残星を抱く

著者 :
  • 祥伝社
3.36
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本棚登録 : 145
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396636302

作品紹介・あらすじ

第73回日本推理作家協会賞短編部門受賞『夫の骨』の著者、
受賞後初の長編ミステリ!

罰を受けるべきなのは誰
次々と身の回りで起こる不穏な出来事に、刑事の妻・柊子は追いつめられていく。
愛する家族を護るため、彼女が取った行動は――!?

「あなたを、殺したいと思って」
母娘二人だけのドライブの帰り道、青沼柊子は峠の展望台で、暴行の現場を目撃する。
暴漢は柊子たちを逃がすまいと車の前に立ち塞がるが、構わず柊子がアクセルを踏むと、サイドミラー越しに、男の影が崖下へと転落していくのが見えた。
あの男は死んだのか?
思い悩む柊子だが、県警捜査一課の刑事を務める夫の哲司には、正直に話せない。
すると翌日、マンションのポストに告発文めいた脅迫状が投函されており……。

私のせいで、父は死んだ――
血の因縁が浮かび上がらせる、二十年越しの真実!

感想・レビュー・書評

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  • 矢樹作品、3冊目。毎回夫婦ストーリーで興味深い。今回は刑事とその妻(柊子)の話し。妻の周りで起こる不可解な出来事が頻回。トラックに襲撃される、自宅マンションに不審なヤクザっぽい男(結城)、警察の監察官。柊子は夫に相談せず、幼馴染(葛西)に相談する。そして夫が首を吊った状態で発見される。さらに夫の手帳には柊子の父親が起こした死亡事件の真相が書いてある。その手帳を巡り、結城、監察官、さらに葛西までも入り乱れる。柊子の強さは桐野作品・OUTの雅子級。面白かったが、どんでん返しの連続で最後には飽きがきたような。③

  • 薄い一冊。

    主人公 柊子の身に起きたあまりにも非日常的な出来事のスタートにざわざわが止まらない。

    その出来事が引き金になったかのように次々と襲い掛かる芋づる式の不安感、家庭の不幸。

    ざわつきと先を急ぐ気持ちにさせるのはさすがだ。

    果たして何が、過去の事件がどう関係するのか…正直ミステリとしてのインパクトは弱い。 
    というか、リアル感が薄く、一歩退き、冷めた目で読まざるを得なかった自分がいたかな。

    やっぱりこの作家さんの描くごく普通の日常を営む人のすぐ隣に身を置く感覚、リアルさのひりひり感を味わう作品と時間の方が好きだ。


  • 『夫の骨』の著者 矢樹純さん

    読み始める前の想像を全く覆してくれました。
    『夫の骨』に引き続いて、またやられた
    という感想です。

    残星(ざんせい)
    夜が明けていく東の空に残る光は金星。
    明けの明星。

    以下、ネタバレ含みます。ごめんなさい。
    ーーーーー
    自殺に見せかけて殺された警察官の夫(哲司)。

    誰かに狙われていると漠然と感じていた柊子は
    娘を守り、夫が殺された理由を知るために
    哲司が死ぬ前の足跡を辿る。

    哲司が職務外で密かに追っていた事件は、
    柊子の父親の事件だった。

    味方も敵も不明な中、見えない敵と必死に
    戦う主人公の柊子の逞しさが想像の斜め上を
    ぶっ飛んでいて度肝を抜かれます。

    何故こんなに凄いのか?
    ただの警察官の妻じゃない、
    一般人とはとても言えない精神力と
    身体能力に唖然とさせられます。

    でも、スーパーウーマンになれた理由が
    ラストで分かって胸がすうっとしました。

    私にとっては予想外のラストでした。

  • 物語は緊張感を感じさせるカーチェイスから始まる。その後、日常生活の中で不審な文章や人物を少しずつ身の回りで感じていくようになる。帯にあるように、「血の因縁が浮かび上がらせる、20年越しの真実」というのが複雑に絡み合った感情や関係性を想像し過ぎたのか、やや物足りなく感じた。アクション的な部分が多かったのもそう感じたひとつかもしれない。

