復員・引揚げの研究: 奇跡の生還と再生への道

著者 :
  • KADOKAWA(新人物往来社)
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784404038715

作品紹介・あらすじ

戦地から、大陸から、苛酷な道のりをたどって故国日本に生還した六百数十万の日本人。忘れてはならない日本人の誇りが、ここにある。

感想・レビュー・書評

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  • 戦後の混乱の中、戦地で終戦を迎えた将兵がどのようにして日本へ帰ってきたのかを解説した本です。

    内容は、なぜ将兵が南方を始めとする島嶼に分散し、取り残されたることになったのか。終戦直後から始まった生存のための自活と連合軍との戦犯裁判を含めた捕虜生活の苦悩。いかにして復員が行われ、その後の人生を生きていくことにしたか。の3つの内容で構成されています。

    ガダルカナルやペリリュー島での激戦、無差別爆撃である本土空襲の裏で、敵と一度も交戦することなく耕作をしていた部隊や、中国戦線で中国軍と互角に渡り合っていた部隊の話から、将兵による終戦の捉え方が異なっていること。捕虜収容所や戦犯裁判での各国連合軍の態度で、その国の人間の本性や、そのような本性を持つに至る経緯など、戦争のミクロの部分から日本軍と連合軍それぞれの将兵が持った戦争観を知ることができます。

    また、全体を通して戦争の要である補給の軽視や、そもそもの日本における教育や制度、理想の置き方を解説し、連合軍の中心であったアメリカとの違いを明確にすることで、復員の苦労の根本を探ろうとしています。

    特に自活しながらラバウルで終戦を迎えた陸軍第8方面軍司令官今村均大将に対する記述については感心するものばかりで、評価の高い将軍であった所以を知ることができます。

  • ナチスドイツに侵略された西欧諸国はアジアの植民地なんかはすぐに手放したから日本はすぐに侵略できた。
    マッカーサー曰く、日本兵は末端の兵士は優秀な素質があるが、参謀で上級になるほど、どうしようもなく馬鹿、とのこと。まさに言いえて妙だ。
    日本兵は、敗戦後収容所で、まさに耐えがたきを耐え、忍び難きを忍んだのだ。そのような彼らの支えた戦後日本の平和を維持するのは我々世代の義務。
    国際法に従えば、捕虜になった瞬間から生活保障は連合国側の義務となる。
    ラバウル等の収容所において、高級官僚の養成所たる帝大法学部が戦争の元凶であり、これを廃止すべきだという議論が多かったことで、べう軍もこれに賛同しGHQを通じてこの計画を実行しようとしていたが、実際は内務省解体で、帝大法学部は解体されなかった。

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著者プロフィール

1943年、長野県生まれ。1974年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程満期退学。現在、防衛大学校名誉教授。 ※2021年11月現在
【主要著書】『東郷平八郎』(筑摩書房、1999年)、『秋山真之』(吉川弘文館、2004年)、『山本五十六』(吉川弘文館、2010年)、『消されたマッカーサーの戦い』(吉川弘文館、2014年)

「2021年 『小笠原長生と天皇制軍国思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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