「坂の上の雲」と日本近現代史

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  • 新日本出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784406055147

作品紹介・あらすじ

日清・日露戦争とつながる現代。司馬さんと考える「大日本帝国」の歴史と21世紀。

感想・レビュー・書評

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  • 歴史を書く作家を歴史学者が論評する本

    戦争とは戦闘でなく講和条約だとか、なるほど。

    そもそも司馬遼太郎の本もあまり読んでないのだが。

  •  「日露戦争」を司馬遼太郎の坂の上の雲を読んで初めて知った人は多いと思う。
     私もそのひとりであるが、その後、歴史書を読むなかから「日露戦争」を「自衛戦争」という視点は「どうも違うのではないか」という違和感を感じていた。
     本書は、「坂の上の雲と日本近現代史」という表題から数多くある「司馬遼太郎賛美」の本かと思って読んだが、そうではなく「司馬遼太郎の文学」は「歴史」とはだいぶ違うことがわかる本であった。
     「幕末維新」から「明治の日清・日露戦争」についての司馬文学と歴史的事実との関係や、司馬文学が語らなかった、おそらく意図的に欠落させた多くの歴史的事項の考察は、「歴史」と「司馬文学との関係」をいろいろ考えさせてくれる。
     「司馬文学」は、日本人が自らの歴史をポジテブに興味を持つ方向に、脚色というか編集されていることが本書を読むとよくわかる。
     これは、「司馬文学」を読んで、「日本の歴史」を知った気になってしまっては大きな間違いを起こすということなのだろう。
     司馬遼太郎が、日本人に「歴史」を知る気をもたせた功績は大きいが、その「歴史文学」はナショナリズムへのバイアスという一種の偏向を持っていると言えるのかもしれないと思えた。
     本書は、「日本の歴史」を正しく読む視点を教えてくれる良書であると思う。

  • 坂の上の雲、盛り上がってますよね。
    ほんと。3年目で本当に待っていた。


    んで、3年目にもかかわらず、新しい本が出ていました。思わず手に取ったのは、当然。

    著者さんは、大阪大学の先生。日清・日露戦争とつながる現代を描いた本である。
    司馬さんと考える「大日本帝国」の歴史と21世紀を司馬さんの文章を織りまぜながら書き綴る。
    最初は、面白いんですが、途中から、ここは司馬さんは間違っている的な文章が多くて、だんだん、この人は司馬さんが間違っているということを歴史学者として言いたいだけなのかなぁ、と、思ってしまいました。

    内容は面白いんですが、もう少し、書き方はあったのではないかと思います。
    「坂の上の雲」というタイトルを掲げるのであれば、それはすでに、司馬さんの尻馬に乗っているのですから、それを、学問的に後出しジャンケン的に内容批判しても、どうだかなぁと思います。

    おすすめ度は5点中、3点。




    【目次】

    プロローグ 二一世紀に生きる君たちへー司馬さんのメッセージの意味/1 幕末維新の「苦味」/2 「坂の上の雲」の語る「明治日本」と近代史/3 「坂の上の雲」と日清戦争/4 「坂の上の雲」と日露戦争/5 加害者としての「大正日本」と「昭和日本」/6 戦後日本の希望が歴史を見る眼を育てた/エピローグ 二一世紀の日本とアジア

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著者プロフィール

1948年生まれ。佛教大学歴史学部教授

「2013年 『兵士はどこへ行った 軍用墓地と国民国家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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