喫茶人かく語りき 言葉で旅する喫茶店

著者 :
  • 実業之日本社
3.52
  • (5)
  • (6)
  • (8)
  • (4)
  • (0)
本棚登録 : 218
感想 : 14
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408339481

作品紹介・あらすじ

忙しない現代社会の中で、一杯の珈琲が救いになることもある。珈琲に関わる名言をフックに、喫茶店やカフェを巡る新しい案内書。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 川口葉子(@yohko_kawaguchi) • Instagram写真と動画
    https://www.instagram.com/yohko_kawaguchi/

    喫茶人かく語りき|実業之日本社
    https://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-33948-1

  • コミュニティとしてのカフェ、友人とお喋りするためのカフェ、一人でいるための喫茶店。いろいろなお店があるけれど、私は川口葉子さんが選ぶお店がまさに好み。だから本書に連なる言葉の一つ一つがすごく心地よかった。気軽にお店へ行けないご時世ということもあり、この一冊を通して全国の魅力的なお店の空気を感じることができ心が満たされました。

    理想のカフェ/喫茶店は、なるべく静かで、お客さんを放っておいてくれるお店。そして、お客さん一人一人がお店の雰囲気を壊さないよう無言でこっそりと協力するお店。

  • 全国の喫茶店をめぐる。店主の言葉と店の写真を添えて。最後は、いろいろな作家のコーヒーについての文章で。

  • 『喫茶はゆるやかな時間を持つことのできる唯一の都市的な文化』
    情報で溢れすぎた社会において、「閉ざされた」公共の場である喫茶店は、流れる時間の中で唯一平穏な時間を与えてくれるように思えます。

    そして、ひとりでも、ひとりだからこそ、その時間を共有する他者の存在があることで、わたしたちは安心して時を眺めることができるのだと思います。
    『たとえ言葉は交わさなくとも、そこには〈ゆるやかなつながり〉がある。』

    だからこそ、街には喫茶店が必要なのです。慌ただしい街の喧騒から切り離されたように、ゆっくりとした時間を奏でる喫茶店。

  • 心に響く言葉がたくさん。温かい言葉に泣きそうになる。行ってみたいカフェに出会った。

    印象的だった言葉
    ・1人でいたい人間をかくまう穴
    ・信じるものにとっての教会。日々が辛くても、30分座っていればなんとか生きていける
    ・はぐれているやつには喫茶店が必要。30分でも、自分をまとめる時間がいる。
    ・珈琲は弱者への嗜好品

    カフェは、孤独を抱えた、行き場のない人の居場所だと、実感している。カフェのある世界でありがとう。

  • 忙しない現代社会の中で、一杯の珈琲が救いになることもある。珈琲に関わる名言をフックに、喫茶店やカフェを巡る新しい案内書。スパイスの効いた言葉、そのカフェならではの流儀を語る言葉……。街角にコーヒーを香らせる達人たちの98の名言を紹介する。古今東西の文筆家たちが綴ったカフェやコーヒーについての文章、喫茶店のデータも収録。
    (2021年)
    — 目次 —
    はじめに
    chapter1 カフェをめぐる言葉
    chapter2 喫茶店をめぐる言葉
    chapter3 コーヒーを一杯
    chapter4 流儀とメニュー
    chapter5 書物の中の珈琲時間

  • カフェや喫茶店ごとにそれぞれこだわりがあり、そのこだわりを言葉に表し、突き詰めた1冊。カフェというコミュニティの中には共通しているものもあるだろう。

  • 様々な形で隣にいてくれる、存在。
    ただ美味しくある一杯のプライド。
    そんな存在に日々助けられている。
    私もりんどうのように、いつかは寄りそう居場所になりたい。

  • ――

     喫茶店と云えば?
     って、結構答えるのに緊張する問いかもしれない。
     なんというか、答えたその内容によって自分がいろいろ定まってしまうのではないか、という緊張。
     その上で既存の正答なんてなくて自分次第なんだから、悪質である。


     たとえば、らんぶるやエジンバラ、西武みたいなどん、と構えた喫茶室は絶対に外せない。京都六曜社やらフランソアもそう。あとたぶんプランセスもなんだろうな。プランセスはね、行ったことないですけどね。そりゃぁね(笑 

     あとはそれほど大きくはない、街の純喫茶というのもその土地のひとたちには欠かせない。タイムスとかローレル。名古屋のコンパルとかめっちゃ生活喫茶、って感じだったのがとても良かった。こういうのは、どこかに定住すると自然と出来てくるものなんだろうなぁ。いまだとフロンティア。あとこれも行ったことないけど、リラ荘は多分ここに入る(笑 だいたい煙草が吸えたので、店のマッチがあった。それとクリームソーダ。

     そこからもう少し規模が小さくなって、そのぶん店ごとの味がぎゅーっと詰まってくる、このあたりが実はいちばん好きかも。七ツ森とかgionが筆頭。くぐつ草もそうかしら。だいたいカレーが美味いの。なんでか。
     ちっちゃな名曲喫茶とかもここに分類されるのかなぁ。ヴィオロンとかネルケンなんかもそうだろう。鎌倉やら京都に多い古民家カフェもこの手でしょう。嗚呼忘れもしない河原町KOCSI。住める。

