マル暴甘糟

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 388
感想 : 72
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408536552

作品紹介・あらすじ

史上最弱?の刑事登場!撲殺事件の裏にあるのは暴力団の抗争か、半グレの怨恨か-弱気な刑事の活躍ぶりに笑って泣ける、著者会心作!

感想・レビュー・書評

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  • 北綾瀬署のマル暴、甘糟達夫刑事の活躍の物語です。

    甘糟35才は、東京の北東側にある足立区の北綾瀬警察署、刑事組織対策課、組織犯罪対策係(通称、マル暴)に所属する巡査部長です。気の弱い甘糟は、ごつい郡原(ぐんばら)虎蔵刑事と相棒となり二人でヤクザなどの暴力団に絡む事件捜査をします。なお、物語では北綾瀬警察署となっていますが、足立区には警視庁綾瀬警察署は有ります。

    【読後】
    字が小さくて大変でしたが、展開が早く、甘糟と郡原の絡みが面白く、ついつい読むのがとまりません。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    マル暴甘糟シリーズ1作目《単行本》
    2014.12発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
    2023.04.23~24読了。★★★★☆
    図書館から借りてくる2023.04.22
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    《マル暴シリーズ一覧》
    03.マル暴ディーヴァ
    02.マル暴総監
    01.マル暴甘糟    2023.04.24読了

  • 〈任侠〉シリーズに登場する、マル暴担当刑事らしからぬ甘糟が主人公。ちなみに残念ながら阿岐本組は出てこない。

    『お茶はいらないって、いつも言ってるだろう。俺があんたらからごちそうになるわけにはいかないんだよ』
    阿岐本組でもお馴染みの甘糟のセリフだが、この作品でも度々出てくる。一見気弱で暴力的な言動に接するだけで『うわぁ』とビビってしまうくらいマル暴担当らしからぬ甘糟なのだが、どうしてどうして、しっかりヤクザたちと対等に話しているではないか。

    肝心の事件だが、『多嘉原連合』の構成員が殺され、その容疑者が敵対する『足立社中』と関係しているようで、一気に抗争に発展か?とキナ臭くなる。
    だがそこには数々の疑問や違和感もあり、それらを甘糟はじめ先輩刑事の(こちらはいかにもなマル暴担当刑事)郡原や、本庁捜査一課の梶らと捜査していく。

    〈任侠〉シリーズの甘糟は阿岐本組にいつもと違う動きがあると途端に現れて弱気ながらも危ないことはしないでね、と釘を刺すのだが、この作品でも甘糟は各事務所や関連の店に顔を出して情報収集している。
    事件が起きてから動く強行班や捜査一課とは違い、常々ヤクザたちの動向を把握することで、彼らのいつもとは違う動きに敏感に反応し、それがやがて事件捜査の糸口にもなるという展開は面白い。

    そのため、最初は捜査一課の梶とは方針の違いでギクシャクする。しかし今野さんの作品らしく、それぞれが自分たちの得意分野を生かし合い、それぞれのやり方を認め合いながら捜査を進めていく。
    事件の真相という点では物足りなさはあるが、今野作品ではそこは重要ではない。
    甘糟が毎回胸の内で『嫌だなぁ、怖いなぁ』と思いつつ、ヤクザたちと向き合っている。
    最後に梶が言うように『案外、君は自分が思っているより、マル暴刑事に向いている』のだろう。

  • 今野敏さんの任侠シリーズに登場する東京都足立区の北綾瀬署に勤務する甘糟刑事のお話。
    大好きなマル暴刑事です。
    ひ弱な感じの刑事ですが、無事事件を解決しました。面白かったです。

  • 任侠シリーズに登場するマル暴刑事甘糟が主人公のスピンオフでいいのかな?

    今野敏さんの作品に登場する主人公としてはかなり異色なんじゃないでしょうか?
    このマル暴らしくないマル暴というか警察官らしくない男が実はめちゃくちゃ警察官に向いてるんじゃないか?
    そんなふうに思わせるのは理想の警察官を書き飽きた今野敏さんがちょっとだけ踏み外したくて警察官らしくないこの男を主人公にして書いてみたけど結局なんかちゃんと警察官になつちゃった。みたいなね

    面白かったです

  • マル暴の甘糟に焦点を当てた警察小説。半グレのシゲが殺された事件を、やる気があるのかないのか、よく分からないのらりくらりな感じで解決していく。新作が出たので、読んでみたけど、それほど、面白くもなく・・・今野敏の作品の登場人物ならば、一本芯が通っている主人公の方が面白い。

  • 甘糟最高!
    任侠シリーズを読んでいる時から私は甘糟のことが好きだったが、その甘糟を主人公にしたスピンオフなら読まねばならない。
    文字がぎっちりしていないし文体も平易なので、読むのに変に頭を使わなくてすんで、エンターテイメントとして本当に読みやすくて面白かった。

    若干、同じような文言や表現の繰り返しが多いことが気にはなるが、隠蔽捜査シリーズっぽさも少し(だいぶ軽めに)入っていたりして楽しめる。
    そもそも隠蔽捜査シリーズも、事件とその解決や謎解きの面は全く力が入っていなくて「人の物語」なので、とにかく本作もそんな感じ。
    本作でも事件そのものは難しくなくて、なかなか解決しないのはちょっともどかしいくらいだ。
    でもこの登場人物達だって、忙しく働きほんの2〜3日中に解決しているのだから勘弁してあげて。

    甘糟はいわゆるマル暴らしくない人物設定なので、一見腰が引けているような話し方なのだが、全然そんなことはなくて、本人も気付いていなさそうだけれど実は凄くできる刑事。
    とても魅力的なキャラだ。

    そう思って読んでいたら、警視庁捜査一課の梶からも「自分では気づいていないようだがね、君は、かなり優秀なマル暴刑事だよ」「案外、君は自分が思っているよりも、マル暴刑事に向いているかもしれないよ」と褒められていた甘糟。(こういうのも2回言わせず、1回にしておいた方がいいと思ったところではあるが…)
    しまいにはマルB(というらしい)のアキラから「もし、俺がグレてなくて、あんたが警察官じゃなかったら、いっしょに飲みに行ったりできたかな」と言われた甘糟。
    アキラのこのセリフにはウルっときた。
    読者の私が。

    マルBやマル暴の本物の世界がどうなのかは知らないし知るようなことにもなりたくないが、小説として頭使わず楽に読めて単純に楽しめるのはいいな。

  • 任侠シリーズでお馴染みの甘糟刑事が主人公のお話。
    今野さんの本は嫌な人があまり居なくて、読後感も爽やかなので疲れなくて良いです。

  • 何だかんだ言いながら解決するだよね。
    終わり良ければ全て良し。
    そんな感じがします。

  • マル暴刑事なのに、控えめで弱気な主人公。
    ヤクザ相手に、どのように対応していくのか。
    思ったこともなかなか言えないようで、意外と芯がぶれない。
    甘糟の誠意が、物事を動かしていくのも、さわやか。
    組織犯罪対策係らしからぬ、少々ほのぼのすらする雰囲気が新鮮。
    主人公は、阿岐本組任侠シリーズに登場した甘糟。

  •  大当たり。
     話が分かりやすくて、記憶が弱くなってきたワタシでも十分楽しむことができました。土日の休みが終わって月曜日の通勤でページを開いてもそのまま読み続けることができます。ところどころで人物が言葉で思い出させてくれる場面があって、とても優しい作者だと思います。
     とは何かのような難しいことを考えることなく、本当に易しく読めるまさに電車の友となりそうです。

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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