  • 「彼を殺した」のはすぐ分かった。
    色々と???が。

  • 幼い娘とのドライブの帰り道、犯罪を目撃してしまった主婦柊子は暴漢たちから追われることに。刑事である夫の死、裏のありそうな女性刑事など前半はサスペンス調でハラハラしました。後半はえっ⁉それはどうだろう~という展開とアクションが多すぎたような。もっと心理的サスペンスの方に振れてほしかったかも。真犯人は早いうちに想像がつく。

  • 読んでいて大昔見た「激突」という映画を思い出しました。今はそんな映画のようなあおり運転が日常で起こるようになったから私のような未熟者はペーパードライバーへまっしぐら。
    しかし、この主人公柊子は普通の主婦とは思えない運転技術と身体能力、さらに鋼のような身体で何度も危機を脱する不死身の女性。いくら柔道を嗜んでいたとはいえ、これは凄すぎる。「彼を殺したのは誰?」の彼は誰を指しているのか結城の口から語られるまでわからなかったなぁ。そして結城の正体もね。タイトルの意味はラストでやっと理解出来たけどそこまで恐かったな。

  • スタートからアクセル全開。

    主人公・青沼柊子が峠の展望台で暴行を目撃した場面から一気に不穏な空気に包まれる。
    逃げる柊子。追いかける男達。
    5歳の娘との楽しいはずのドライブが一転して恐怖へと化す。

    その後に続く脅迫状の投函、刑事である夫の不審な行動。
    重なり合ういくつもの謎。

    20年前の事件と一体どう結び付くのか。

    柊子の前にいつも突然現れる《8》のタトゥーの男や、高飛車な監察官・真野美凪、相談相手の葛西、皆が怪しく思えて来る。

    終盤は怒涛の展開に心拍数が爆上がり。

    どんでんあり、最後まで油断ならないスリリングミステリー。

  • 矢樹純さん初めての長編小説と言うことで楽しみしてました。



    青森県出身の作家さんだと言うこともあり、

    昨年、友人に勧められて読んでみた「夫の骨」も良かったので購入。



    「彼を殺したのは誰か」

    それを知っているならあんたを殺さなきゃいけない。

    黒革のライダースーツの男の謎の問いかけ。

    彼とは誰のことなのか?

    あのガードレールから転落した男のことか?

    あの日のことを夫に話せず、探偵業を営む同級生に相談する。



    しかし、その男たちはその後、誘拐監禁容疑で逮捕される。

    では、あのライダースーツの男は誰なのか。

    男が言う「彼」とは誰のことなのか。

    そして突然の夫の自殺に見せかけた他殺事件。



    その後判ったことは夫はひとりで、

    20年前橋から転落して死亡した柊子の父親の事故を調べていたようだということ。

    あれは事故ではなかったのか。

    夫の手帳を見つけ出そうと執拗に柊子に張り付く監察の女性刑事。

    めまぐるしく進む物語。



    スリル満点でした。

    ミステリーではあるんですがアクションものでもあります。

    クライマックでは「え?そうだったの?」でした。

    同級生の探偵がなんか怪しいなぁというのは途中から見えちゃましたけど。

    でも、それが物語のメインではなかったので、終着点で「え~!?」でした。



    293ページとちょっとページ数は少なめですが中身は濃いです。

    次回作がまた楽しみな作家さんです。

  • 私のせいで、父は死んだ―。血の因縁が浮かび上がらせる、二十年越しの真実!次々と身の回りで起こる不穏な出来事に、刑事の妻・柊子は追いつめられていく。愛する家族を護るため、彼女が取った行動は―!?(e-honより)

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著者プロフィール

1976年、青森県生まれ。実妹とコンビを組み、2002年、「ビッグコミックスピリッツ増刊号」にて漫画原作者デビュー。『あいの結婚相談所』『バカレイドッグス』などの原作を担う。2012年、「このミステリーがすごい!」大賞に応募した『Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件』で小説家としてデビュー。2019年に上梓した短編集『夫の骨』が注目を集め、2020年に表題作で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。

「2022年 『残星を抱く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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