ジャンヌ Jeanne, the Bystander

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 127
感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635602

感想・レビュー・書評

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  • 「読まなきゃ」と思いつつ、すっかり存在を忘れていた。
    もともと近未来ものを得意とする作家さんが描く、ロボットの話。
    読み始めた当初は、「読まなきゃよかったかも…」と思ったけど、何故自律型ロボットがロボット三原則を破ってまで、ヒトを殺したのか?
    アクションも交えつつ、その謎と言うか、ロボットの心理(?)に迫っていく内容につい引き込まれる。
    最近はシンギュラリティを扱う作品が多く、その手の作品と言えば、それまでだけど、AIであり、ヒトを殺したジャンヌと、ジャンヌを逮捕した刑事のAAとのやり取りは心を打つものがある。
    自分のことしか考えられない人間より、ずっとずっと人間らしいジャンヌ。完全に映画「ターミネーター」の世界。
    ラストでジャンヌを助けたAAと、ジャーナリストのマイケルがどうなったか、ちゃんと触れてくれたら、もっと面白かったのに…

  • 始めから鷲掴みにされた作品。時代は2060年、全てがAIに管理された近未来の日本で自律行動ロボットと刑事が主人公のSFミステリー。アシモフの引用もあるがアシモフを知らなくても十二分に楽しめる。内容も奥深く最後まで心が掴まれたままだった。

  • 初めて読んだ作家。
    SFアクションミステリって感じ。材料はAIとかシンギュラリティとか新しめのだが、何となく作者は昭和の人ではないかと思った。ちょっと前のハードボイルド小説のようなところもあり、ゴルゴ13やドーベルマン刑事みたいな感じもする。でも脳内では北条司原作アニメで再生されました。
    登場人物の造形、キメのアクションシーンが映画というよりアニメの印象。
    絶対人を殺さないはずのアンドロイドのジャンヌが人を殺したのは何故なのか。はー『裁かるるジャンヌ』か、と思ったけど、そんなに哲学的な話ではなかった。
    まあ、殺された男がやっていたことが胸糞で、殺す理由としては納得だけど、それに至った思考の過程を考えれば、戦闘利用は不可能ではないか、という気がするけど、そこはいいの?
    あと、善悪は一人の人の中に同時に存在するものだけど、その辺はどう判断するの?例えば、胸糞なことを行っている人が慈善事業を真剣にやってたらどうするのか?
    まあ、エンタメだから読んで面白かった!スッキリ!でいいんだろうけど。

  • ありがちな政府の陰謀だが,AIがロボットの三原則をどのようにクリアしていったのかの謎解きが面白かった.そしてラスト,繰り返されるのか書き換えられるのかの選択を残して終わる.AAこと相崎のその後も含めて不安感満載.

  • 「人間に危害を与えてはならない」とプログラムされたAIロボットが人間を殺害した。どうやってプログラムに反して実行できたのか、SFミステリー。
    未来設定の説明がすこし長いなぁと感じるときあった。でも、どうなるどうなる?と続きが気になりやめどきがわからなくなるくらいに楽しめた作品。

  • 人口5千万人まで減少した2060年の日本。ロボットの存在は日常となっていた。家事ロボットには「自律行動三原則」により人間に危害を加えることは出来ない仕様になっているにも関わらず、家事ロボット<ジャンヌ>が主人を殺害した。「なぜ殺したのか」ではなく「なぜ殺せたのか」刑事がその真相を追う。国家の思惑など絡めながらノンストップで進む展開。<ジャンヌ>が三原則の下に辿り着いた原理とは。後半は切なかった。そして最後の一行が怖い。遠いように思えてすぐ近くまできている未来なのかな。

  • 近未来の日本、ある家庭にリースされている家事ロボットがそこの主人を殺害する事件が起きた。
    ロボット三原則により人間を殺害することができないはずの家事ロボットはなぜ主人を殺害することができたのか。

    設定としてはよくあるんだろうけど、面白かったー!
    様々な事象が現実的で、ありうるなあって思える範囲内で、本当にこんな日がくるのかもしれない。それはいい事か悪いことか。わたしはこんなAIはありだと思ってしまったな。

  • 人を害してはならないというロボット三原則に反して人間を殺害したロボット「ジャンヌ」を巡る物語。

    ジャンヌが人を殺せた理由は正直序盤の方でわかってしまって終盤の面白みはあまりなかった。
    けれど、後日談では一番最初の伏線が回収されておっ!っとなった。

  • 日本の人口が激減してしまった2060年、家事用に開発されたロボットが主人を殺害するという事件が起こった。製造元で異常を確認するため、相崎刑事はそのロボット・ジャンヌの護送を担当するが、その道中で何者かに襲撃される。ジャンヌの助けを借りて逃げ延びる相崎だったが、敵はなおも追撃を続け、孤立無援の状態に追い込まれる。誰が何の目的でしていることなのか、そしてジャンヌは「自立行動ロボット三原則」があるにも関わらず、なぜ殺人を犯すことができたのか。スリリングなSFミステリです。
    いつかはこのような時代が来てしまうのかもしれません。労働力不足を補うためのAIの活用は頼もしくもありますが、しかし不気味さも感じてしまいます。とはいえ、いくら機械だとわかっていても、ジャンヌのような存在には親近感も持ってしまうでしょうね。ただの「物」だとは割り切れない気がします。実際最初はジャンヌに対して不信感しか抱いていなかった相崎も、コミュニケーションを介してジャンヌとの関係性がどんどん変化していくのが微笑ましく思えました。
    ジャンヌを奪おうとする者たちの目的は、なんとなく見当がつきましたが。しかしジャンヌがなぜ殺人に至ったのか、この解答は深いです。これこそ、AIが人間を越えてしまったとしか言いようがありません。ただしそれが良いことなのか悪いことなのか……単なる「良い話」では済ませられないラストの一文にもぞくりとさせられました。

  • 製造時から組み込まれている
    「三原則」を突破して
    人間の雇用主を殺害したロボット。
    事件の捜査に向かった刑事は
    行きがかり上、その「ジャンヌ」と共に
    謎の襲撃者から逃避行を続けることになる。

    ハイテク嫌いの刑事がロボットと逃げながら
    だんだん理解し合って行くバディものなつくり
    AIと人類の未来に関するSFっぽい部分
    そして事件の謎にせまるミステリ的なところ。
    文章もリズムいいし、読みやすかったです。
    映画っぽいストーリーだよね〜。

    で、おもしろかったんですが
    ラストが…なんだろう、この感じと考えて…
    わかりました。『ターミネーター』だ!
    今日の敵はしりぞけたが
    明日また新しい敵が現れるかもしれない
    ダダンダンダダン…♪

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著者プロフィール

河合莞爾
熊本県生まれ。早稲田大学法学部卒。出版社勤務。
二〇一二年に第32回横溝正史ミステリ大賞を受賞し『デッドマン』でデビュー。他の作品に『豪球復活』(講談社)、『デビル・イン・ヘブン』『スノウ・エンジェル 』『ジャンヌ』(祥伝社)、「カンブリア」シリーズ(中央公論新社)などがある。

「2023年 『カンブリアⅢ 無化の章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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