空色の小鳥

著者 :
  • 祥伝社
3.68
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本棚登録 : 371
感想 : 81
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634759

感想・レビュー・書評

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  • もうね、とても良かったです。
    登場人物がみな、鬱屈した思いを抱える人ばかりで、
    途中で何度も、あれ、これって大崎梢さんだよね?と思いつつ、
    読み終えて、やっぱり大崎さんだったわ~と、ほっこり。

    主人公・敏也。
    母が自分を連れ嫁いだ資産家、西尾木家での冷たい仕打ち。
    その報復の手段として、亡くなった義理の兄・雄一の娘・結希を引き取る。

    テーマは重苦しいものでしたが、
    結希の無邪気で、けなげな姿に救われます。
    やっぱり子供はいいですね~。

    自分が仕組んだこととはいえ、
    結希によって敏也のそれまでの優雅なひとり暮らしは一変。
    結婚しないという彼女・亜沙子、オネェの同級生・汐野、
    それぞれ心に深い闇を抱える二人に翻弄され、助けられる日々の可笑しみ。

    幼い愛娘を、一人残していかなければならなかった千秋。
    その願いと”悲しい嘘”がせつなくて…。

    雄一が言った「おまえはちがうから」の本当の意味がわかって良かった…。

    そして、ワンマンで血のつながりに固執する義父・雄太郎。
    彼も寂しい人だったんだなぁ…と。

    ”紫陽花”のエピソードにしみじみ。

  • いつもの大崎作品と、雰囲気が違うように思った。
    全体的に重苦しい空気が漂い、嫌悪感しか無い人物も出て、ある意味ミステリやサスペンスなのかもしれないけど、やっぱりミステリではないような、サスペンスでもしっくりこない…ジャンル分けすると何なのか分からないのですが…。
    私は読んでいて、とにかく苦しかったです。
    だが最後の3ページで、ああ大崎作品だと温かい涙が流れました。
    この方の物語の締めくくり方がとても好きです。

    登場人物が、嫌な奴も含めてとてもキャラが立っていて良かった。
    普段は映像化はあまり好きではないのですが、読みながら脳内ドラマ化してしまいました笑

    主人公の優しさと、哀しみと、寂しさとが堪らなく魅力的な主人公に仕上げられていたと思う。
    本人が自分を全く客観的に見る事が出来ていない、それにも気付いていない、歪んでしまったけど本当は歪みきっていないというアンバランスな所が、本当に魅力的でした。

    結末を知ってるからこそ絶対もう一度読み返したい、作品です。

  • 途中でラストの想像はなんとなくついたけれど、ラストは本当にホッとした。
    一緒に生きて暮らしている気持ちで読めた気がする。
    家族のこともそうだけど、仕事を続けたいという敏也の気持ちが実はいちばん嬉しかった。
    地味な仕事をやり遂げること、それを評価してくれる人がいること、それがいちばん大事なのかなあ。

  • 2019.08.18
    動機は不純かも知れないが、血の繋がり、家族、子供の想いとは何かを教えてくれる。血の繋がらない子供を持った時には是非とも読んでもらいたい一冊だ。
    何故抱きしめてあげないのかと焦れったい感じが続いたけれど、最後に持ち上げてあげる、それが知らぬ間に育った子への愛だと思う。結局、みんな血が繋がってないのに、普通以上に素晴らしい家族を形成している。その真ん中に子供がいる。子供は生まれてきてくれただけで人々を幸せにする、家族にする。電車の中で読みながらラスト前は涙が出てきて大変だった•••。大崎梢さん、もっと読もう!

  • 前半は哀れなお話かな?って思ってたら、中盤から主人公の計算高さにに驚きを隠せず
    「なんて卑怯な!」
    「嫌な奴」
    って怒りを覚えた。
    さらに度肝を抜くラストに 「人間味というのは、こういう所からにじみでてくるんだな」ってしみじみ思った。

  • 泥沼の金持ち一族の血の繋がりのない息子が、義兄の死後に娘を引き取って育てる話。
    最終的に金持ち一族には入らなかったけど、そこまでに築いてきた「家族」が、その後も幸せに過ごせそうなエンディングだった。
    素敵な話だった。
    引き込まれた。
    大崎梢の他の話も読んでみたい。

  • 資産家のドロドロ話。連れ子の復讐がメインのストーリーだけど、血の繋がらない同居人4人のバランスがよかった。読み応えあるいい話だった。

    追記:一気読みしたせいか、本に影響された夢をみた。

  • 予想外の結末でしたが、いろんな伏線も回収されて、いい結末にたどり着いたと思います。

  • 表紙の後ろ姿の少女に惹かれて読みました。

    結希という名の少女は小学校に上がる直前、母を病気で亡くし、叔父の敏也に引き取られる。

    敏也は、母の再婚相手の家で母を亡くし、辛い思いをして過ごしてきた。

    血の繋がりを何より大事にする義父との関係に縛られ続けてきた彼は、結希と暮らした日々、そこに居た友人や恋人、当初の目的がどうあれ、子供を育てていくうちに少しづつ変わっていき、自由を手に入れる。

    同居人たちがいい味出してます。結希ちゃんがつらい目に合わずに良かった。

  • ラストはそうなるかなぁ…と予想がついたけれど、まとまりもよく読後感はよかった。亜沙子の優しさや汐野の個性的なキャラが、影のある主人公を盛り立てている。

著者プロフィール

大崎梢
東京都生まれ。書店勤務を経て、二〇〇六年『配達あかずきん』でデビュー。主な著書に『片耳うさぎ』『夏のくじら』『スノーフレーク』『プリティが多すぎる』『クローバー・レイン』『めぐりんと私。』『バスクル新宿』など。また編著書に『大崎梢リクエスト! 本屋さんのアンソロジー』がある。

「2022年 『ここだけのお金の使いかた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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