- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784406026680
作品紹介・あらすじ
人類の先史時代を史的唯物論の立場から解明し、現代社会の婚姻・家族形態、私有財産制、国家制度の歴史的性格を明らかにした労作。盟友マルクスの研究をひきつぎ、歴史の謎に挑みながら人類史の未来に科学的社会主義の展望を示す。大幅に増補改訂された『起源』第4版を底本に、初版との異同を克明に注記。詳細な注解・索引を付す。
感想・レビュー・書評
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エンゲルスがモルガンの研究をもとに繰り広げた婚姻史的唯物史観。マルクス=エンゲルスの思想のバイブルの一つ。「女性の世界史的敗北」の一文はとても有名。
モルガンの研究、それはアメリカ先住民などを調査し、その婚姻制度などをまとめ、先進国民の歴史的前段階としてそれを当てはめた理論を打ち立てることであった。
モルガンの研究の意図は、その研究によってアメリカ先住民の保護と共存を図るという、優しいようでとても征服者的発想にある。その後アメリカでは、先住民=後進民族あるいは未開民族として差別しうる根拠としてモルガンの研究が読まれた。
しかしエンゲルスはそこに私有財産というファクターを読み込むことで、モルガンと同じ西洋至上的発展史観に立つものの、古代への憧憬、あるいは教訓を引き出すということを行なっていく。
今読めば、男性=私有財産を生み出した悪の種族という書き方すらされていて、ある意味でフェミニズム的な傾向すら読み込める。もちろん、相続の問題についてはアウグスティヌスの頃からずっとあらゆる思想家が取り上げてはいるのだが、歴史的にそれを位置付けたという点でこの一冊の重みというものがある。
家族史、共産主義、婚姻史、女性史、これらのものに取り組む人にとってはまず最初に読むべき必読の書である。詳細をみるコメント0件をすべて表示