ゴールデンタイムの消費期限

著者 :
  • 祥伝社
3.59
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本棚登録 : 754
感想 : 70
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  • Amazon.co.jp ・本 (321ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396636012

作品紹介・あらすじ

書けなくなった高校生小説家・綴喜に届いた
『レミントン・プロジェクト』 の招待状……それは、
元・天才を再教育し、蘇らせる国家計画――!

「才能を失っても、生きていていいですか?」

『楽園とは探偵の不在なり』で最注目の俊英が贈るAI×青春小説‼

自分の消費期限は、もう切れているのか──
小学生でデビューし、天才の名をほしいままにしていた小説家・綴喜文彰(つづき・ふみあき)は、ある事件をきっかけに新作を発表出来なくなっていた。孤独と焦りに押し潰されそうになりながら迎えた高校三年生の春、綴喜は『レミントン・プロジェクト』に招待される。それは若き天才を集め交流を図る十一日間のプロジェクトだった。「また傑作を書けるようになる」という言葉に参加を決める綴喜。そして向かった山中の施設には料理人、ヴァイオリニスト、映画監督、日本画家、棋士の、若き五人の天才たちがいた。やがて、参加者たちにプロジェクトの真の目的が明かされる。招かれた全員が世間から見放された元・天才たちであること。このプロジェクトが人工知能「レミントン」とのセッションを通じた自分たちの「リサイクル計画」であることを──。

感想・レビュー・書評

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  • 元、天才たちの話

    「好き」がいつのまにか「義務」のように感じ、苦しくなる。「依存」してしまう。「楽しい」と感じなくなってしまう。

    承認欲求というものは誰にでもあって、
    他人から良い評価をもらいたい。
    褒められたい。
    認められたい。
    そんな気持ちが自分の背中を崖から落ちるギリギリまで押してしまうことがある。

    天才、と一度でも呼ばれてしまえば、元に戻ることはできない。期待や重圧を過度に受け、耐えられなくなった者は壊れてしまう。
    何が正解なのか、わからなくなる。

    そんな人たちが、救われてほしいと思う本。

  • 昔神童、今はただの人はたくさんいると思う。
    神童レベルが頭抜けている人は苦悩が多いのだろうか。
    AIをうまく組み込んでいるなと思いました。
    人里離れた秘密の場所だから成り立つ人間関係もあるのかなと思いました。読後は爽やか。

  • 私は天才ではないので、理解はできたが共感は出来なかった。

    テーマに対してストーリーの起伏が少ないと思った。天才の苦悩の部分をもっとエグく描き上げてほしかった。

    天才児というのは早熟であって、大人になるにつれて一般人との差がなくなってくるという話は聞いたことがあり、それを越えるストーリーを期待したんだが。

    トレーニング用AIの使い方としても普通かなと思ってしまった。

  • 天才という称号は、天才の落ちこぼれにとっては非常に辛いものだと感じた。

    人工知能を使ったこのプロジェクトは私の意思に反して、現実性のあるものに感じた。

  • 幼い頃から才能が光ってる子供は、そうでない子供にある当たり前の日常や将来の選択肢がどうしても狭められて可哀想だと感じてしまいました。

    この本に登場する子供たちはみんな幼い頃から一つのことに一生懸命で、そうせざるを得なかったのかもしれませんが、それでも人生を捧げる勢いで取り組めることがあることに少し羨ましさも覚えてします。
    私にもし彼らのように全力で取り組めることがあったとしたら、何だったのかな…

  • 娘がもう少し大きくなったら勧めたい。

  • 斜線堂有紀さん、初めて読んだ。

    ミステリーというよりは青春群像劇。
    かつて天才少年少女と呼ばれた6人の若者たちが、レミントンプロジェクトに参加するべく集められる。
    天才であることの消費期限が迫っている焦り。
    天才でいるためにAIレミントンの力を借りることへの葛藤。
    主人公綴喜を軸に、それぞれの心情が丁寧に描かれる。

    とても読みやすく、ぐいぐい引き込まれて一気に読んだ。
    最後にそれぞれが選んだ道もよかった。

  • 斜線堂有紀の創り出す世界とそれをわかりやすく表現する文章が好き。

  • 元天才と呼ばれる若者が集められ、AIの力で再起させようという国家プロジェクトのお話。

    AIの助けを借りた作品や実力は、自分のものと言えるのか。Chat GPT等が台頭してきている今だからこそ読んでいて刺さる作品だった。

    斜線堂有紀さんのスラスラ読める文章に気になる設定で一気に読んでしまった。
    終盤の展開は少し弱く感じたが、結末は綺麗にまとまっていたので高評価。

  • 自分のこれまでの人生を捧げてきたものを否定されるのは恐ろしいこと。ほかの生き方もあると諭されても、そんなことはわかってて、それでも縋るしかないという気持ちは、理解できないわけではない。天才だなんて持て囃されようが貶されようが、結局は自分がどう生きたいかが問題なのだなあと。好きなものをずっと好きなままでいられたらそれはしあわせなことだよね。

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著者プロフィール

2016年、『キネマ探偵カレイドミステリー』で第23回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞を受賞してデビュー。楽園とは探偵の不在なり』『恋に至る病』『コールミー・バイ・ノーネーム』ほか著書多数。

「2023年 『百合小説コレクション wiz』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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