いねこちゃんのオンパレードな話ではなく、動物保護に関する実情やらTNRの話やら、猫屋敷のことやら、捨て猫の話やら結構現実的な話がたくさん。そこにサヨリさんの、哀しい過去が見え隠れする。

    クロネコはいるのか?(笑) 表紙には居ない・・。

    とおもいきや!! サヨリさんのそばにいたよ~!いたいた! 嬉しいなあ~。ほっ。

    読み終わってみると、帯に記載されていた物悲しい一文は、サヨリさんの大切な"想い" であり、それは今まで猫に支えられてきたサヨリさんの感謝のように思えた。

    猫を通して心に色々なものを抱えていた人たちが、一歩前に進めるようになっていく過程が重くなく、すっとはいってくる感じ。
    一度猫と暮らしたことがある人なら誰しもわかると思いますが、猫に癒され、励まされ、遊ばされながら、私たちはほっとしてさあ次にいこう!とリセットさせられている。

    でも、猫は何にも変わらない。そこにいつも居るそれだけ。ご都合よく自分が一番!(笑)のスタンスは変わらない。なんて素敵な生き物なんでしょ♪

    " 勉強一筋だった僕に、初めて放っておけない存在が出来た。"  と想う玉置くん。

    猫とはそんな生き物です。I Love Cat!

  • 内気な大学生が選んだバイト先には、勝気で猫贔屓な喫茶店の美人店主がいた。彼女に命ぜられるがまま彼が行かされたのは、訳ありの猫屋敷…!

    猫好きな人はもちろん、そうでもない人にも楽しんでもらいたい、人と猫、人と人との愛情があふれたとてもぽかぽかさせてくれる物語です。軽くユーモア交じりでつづられているので楽しく読めますが、多くの猫が保健所で処分されているなどという厳しい現実にも触れ、けして猫萌えだけでない猫への理解に満ちた内容だと思いました。

    引きこもりに近い状態だった主人公が、徐々にコミュニケーションを他人と取り出していき、親や周りの人々に打ち解けていくのも自然な流れで読めますし、他の一癖ある登場人物たちもイキイキとしていて会話やエピソードもそれぞれ切なかったりほんわかしたりで、温かさをたくさん感じたお話でした。

    といいつつも、やっぱり一番の魅力は猫!です。かわいい、そして気高い。素敵。

  • 男子トイレの個室で生協の焼きそばパンを食べる新入生
    受験失敗で入っただ獣医学部で友人も作らず鬱々してる主人公が始めたバイト
    「猫の世話をするだけの簡単なお仕事」のチラシに釣られ行ってみたらば37匹もの猫とくらす認知症疑いの老婆のお宅だった…

    むちゃくちゃなスタートでも逃げ出さず
    冷徹だけど美人で猫バカなマスターにこき働かされ?
    変わっていく様子が面白かったです

    登場する猫達もかわいいし
    猫事情も勉強になりました

  • 猫が出てくる本は片っ端から読んでいる。
    その中でも少し異色な作品だと思う。
    現代の猫たちの置かれた環境や状況をきちんと語っているし、猫たちを取り巻く様々な立場や感情を持った人間たちのことも描かれている。

    去勢・不妊手術や譲渡のことなど、当の本人である猫たちに意見を聞けてそれを尊重できれば苦労しないのに、それができないから私たち人間が決断しなければならなくて、どんなに猫たちのことを考えて下した決断だったとしても、それはやっぱり人間のエゴで。
    何が猫たちにとって幸せなんだろうって考えても答えは出せないのに、なんとか答えを出して苦悩している人たちの物語だな、と。
    こういう角度で描いている作品はあまりない。

    ただ、ストーリー自体はそう珍しいものではなく、先の展開が簡単にわかる。
    読みやすいけれど、呆気なく、少し物足りない感じがする。

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著者プロフィール

1977年、和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部卒業。2008年、「虫のいどころ」(「男と女の腹の蟲」を改題)でオール讀物新人賞を受賞。17年、『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』(ハルキ文庫)で髙田郁賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞。著書に、『小説 品川心中』(二見書房)、『花は散っても』(中央公論新社)、『愛と追憶の泥濘』(幻冬舎)、『雨の日は、一回休み』(PHP研究所)など。

「2023年 『セクシャル・ルールズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坂井希久子の作品

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