- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784408536972
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
「私の幽霊」が一番印象に残った。不思議でなんとなくひんやりしたイメージをするお話。
-
ホラーというには怖くなく、でもファンタジーというほど甘くもなく。少し不思議な現象を扱った連作短編集。しんみりほっこり、そして少しおかしくもあって。こういう奇妙な出来事なら、実際にあってもいいのかも。
お気に入りは「きのう遊んだ子」。一見不気味にも思えた怪異の優しさ。そしてラストのなんとも言えない切なさが印象的でした。現実が厳しいだけに、優しさ切なさがじんわりと深くしみいるような心地です。
コミカルな「コロッケと人間豹」も好き。なんといっても「冥の水底」に登場したあの一族がまた登場するなんて! そして彼女のキャラクターがまた絶妙。人外の存在であっても、ぜひお友達になりたいです。 -
★一番不思議だと感じるのは……誰かと出会ったことで、自分が思いがけない方向に変わっていくことね(p.290)
【感想】
・ミステリかと思っていたらファンタジーというか不思議話やった。最初のなんか雰囲気は異なるけど『アタゴオル物語』に出てもおかしくなかったし、他にも宮澤賢治っぽかったり、妖怪譚っぽかったり。
・若干他愛なさも感じはしたけど悪い方向の他愛なさではなかった。
・ぼく的にはサクサク読めました。もし続編があったら読みたいかな。
【一行目】
その少女は、夕暮れの光の中にたっていたーーバス通りから見える丘の斜面に立って、身動き一つすることもなく。
【内容】
・昔の友人からあなたの幽霊を見たという連絡があった。
・小学四年生の菜穂子は自分の記憶に欠落があることに気づく。
・行方不明の作家を探しに辺鄙な村に行く。
・自殺を許す宗教はあるやなしや。
・近所から児童虐待の音が聞こえてくる。そこにアコがやってきて。
・紫陽花は歩くか?
▼簡単なメモ
【アコ】→曲地谷アコ(まがちや・あこ)
【鬼懸ノ森】真樹子の行ったI県の高校に隣接している森。
【君影草/きみかげそう】スズランにそっくりな植物。身を守るために空間擬態を行う。立体映像のようなもの。
【君塚淳/きみづか・じゅん】真樹子の人生初の恋人。一年先輩。男子バスケットボール部員で生徒会役員でもあった。彼が自殺しそれ以来真樹子の胸には穴が開いたままだ。
【小宮山】妙に四角くて段差のある家。父親が教育熱心すぎて虐待している音が周囲に聞こえてくる。
【聡美/さとみ】旧姓小倉聡美。真樹子の幽霊を見た、高校時代の友人。好奇心旺盛でそのままいけば研究者にもなれたかもしれないが家庭に引っ込んだ。
【須之内】真樹子の先輩。百八十五センチの巨漢でラグビー選手として鳴らしたらしい。
【栖大智/すみか・だいち】上宮(じょうぐう)博物学研究所主任研究員。穏やかそうな人物。いろんな道具を詰めた革鞄を持ち歩いている。
【菜穂子/なほこ】真樹子の別れた夫の兄嫁。優しい人で真樹子のことも可愛がってくれた。旧姓は時田。小学四年のとき
【曲地谷アコ/まがちや・あこ】ケバいねーちゃん。栖が連れていた。けっこうとんでもない存在。
【真樹子/まきこ】日枝真樹子(ひえ・まきこ)。アラフォーの編集者。結婚したことはあるが四年で破綻した。ニックネームは「ニーチェ」。高校時代はバスケットボール部。
【美海/みう】怜奈の娘。小学五年。
【三津岡サチ】『明日、風が帰るところ』の作家。
【ミッコ】どうやら山っ子のようだ。
【山っ子】A県にいるらしい。ときどき里に下りて子どもと遊ぶが相手の心に鍵をかけて思い出せないようにする。キツネが化けたとか妖怪とか言われている。
【譲谷村/ゆずりたにむら】G県の辺鄙な村。人心は優しい。吉祥天を祀る年に一度の天府祭には人が大勢来る(といっても日に十数人だが)。
【怜奈/れいな】真樹子の大学時代の友人。気に入らないことがあるとあっさり切り捨ててしまえるタイプ。娘は美海(みう)、夫はサーフィン好き。
【私の幽霊】真樹子の幽霊。白いセーラー服で丘に身じろぎもせず立っている。 -
「この世の中は今も未知の存在に満ちていて、人間の知っていることなんか、広い世界のほんの一部に過ぎない・・・」
常識外事件簿と題されていたので、犯罪事件の謎解き小説かと思いましたが違いました。
「怪奇大作戦」や「特命リサーチ200X」の系統といえば良いでしょうか。
この世界観を受け入れられれば、心地よい短編集です。
辛い記憶を封印してくれた山っ子を題材にした「きのう遊んだ子」が好きかな。
結局、君塚くんの自死の理由はわからずじまいなんですね・・・ -
6話からなる連作物語りである。
主人公は、日枝真樹子。
日枝神社のひえであるが、にちえからニーチェと呼ばれるようになった。
ある日 故郷にいる高校時代の同級生からの電話で、貴女の幽霊を見た!と、聞き帰郷してみるのだが、、、、
ミステリーでもなく、オカルト的でもなく、、、博物学者の栖大智と共に、常識外の摩訶不思議な出来事ヘ突入して行く。
その上、最後の方は、曲地谷アコという不思議な女性?とも、、、事件(?)なるものを真樹子は、体験していく。
超常現象の謎・・・
はじめの方は、こんな事も・・・と、思いながらも読んで行ったが、摩訶不思議過ぎて、、、少しついていけない感じであった。
でも、最後まで、読んでしまった!(笑) -
表紙のイメージと違った。サブタイトルのとおり常識外の出来事に遭遇する主人公。ホラーやファンタジーというよりは民俗学的な解釈。なかでもタイトルの「私の幽霊」の解釈が一番唖然とした。シリーズが続くなら読みたい。
-
故郷に住む高校時代の同級生から「あなたの幽霊を見た」と告げられた“ニーチェ女史”こと日枝真樹子。帰郷して幽霊が出たという森の近くまで行くと、そこには驚きの光景が…。
連作短編が6篇。前半の3篇は面白く、さすが朱川湊人という感じだった。でも後半の3篇は何だか少しついていけなくなった。通勤電車の暇つぶしには十分なったけれど。
(B) -
バツイチの日枝。ヒエダと読めずにニチエと言われたことからニーチェとも呼ばれる。
そんなニーチェが若い頃の自分を見たのが表題作。その他、ニーチェの周辺に起きるちょっと不思議な事象の数々。
ホラーというよりは、日本古来の身近な不可思議を感じる。