- Amazon.co.jp ・マンガ (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396768935
感想・レビュー・書評
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終わってしまった!
漫画を読んで泣いたのは久しぶりかもしれない。
「軌道を逸れて離れてしまうほうが衝突よりも怖いんじゃないか」
「与えたのと同じものが返ってこなくていいとか
少し離れてその人に関わっていたいとか、衛星ってのはそんな感じだ」笠町くん、素敵だ!
読む度に気づける作品
何度も読み返したい!
最後の
「あの日、あの人は群れをはぐれた狼のような目でわたしの天涯孤独の運命を退けた」
槙生と朝どちらにもあてはまるなと感じた
感想を書いていて自分の語彙力、文章力の無さに倒れそうだょ(汗)
笠町くんへの槙生のこの返しが好き、笑った
→「まみま?」「まみも?」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
槙生が朝と暮らして2年半。他人との関係に縛られずに暮らしてきた槙生にとって、それは彼女自身に大きな変化をもたらした時間だった。最終巻のメインは槙生!ああ、これは朝だけの物語ではなかったと。槙生が“朝”を迎えるストーリーが素晴らしかった。これまでに降り積もった言葉の数々、人間関係、そのすべてが生きてくる。
槙生が「他人に縛られることや、朝にどこまで立ち入っていいか」相談した時の笠町の返しが絶品すぎる。
「なんか衛星みたいに誰かを見てること」
「…衝突しないための適切な距離というやつが たとえばおれときみではおれが想定したより遠かったけど きみと朝さんではきみが思うよりもっと近いかもしれないだろ 軌道を逸れて離れてしまうほうが衝突よりも怖いんじゃないか」
「愛するということ自体が恐怖に打ち克つ行為だろ」
「…与えたのと同じものが返ってこなくていいとか 少し離れてその人に関わっていたいとか 衛星ってのはそんな感じだ」
笠町くん──尊すぎるッ!友だちになってほしい!彼もまた朝と出会ったことで変化したんだろうね。槙生は確かに根っからの根無し草だけど、人は人と繋がることでしか得られないものがあるんだなと痛感した。それは時に幸せで、時に不安や恐怖であるとしても。大切にする、愛するためには「心を砕く」必要がある。槙生にここまで思わせた朝の存在。ジュノさんの「悪魔の契約」という絶妙な喩えがここで効いてくる。
えみりの恋人・しょうこの言葉も好き。
「『すき』だけじゃ言葉足んないな 全然足んないな でも結局『好きだ』以外に何にも言葉がない」
シンプルな言葉にはその奥に多くの意味が秘められているし、言葉が足りないとを言葉尽くした奥にはシンプルな言葉の原石が眠っている。どちらも表裏一体なんだろうな。
「…なんで一言ただあたしをあいしてるって言えないんだよ……」
朝のダイブには泣きそうになった。と思ったら、ラストの詩で涙腺決壊。二人に訪れた夜明け。天涯孤独だった砂漠は群れをはぐれた狼によって退けられ、海原へと続く道となった。そして、彼女は舟を作って漕ぎ出すのだ。誰も知らない地平線の向こうの違う国へ向かって。 -
無料漫画アプリで途中まで読み、読めない部分からTSUTAYAで借りて読んだ。
本当にすごい漫画だと思う。
私は元々映画も漫画もドラマも好きな人で、昔は漫画や映画の方が好きだったが、年々小説に偏りつつある。
それは、小説の方が細かいところまで描写されていて、絵がない分、広がるからだ。
でも、この漫画、本当に好き。深い。漫画なのに小難しくて行間がある。
一気に最終巻までの4冊借りたが、やはり無料アプリで細切れに読むべき話ではないと感じた。
人が苦手な孤独を愛する、小説家のマキオちゃんと、姪の朝の話。朝はマキオちゃんが心から嫌いな姉の娘である。ある日、朝の目の前で、朝の両親が交通事故で死に、マキオが引き取るところから話が始まる。朝の、高校3年間の話。
最終巻、本当に涙涙で読んでしまった。
ガッキー主演で映画化されるとのこと。
きっと、ガッキーなら上手に演じてくれるはず。ただ、好きな話だけにがっかりするのがちょっと怖い。観るべきか観ないべきか…
漫画はいつか全巻欲しい。 -
個人の尊厳にかかわる色々なことについての、問題意識を可視化したような作品だったなと思う。毎日なにげなく生きていてもふいに"否定された"と感じる瞬間はあるし、周囲の"普通"になじめず辛さやもどかしさをずっと抱えている人もいる。
一人は寂しいのか?愛したり愛されたりしなければならないのか?女だから、男だから、という鎖は一生外れないのか?今ある社会のカタチに合わないなら涙をのむしかないのか?
