わたしのいけない世界

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 58
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396636425

作品紹介・あらすじ

あの禁断の三日間が身体にこびりついている。
15年後、再会したふたりは!?

ある日、犬の散歩をしていた小学六年生の志摩佳月は、虐待の痕がのこる小学一年生の明日見柊を拾う。
秘密の場所に柊をかくまった佳月は、お世話をするうち、恍惚にも近い感覚を覚える。
ところが三日目、監禁の発覚におびえた佳月はやむなく柊を解放。
同じころ、柊の父親が行方不明になる。(「わたしのいけない世界」より)


人生経験が多いのも、悪くない――
年上女子と年下男子の、あられもない素敵な世界。
”欲”に目覚めた女たちの、珠玉の恋愛連作集。

感想・レビュー・書評

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  • ぞくぞくしながら読む。
    絶え間なく湧き上がるぞくぞくを感じながら私の中にいる「女」の目で読んでいる気が。
    欲しいものは手に入れる。
    好きだとか愛してるとか、そういう感情のまえにただただそこにある「自分の好きにしたい」という欲望。
    佳月の、柊の、そして琉人の、暗く湿った欲望。その欲望に自分の中の女が感応し続ける。

    第二章からは一気に最後まで読みふけってしまったが、読み終わった後、第一章のことをすっかり忘れていたことに気付いた。
    この恵真と諏訪の微笑ましい関係の向こうにちらちらと垣間見える不穏な「ナニカ」を印象付けるための第一章なのだろうけど、読み終わって再読するなら第二章からでいいかなと思ってしまうんです。すみません。

  • 「アルバローズの床」
    「わたしのいけない世界」
    「明るいひかげ」
    「わたしの素敵な世界」
    四話収録の連作短編集。

    終始不穏な空気に包まれていた。

    小学6年生の志摩佳月は、ある日、虐待の痕が残る小学1年生の柊を拾い、自宅の地下シェルターに匿う。
    一見善意の行動に思えるが、佳月の行動には支配欲や執着などの危うさが感じられる。

    15年の時を経て再会した佳月と柊。
    佳月の夫で幼馴染の琉人も加わり、掴みどころのないこの三人が一体どこへ向かうのか全く予測不可能な展開だった。

    人の心の奥深くに潜む邪悪な欲望を覗き込んでしまった様な読後感。

  • 少し官能的な書き出しに
    早速心を奪われた。
    早熟な12歳の女の子。
    その気持ちを昂らせたのは
    女の性なのか、
    本能的なものだったのか。
    15年の歳月を経て
    交錯する3人の人生、
    鮮明に思い起こされる事件は
    未熟だったものたちを
    いまだに縛り付けている…。

  • お金持ちの女の子は欲しいものは何でも手に入れそれが当たり前だった。両親に犬が欲しいとねだった時2人とも野蛮だからと認めなかった。
    虐待されている男の子と出会い助けたい気持ちと欲しい気持ちが混ざって軟禁をする。
    ねっとりした感触の小説だった。

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著者プロフィール

1970年、埼玉県生まれ。1995年、少女小説家としてデビュー。2013年、「朝凪」(「まばたきがスイッチ」と改題)で、R-18文学賞読者賞を受賞。主な著書に、受賞作を収録した『主婦病』のほか、『私の裸』『母親病』『神様たち』など。アンソロジーに『黒い結婚 白い結婚』がある。

「2023年 『わたしのいけない世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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