超絶技巧の西洋美術史

  • 新星出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784405073630

作品紹介・あらすじ

まるで本物のような質感と輝きをもつ宝石や、触り心地まで伝わる毛皮。
一本一本描かれた髪の毛に、老いを感じさせる皺だらけの肌。
あるいは、筆でざっと粗く描いただけなのに、離れて見ると本物よりも本物らしく見えてくる??。

西洋絵画を観ていると、巨匠たちの圧倒的な技巧にしばしば驚かされます。

本書が取り上げるのは、ファン・エイク、ホルバイン(子)、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ブリューゲル、デューラー、フェルメール、ベラスケス、ターナーなど、西洋絵画を代表する巨匠たちの傑作群。
書籍や展覧会ではなかなか見ることのできないディテールを掘り下げ、巨匠たちの“超絶技巧”を紹介します。視覚的な面白さはもちろん、主題の意味や背景、モチーフの意味なども丁寧に解説。

ひとつひとつの作品をじっくり楽しみながら、?洋絵画の教養も一緒に身につけることができる一冊です。


○西洋絵画の傑作を高画質の拡大図版で鑑賞!
ファン・エイク《ヘントの祭壇画》、ホルバイン(子)《大使たち》、ブリューゲル《バベルの塔》、レオナルド《モナ・リザ》、フェルメール《絵画芸術》、ブロンズィーノ《愛の寓意》、デューラー《野うさぎ》、ベラスケス《ラス・メニーナス》など、傑作として知られる作品群を高画質の拡大図版で楽しめます。

○ふれられることの少ない巨匠たちの技巧に注目!
金を使わない「金」の表現、透明感と光の反射が秀逸な涙、今にも呼吸をしそうな生命感、筆を使い分けて描かれた生き物のフサフサの毛や質感、ごく小さな窓の向こうの風景描写、素早い筆致で表される立体感など、部分に注目しながら巨匠たちの並外れた技巧に迫ります。

○西洋美術に欠かせない技巧を紹介するコラムも豊富!
目を欺く「だまし絵」から、絵画の中に空間を創り出す「遠近法」、リアリズムを究めた「大理石彫刻」、高難度の技術が求められる「版画」、絵画に限りなく近い「インタルシオ」(寄木細工)まで、コラムでも多彩な超絶技巧を紹介します。

感想・レビュー・書評

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  • 古代ギリシャの画家プリニウスとパラシオスの絵を優劣を競った時、ゼウクシスのブドウの絵に鳥が啄もうと降りて来た。一方パラシオスはなかなか絵を見せようとしなかったが、絵を覆っている幕自体が絵だった、という大プリニウスの「博物誌」での逸話を紹介し、写真の無い時代の優れた絵の考え方、実物そっくりに描く、という考え方を最初に紹介。なるほどページをめくると、ホンモノソックリの絵がたくさん現れるが、しかし写真ではなく、本物とも違う、と感じる。やっぱりそれは描かれた「絵」で、絵の空気、が漂っているなあと感じた。ピカソやセザンヌなどの造形とは違うが、こちらに向かってくる空気は、画家の主張なのかな。

    表紙はヤン・ファン・エイクの「ヘントの祭壇画」1432年 375×520cm シント・大聖堂 ヘント(ベルギー)



    2022.12.25初版 図書館

  • 池上英洋先生の本は13年前に初めて読んで、
    2年半ぶりのこの本で7冊。

    絵を拡大して紹介してくれて
    細かいところがよくわかり
    とても面白かった。

    これからも積極的に池上先生の本を読もうと思いました。

  • 「本から」
    「超絶技巧」、まさしくそれらを次から次へ見せられて、圧倒された。

  • 大理石が蕩けることを初めて知った

    美術展では近づいて見ることは出来ないし、本に顔を押し付けるように見ちゃった

    写真のように見える絵でも、同じような構図を写真で収めても上手くいかない。コツは画家の技術と嘘を織りまぜて描くこと

    有名な絵も知らない絵もあり、絵だけでも満足度が高い

  • テーマごとにわけ、西洋美術の13世紀から16世紀ぐらいまでの名作の超絶技巧をわかりやすく解説してくれる。

  • タイトルに偽りなし、とはこのこと。

    好きな作家が紹介されていると「そうなの、凄いの」とほくそ笑んでしまうが、自分のように美術館へ行くような人間ではなくて、美術や絵画に親しんだことのない人にこそ、この凄さを知ってもらいたいと思った。

    彫刻も絵画も建築も、興味ない人には一生縁遠いのだけれど、人間が生み出すものとして、同じ人間の目線で見てみれば、いかにその成果物が超人的か分かるというもの。
    音楽やスポーツ並みに、もっと絵画・彫刻鑑賞がカジュアルになったらいいのにね、と思わずにはいられない。

  •  レオナルド・ダ・ヴィンチ、フェルメール、ベラスケスなど、西洋絵画を代表する巨匠たちの超絶技巧を解説した本です。細密描写、特殊技法、人体表現などの様々な超絶技巧を、高画質かつ拡大図版でじっくり楽しみながら、西洋絵画の教養を身につけることができます。個人的に気になったのは、ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスです。彼の描く女性は幻想的で美しく、衣服の質感や背景はまるで写真のようにリアルで目が離せません。
     ぜひ、この本を読んで、実際に美術館に行ってみてください。以前とは違う視点で楽しめること間違いなし。

    京都外国語大学付属図書館所蔵情報
    資料ID:658165 請求記号:723.3||Ike

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著者プロフィール

池上 英洋(いけがみ・ひでひろ):1967年、広島県生まれ。東京藝術大学卒業、同大学院修士課程修了。現在、東京造形大学教授。専門はイタリアンルネサンスを中心とする西洋美術史、文化史。『レオナルド・ダ・ヴィンチ―生涯と芸術のすべて』(筑摩書房)で第4回フォスコ・マライーニ賞を受賞、2007年に開催された「レオナルド・ダ・ヴィンチ―天才の実像」では日本側の監修者となった。『錬金術の歴史』(創元社)、『「失われた名画」の展覧会』(大和書房)、『西洋美術史入門』、『西洋美術史入門〈実践編〉』、『死と復活――「狂気の母」の図像から読むキリスト教』(筑摩書房)、『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』(東京堂出版)など著書多数。


「2024年 『パリ 華の都の物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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