そういったこと一つ一つをすくい上げ、だれかに当てはめて言葉にして伝えてくれる物語。
自分とは"違う"と感じる相手を、自分の解釈にはめようとするのではなく、ただそのまま認めることは、初手ではとても難しい。でも、朝がえみりを知っていったように、笠町が槙生を知っていったように、不可能なんかじゃない。
私は"普通"というのは多数派という意味で確かに在るとは思っていて、でも普通の中にも差はあるし、一人の人間の中にも、普通の面と変わっている面はあるだろう。両親を亡くした朝は、性格的にはきわめて普通のように描かれているが、本人が"親が死んでるんだから普通じゃない、非凡なものがあってもいいはずなのに"と思うところは印象深い。普通というくくりの持つ曖昧さをあらためて思わされる。この言葉をなくすことはできないと思うけれど、人は是非に二分されるものではないということ、違いを認め合うということ、を物語の中ではずっと表現している。
しかし、槙生は朝に対して、"あなたとわたしは違うんだよ、それを知って"という想いを繰り返し言葉にして伝えてきたけれども、そんな保護者や大人は現実にどれだけいるものだろうか・・・。親子、夫婦、友人、近しい間柄であっても言葉にするのは容易なことじゃない。だからこそ、こうして"物語"が必要なのかもしれないな、と思う。 -
最後まで最高でした、本当にありがとう、、
理屈で考えがちな私は、槙生ちゃんの言葉や思考に共感したり憧れたりする。
朝やえみりや同級生たちのフレッシュで傷つきやすい柔らかな感性へは、羨望とそれを失ってしまった(あるいは当時も持てずにいた)ことへの寂しさ。
本巻での、笠町くんの『衛星みたいに誰かを見てること』という言葉が光る。衛星みたいに遠くから誰かをずっと静かに見守っていられるのは素敵なことではないか。
でも、話の続きのように、それは衝突を避けた距離なんだろう。誰かに関わるということは、衝突することとほぼ同義なのかもしれない。
離れてしまう方が怖いと思えるくらいの誰かとの関わりが羨ましく、衝突も覚悟の上で人と関わることへの憧れ。
ラストの詩が本当に良くて、本当に良くて(二度言った)、“わたしたち”として“夜明け”を送る人になりたいと、切に思う。 -
分かり合えない他者と共に生きるということ。
物語が終わる寂しさでなかなか読めなかったけど、素晴らしい最終巻でラストは涙がとまらなかった。槇生ちゃんの言葉にいつも勇気づけられ、この作品からたくさんのものを受け取った。
思い返しては胸に込み上げるものがある。
衛星のように近づいたり離れたり。
人と人は違うから、分かり合えず傷つけ合い打ちのめされることを繰り返す。それでも、大切な人とはその隙間を埋めるように対話を重ねていきたいと思う。これからもずっとこの作品を大切に繰り返し読んでいく。素晴らしい作品を描いてくれてありがとうございますという気持ちでいっぱい。
最後の詩で号泣。 -
#違国日記11
──だから夜明けよ
あなたがどうか
ただ訪れ
ただ新しく
ただいつでも そこにありますように
最終巻出てた。最終話で1話目冒頭と同じ始まり方をするとか、最終話の冒頭と締めが同じ場面とか、そういうのが美しくハマりすぎていて泣きそう。
父からついぞ愛してるを貰えなかった。
繰り返し描写される母の日記から愛を感じていただろうか。
この3年で、朝はまさに「天涯孤独の運命」から遠ざけられたのだなというお話だったのだろう。
3年間の朝との暮らしは、槇生が「あいしてる」を言えるようになった年月だったが、これを成長と呼びたくはない気がしている。他者との関わりが変化をもたらして、「しんどい努力」をしようと、朝を大切にしようと思ったことは、人生のステージの変化であっても成長という言葉はしっくりこないなーと思うものです。
「……そのしんどい努力をしなきゃいけないんじゃないの…それがさ それが 心を砕くっていう言葉のとおりなんじゃないの」
挿入されるいろんな人達のエピソードが、人生の一部って感じで好きです。 -
最後、槙生さんの詩で涙…
「夜明けよ」
この一言で、どれだけ朝ちゃんを思っているかを感じてしまい胸がいっぱいになった
良い最終巻でした
たくさん大切な気持ちをもらった気がする -
あーーー。終わっちゃったなぁ…
衛星から船出へ。
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違国日記11 完結 良かったな… 刺さるなぁ。
初読後のフレッシュな感想。最初から通して読むとまた違う感想が出るかも。またゆっくり読んでみたい。
昨晩読んで、最後はぼろぼろ泣いた。やさしさに。わたしは人の親だけど、槙生が朝を思うように子の選ぶ人生を送り出したいなと思ってる。そして、わたし自身も、そうやって、送ってもらってたんだって思えて。心を砕いて、砕かれて、今があるんだって。
人の心は孤独で、それぞれ違っていて、重なったりすれ違ったり離れたりする。
自分の生き方に迷わない人なんていないし、人間でいる以上は誰かを傷つけて傷ついてしまうものだし、それでいいよと言ってくれるのも人間。
人を思うようにしたいとか、同じ存在になりたいとか、違う考えを許せないとか、自他の境界が甘い人や社会を見ると疲れてくる。気を抜くと自分も境界が滲んでしまう。
でも、人が煩わしくて怖くて、距離を取りすぎて、自分から関わりを失ってしまうと、朝の父親のようになってしまうのかなと思った。閉じた孤独に。彼の、あなたの好きなようにしなさい…という、やさしさに擬装した愛情の薄さに、自分を顧みて苦しくなった。あの作品の登場人物で自分にいちばん近いのが、朝の父親だと思えたから。彼も怖かったんだと思う。人間が。たとえ家族であっても。
手を繋ぐことを求められた時に、逃げないで、ありのままの手を出せるようになれたらいいと思う。そして、その手が熱いとか汗ばんでて気持ち悪いって振り払われても「そっか、それでいいよ」て、思える強さが欲しい。