     規模が小さくなるぶん、喫茶店+α、ってお店も出てくる。これも特色が出てて好き。おそらく旗手であるところの胡桃堂や、手紙舎さん。
     +α、を足しすぎてお喋りをマイナスしちゃったアール座読書館とか、一々煩いねじまき雲なんかもぎゅーっと詰まっていることこの上ない。

     さてそれから、+αの最たるものがブックカフェでしょう。文喫とか神保町ブックセンター、梟書茶房みたいな書店カフェは、目的がはっきりしていてぐっど。働くとしたらこのへん。実家もブックカフェにすりゃいいのに無駄にいろいろあんだから。

     あと目的がはっきり、って云うのならWISEMANとかAMPみたいに、コーヒー飲みに来いよおらぁ、というのもひとつ。最近豆から挽くようになったから見る目変わるんだろうなぁ、珈の香とかALLPRESSとか。豆頂いた池袋VALLEYは今度行きますよ!

     けどね別に、だからって「えースタバですかぁ?」みたいになるわけでもないのだ。むしろスタバの豆お家で挽いたりできるのも有難いよね。まぁ元々そんなに行かないけど←
     サンマルクだってタリーズだって、上島珈琲だって星乃珈琲だって。なんとなくさ、チェーンじゃないと入れないコンディションのときもあるよね。

     それとは真逆で、よるのひるねみたいに、喫茶店の形をした店主の私室みたいな、一見さんどうやって入るんですか最初は皆一見さんなのに、ってお店も。ひとりひとつくらい、わたしあのお店入ったことあるよ、って自慢できるお店があってもいいと思う。


     ……さてだいたいわたしの行動範囲が解ったところで。喫茶店ノートみたいの作るマメさを持っていたかった…そういえば珈琲の話ばっかりしているわね。まぁいいか。


     なんとなく、つらつら書いていたら自分なりの喫茶店像、みたいのが少し浮かんできたような気がする。
     きっと、「出掛ける」場所なのだ。そこに行って、けれど、そこは自分の管理している場所ではなくて。その場所がそこにあってくれることに対する有難さ、というかリスペクトのようなものがある。だから背筋が伸びるし、けれどだからといって強ばるわけでもなく。ただ、ちょっと背筋を伸ばした、ちょっと気合の入った自分で居られる、居させてもらえる場所、というか。
     あぁこれに似てるのかもな、と思ったのが、インターネット黎明期の趣味系サイトの片隅にあるチャットルーム。めちゃ解りにくいと思いますが。中学のとき通っていたスクウェア(現スクエニ)の私設ファンサイトがあって、そこのオープンチャットを思い出したらすごくしっくりきてしまった。


     そこにある、ということを知っているひとだけはよく知っていて、けれどふらりと来るひとがいないわけではなく。
     誰かの目が届いているのは確かなのだけれど、別にそれが主張してきているわけでもない場所で。
     ひとりでつらつらと言葉を綴るのもよし、どころかただそこに居るだけでもよし。
     けれど、約束したわけでもない誰かが、来ることもあったり来なかったりで。
     なんとなく現実から離れて、だけど帰ることが約束されている。
     そんな、ところ。


     今のネット上にはあんまり存在できていないんだろうなぁ。なんというか特に、場所に対する敬意だとか、そこでの自分の行動に対してどれくらい身構えているか、という意味で。リテラシーになるのかな、それって。
     …もしかしたら同じようなことが、氾濫している現在のカフェとその顧客の関係性とかを元に突き詰められるのかもしれない。誰かやってください。



     喫茶店を紹介してくれている書籍は数多あれ、この一冊が目を引いたのは喫茶店にまつわる言葉を集めたものだから。津々浦々の素敵な喫茶店と、その店主や関係者たちの言葉がまとめられているちょっと不思議な本です。
     カバー折返しの、下北いーはとーぼ(これまた懐かしい)店主の言葉がスタンスを表している気がします。この一冊なりの正答、というか。

    “はぐれてるやつには喫茶店が必要なんだよ。
     たとえ1日に30分だけでも座って、
     自分をまとめるための場所が。”

     ☆は不要でしょう。そのとき行きたいカフェが、どの種類か解らないように。

  • 喫茶店に行けなくなってはや数年。行こうと思ってももうないお店がほんとうにたくさん。
    本書はコロナ禍で行けない喫茶店についての過去のあれこれをまとめたもの。

全14件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

ライター、喫茶写真家。全国2000軒以上のカフェや喫茶店を訪れてきた経験をもとに、
多様なメディアでその魅力を発信し続けている。
著書に『東京 古民家カフェ日和』『京都 古民家カフェ日和』(ともに世界文化社)、
『喫茶人かく語りき』(実業之日本社)、『名古屋カフェ散歩』(祥伝社)他多数。

「2022年 『金沢 古民家カフェ日和』 で使われていた紹介文から引用しています。」

川口葉子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
越前 敏弥
川上未映子
朝井 リョウ
ミヒャエル・エン...
瀬尾 まいこ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×